記載の内容は、原稿執筆時点の情報です。営業状況やサービス内容、料金等は変更となる場合がございます。詳細は、各施設へお問い合わせください。
1.<諏訪湖観光汽船>
湖上を流れる爽やかな風とともに諏訪を満喫。
高台から、諏訪湖畔からと、地元に住む人々にとって、普段からその姿を目にすることが多い諏訪湖。初めて諏訪に訪れる人はもちろん、そんな馴染みの深い人びとにとっても、諏訪湖の新たな魅力を再発見するのにうってつけなのが〈諏訪湖観光汽船〉です。反時計回りに1周、約25分間の船旅は、行きは遠方に臨む北アルプスの山並みや、美術館やビルなどが彩る湖畔の街並みが、帰路には、天気が良ければ富士山の美しい姿も眺められます。
そんな船旅の案内役は、昭和57年の就航以来、40年に渡り観光客を楽しませてきた『すわん』と、その相棒だった『竜宮丸』の後継として2020年の春に就航した『スワコスターマイン号』の2隻。有名な諏訪湖の花火のなかでも、とくに豪快な美しさを放つ“水上スターマイン”にちなみ、公募から名付けられた『スワコスターマイン号』。その船上には展望デッキが用意され、眺望は抜群。また、貸切りでの利用もでき、家族や友人、仲間とともに楽しむランチクルージングや、同行する小舟から打ち上がる臨場感満点の花火が堪能できるナイトクルージングなどあり、お祝いやパーティー、さらに大切な人との記念日を過ごすのにも最適です。
諏訪エリアに限らず、その周辺の地域に住む人々は「小学生のとき遠足で乗った」という人も多いはず。今度は家族とともに、仲間とともに、大切な人とともに訪れ、また違った感動を味わってください。
〈諏訪湖観光汽船〉
諏訪市湖岸通り3-1-27。TEL.0266-52-0739。9時~16時(通常は4便、GW・夏期は6便運航)。大人920円、子ども460円、団体(10名以上)大人830円、子ども420円 ※諏訪湖が結氷する期間は運休。その他荒天時や整備での運休あり、HPで確認。
☞ http://www.suwako-kanko.com
Googleマップ
2.<一般財団法人 片倉館>
シルクエンペラーが築いた諏訪住民の憩いの場。
天然温泉を豊富にたたえ、100人が一度に入れるほどの広さを誇る大理石造りの大浴場。浴室にはステンドグラスやレリーフなどが配され、温泉とともに建築美も楽しめる〈千人風呂〉で有名な〈片倉館〉。その竣工は昭和3年と古く、当時の片倉製糸紡績社長、二代片倉兼太郎が手掛けました。きっかけは、視察旅行の際に訪れたチェコの厚生施設に強い感銘を受けたこと。ぜひ日本にも、地域住民のための厚生と社交の場をと思い、〈片倉館〉の誕生に尽力したそうです。
〈千人風呂〉のほかにも、見学可能な〈会館棟〉内には格天井が美しい大広間や各部屋に趣きを添える著名人の書、空間を彩る照明、当時の最先端の建築技術など、見どころが満載。「温泉は利用したことがあるけれど、〈会館棟〉の見学はまだ」という人も、ぜひ一度訪れて、〈片倉館〉のもつ歴史と、片倉兼太郎が込めた想いに触れてみてください。
〈一般財団法人 片倉館〉
諏訪市湖岸通り4-1-9。TEL.0266-52-0604。〈千人風呂〉10時~20時(受付は19時30分まで)。大人750円、小人450円(3才以上小学生まで)。〈会館棟〉ガイド無し3/1~10/31は10時~17時、11/1~2/末は10時~16時30分。大人400円、小学生100円、ガイド付き(要予約)Aコース 13時30分~、Bコース 15時30分~、見学料大人600円、小学生300円。毎月第2・第4火曜定休。※ほか整備などによる臨時休館あり。
☞ http://www.katakurakan.or.jp/index.php
Googleマップ
3.<太養パン店>
老舗ベーカリーの味を湖畔散歩や町散策のおともに。
