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P12-2 清涼な水と寒暖差が醸す 諏訪ならではの味噌造り

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TOP PHOTO:「味噌汁御膳」(990円~)は豚汁も選べ、丸高蔵の味噌が味わえます

 


丸髙蔵は、清酒「真澄」を醸造する宮坂家19代目の有紹(ありつぐ)が、長年培った醸造技術をもとに事業を広げるため、1916(大正5)年、娘婿の千足(ちたる)とともに高島城、三の丸跡に工場を普請したことにはじまります。
関東大震災後に東京への味噌の出荷が増えると、東京・中野区に工場を設立。戦後は「神州一味噌」の名で、小袋詰め、フリーズドライなどを発売し、さらに都内と山梨県に工場を設立し、海外へも進出していきます。
創業からちょうど100年の2016(平成28)年、サッポロホールディングス傘下に入り、翌年には「神州一味噌株式会社」に社名を変えています。
そうした企業の変遷とは裏腹に、丸髙蔵は国産の大豆と米を使った味噌に特化して、変わらぬ味噌造りを続けています。現在、工場長を務める小林玲(あきら)さんは、諏訪の味噌について語ります。
「諏訪は水がいい、空気もいい。1日ごと、季節ごとの寒暖差があって、いろんな微生物が動くので、香りや味わいが複雑になります。冬は氷の世界ですが、温泉暖房を利用して熟成を促します」
丸髙蔵のフラッグシップは長野県産のナカセンナリとコシヒカリを使った「信濃路」と、麹歩合を高めた「十四割」。小林さんの出身地でもある上田市の農家グループが育てる大豆を使います。
「味噌造りは属人的な部分も多いので、できるだけ文書化しようと、みんなで話すことからはじめています」。長野の発酵文化の伝承は、企業の取り組みに依るところも大きいのです。

蔵併設の店舗「千の水」では食事や買い物も
本棟造りの店舗と奥の味噌蔵は大正期に移築された
工場長の小林玲さん。蔵の変遷と発酵を知る人

丸髙蔵

長野県諏訪市高島1-8-30
☎ 0266-52-4033
[物販]10:00~17:00
[喫茶]11:00~15:45 LO
[食事]11:00~14:00 LO
不定休
公式サイト

撮影:清水隆史、取材・文・編集:山口美緒・塚田結子(編集室いとぐち)

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