外看板の、店名の下に描かれた“since 1916”の文字。100年以上という古い歴史を持ち、地元の人びとをはじめ、遠方から訪れるファンも多い老舗ベーカリー。3代目がともに営む今も、毎日客足が絶えることはありません。
2021年、ご近所の『ReBuilding Center JAPAN』に依頼しリノベーションした店内は、従来のお客さん自身がパンを取るシステムから、対面式のスタイルへと一新。「コロナ禍でお休みした時間を有効に使って」と話す店主の松沢恵里さんの前向きさにも驚かされました。霧ヶ峰高原の伏流水を仕込み水に使い、自家製培養天然酵母と長時間発酵など、素材や作り方にもこだわるパンは、サバサンドなどのサンド系のほか、菓子パンや調理パンなど、毎日100種類以上が並びます。
湖畔のベンチに座って食べるのはもちろん、お店にはイートインスペースやテラス席もあり、さらに〈太養パン店〉のパンが持ち込みOKなカフェ『AMBIRD』などもあるので、町散策のお伴にもピッタリです。
〈太養パン店〉
諏訪市末広12-2。TEL.0266-58-0982。月~土曜 6時30分~14時30分(日曜 ~12時)。年中無休。
☞ http://www.taiyopan1916.com/
Googleマップ
4.<ReBuilding Center JAPAN>
古いモノたちの命を掬い、籠められた思いを繋ぐ。
“ReBuild New Culture”。世の中に見捨てられてしまったモノに、もう一度価値を見出す、そんな理念を掲げ、東野さんご夫妻が2016年にオープンした〈ReBuilding Center JAPAN〉。解体される建物から古材や古道具をレスキュー(引き取りに行くこと)して、店頭で販売しています。
「モノだけでなく、持ち主や大家さんの想いまでも掬いたい」というふたりの想いをもっとも感じられるのが、ナンバリングされた古材や古道具たちの姿。手に取る人へそれぞれのルーツが伝わるよう、来た場所や時代など、わかる限りの情報が書かれています。そんな古材や古道具たちを生かすヒントを与えてくれる、ショールームのような役割を果たすのが1階のカフェ『live in sense』。古材を使った趣ある内装に加え、地元農家さんからレスキューした規格外の野菜や果物を加工し、販売するなど、メニューにまで熱い想いを感じます。
古いモノへの新たな出会い、そしてほっこりとしたティータイム、サステナブルな未来を想う特別な時間を過ごしてみてください。
〈ReBuilding Center JAPAN(リビルディングセンタージャパン)〉
諏訪市小和田3-8。TEL.0266-78-8967。11時~18時。水曜・木曜定休。※ダイニングテーブルなどのワークショップも開催(詳細はHPから)。レスキュー範囲は基本下道で1時間圏内。
☞ http://rebuildingcenter.jp/
Googleマップ
5.<カフェと暮らしの雑貨店fumi / 菓子屋koto>
ゆったりとした時の流れを感じつつ。
築90年の建物は、元は『文化堂薬舗』という薬屋さん。その薬屋さんの“文”と手紙の意味の“文”を掛け合わせて名付けた〈fumi〉を営むのは、村上さんご夫妻です。
店内へ入ると、まず奥さまセレクトの雑貨たちに出迎えられます。古材を生かしたレトロな内装に、時間が止まったかと錯覚するほど、時の流れはゆったり。入り口右手のテーブルには、昨年「自宅でもfumiを楽しんでもらいたい」とスタートした菓子屋『koto』の焼菓子が並びます。バターの風味が豊かなリッチな味わいは、雑貨と組み合わせるなどギフトにもおススメ。
さらに奥へ進むと、カウンターとテーブル席のあるカフェスペースが。季節ごとに変わる2種類のランチメニューや、長野市の『ヤマとカワ珈琲店』のスペシャルティーコーヒーをハンドドリップするコーヒー、そして上質な味わいにうっとりさせられるスイーツなど、穏やかに流れる時間を満喫するのにぴったりなメニューが揃います。
〈カフェと暮らしの雑貨店fumi / 菓子屋koto〉
諏訪市末広5-7。TEL.0266-75-2702。11時~17時。月曜定休、他不定休あり。
☞ https://www.instagram.com/__fumi2019
Googleマップ
6.<カフェとホイスコーレ teltis(テルティス)>
提供したいのは“ヒュッゲ”な空間。
デンマークの教育機関、フォルケホイスコーレでともに学んだ唐戸友里さんと横山夏希さん。そこで印象的だったのは、デンマークの人びとがティータイムをとても大切にしていることだそう。「休憩時間になっても作業を続けているのは日本人だけなんですよ」と、唐戸さんは語ります。
編み物をしている人、お茶を片手に会話を弾ませる人など、思い思いに過ごしながらも、不思議と一体感のある心地よさ。そんな“ヒュッゲ”な空間を提供したいとふたりが始めた〈teltis(テルティス)〉には、唐戸さんが開く手芸教室、ネルドリップで丁寧に淹れるコーヒーと横山さんの手作りの焼菓子を味わえるカフェがあり、一人で訪れても、仲間と訪れても、なんだか人と繋がれる不思議な雰囲気が漂っています。
製糸業や精密業が盛んだった諏訪でも、作業の合間のお茶の時間はかけがえのない時間だったのかもしれません。その証拠に、お店には老若男女を問わず地元の人びとが訪れます。下諏訪にある、そんな“ヒュッゲ”な空間を、ぜひ一度味わってみてください。
〈カフェとホイスコーレ teltis(テルティス)〉
諏訪郡下諏訪町320-13。TEL.0268-75-1787。10時~17時30分LO、土・日曜8時~15時30分LO。月・火曜定休。※刺繡教室の開催時間・内容はSNSで確認、予約は電話かSNSのDMから。
☞ https://www.instagram.com/teltis320/
Googleマップ
7.<信州あべ川餅本舗 福田屋本店>
諏訪に安倍川餅を根付かせた老舗菓子舗。
大正七年、大福餅屋として開業したのが、〈福田屋本店〉のはじまり。その後、茅野の本店が廃業することとなり、今の店名を名乗ることになったそうです。「昔はお店の向かいにバスの発着所があり、諏訪大社への参拝客でとても賑わっていた」と話すのは、3代目店主の佐野充敬さん。
諏訪では、“あべ川餅といえば福田屋本店”というほど愛されている信州あべ川餅。毎年8月26、27日に行われる諏訪大社の神事、御射山祭の際に食べられることから御射山餅ともいわれ、そのレシピは昭和40年頃、佐野さんのお母さまが考案したものだそう。塩尻から仕入れる青大豆『あやみどり』を挽いて作るきな粉と、沖縄で栽培されたさとうきびが原料の『本和香糖』がなんともやさしい味わいを醸し、何度食べても飽きない美味しさがあります。
ただし、安倍川餅は賞味期限が2日間と短いため、旅行のお土産には日持ちのいい「御柱街道」がおススメ。クルミ入りの醤油味のゆべしの中に映える、刻んだクルミの食感と風味のアクセントが絶妙です。
〈信州あべ川餅本舗 福田屋本店〉
諏訪郡下諏訪町矢木西25。TEL.0266-27-7397。9時~17時頃(商品がなくなり次第終了)水曜定休(祝日の場合は営業)、他不定休あり。
☞ http://www.fukudayahonten.com/
Googleマップ
8.<小さな絵本美術館 岡谷館>
りんご園の中に佇む小さな心温まる美術館。
『ばばばあちゃん』や『せんたくかあちゃん』などで知られる、岡谷市在住の絵本作家、さとうわきこが1990年に創設した〈小さな絵本美術館〉。1997年には、より自然豊かな原村に、分館の八ヶ岳館も開館しています。
りんご園の中に佇む岡谷館にはさとうわきこをはじめ、スズキコージやフェリックス・ホフマンなどの作品を展示する常設展と、年4~5回開催される企画展があり、訪れる人を楽しませてくれます。でも、見どころはそれだけではありません。館内にある図書コーナーには数々の絵本が並び、子どもの頃に親しんだ絵本に出会えたり、新しい絵本の魅力を発見したりと、大人も子どもも素敵な時間が過ごせます。
春には、館長が営むりんご園に花が咲き、秋には真っ赤なりんごが実ります。そんな風景が彩る季節の移り変わりとともに、楽しい時間を過ごしてみてください。
〈小さな絵本美術館 岡谷館〉
岡谷市長地権現4-6-13。TEL.0266-28-9877。10時~17時 ( 8月は~17時30分。11月~1月は~16時30分) ※最終入館は30分前まで可 大人750円、中高生300円、小学生200円。※八ヶ岳館との共通券は1,100円(10日間有効)。火曜、第2・3水曜定休(祝日の場合は開館・翌平日休み)。※ゴールデンウィークと8月は別途HPで確認、ほか展示替えによる臨時休館あり。
☞ https://www.ba-ba.net/
Googleマップ
9.<オドル>
歳月を重ね美しさを増す古道具に触れる喜び。
南側の窓辺で美しく輝くガラスの花瓶。ほかにも、壁にさりげなく立て掛けられたけん玉やひっそりと佇む木製タンスなど、息を潜めながらも、新たな出会いを待ちわびる古道具たち。ここ〈オドル〉の店内は、そんな古道具たちの生命力に満ち溢れています。
店主の久島潤也さんが岡谷に古道具店を開いたのは2016年のこと。大量生産が始まる前の昭和初期までの、職人が一つひとつ丁寧に造り上げた古道具が店内にはたくさんあります。同じように見えても、表情が違ったり、いびつに見える形が逆に愛嬌だったりと個性も豊か。時代を経ても良いモノは変わりません。「そんな素晴らしい古道具を次の時代にも届けたい」という久島さんの想いは、お店を訪れればすぐに伝わってきます。
買取りは諏訪エリアが中心。蔵や物置を片付ける時、「こんな古いモノは価値がない」と捨ててしまう前に一度相談してほしい、と久島さんは語ります。購入した人がすぐに使えるよう、磨いたり、洗ったり、時には古道具同士を組み合わせて修繕し、新たな命を吹き込んだりと、品物すべてに久島さんの想いが籠もるオドルの古道具たち。お気に入りに出会えた瞬間の喜びは、なんとも言いようがありません。
〈オドル〉
岡谷市加茂町1-6-6。TEL.080-3306-7172。日曜11時~16時、月~土曜定休。
※臨時営業やイベント出店などによる臨時休業など、変更の場合あり。
☞ https://www.instagram.com/odorutimemakes/
Googleマップ
10.<岡谷蚕糸博物館 シルクファクトおかや>
シルク岡谷といわれる理由、その奥深さを体感。
岡谷で製糸業が盛んだったことは知っていても、それが実は世界レベルだったということをご存知ですか? シルクロードで知られるように、シルク自体は約7千年もの歴史があり、日本に伝わったのも弥生時代ととても古いのですが、機械による製糸が始まったのはヨーロッパの産業革命から。日本では開港があった幕末のことでした。それから昭和9年までの約75年の間、国産の生糸は輸出総額の第1位を占め、その内25%を担っていたのが岡谷でした。
昭和39年に開館した〈岡谷蚕糸博物館〉は、平成26年に旧蚕糸試験場岡谷製糸試験所があった現地へと移転。日本に4つしかない製糸工場のひとつ『宮坂製糸所』を併設し、実際に稼働している工場も見学できる唯一無二の形態で、岡谷の蚕糸業の歴史や製糸の今を伝えています。
日本で唯一現存するフランス式繰糸機や、諏訪の人びとが編み出し、日本全国で使われていた諏訪式繰糸機などが展示され、しかもその諏訪式繰糸機や上州式繰糸機が併設の工場で実際に動いているなんて。また、昔ながらの飼育方法を再現する養蚕スペースでは、夢中で桑の葉を食べるお蚕さまの姿も見学できるなど、大人だけでなく子どももたっぷり楽しめます。
〈岡谷蚕糸博物館 シルクファクトおかや〉
岡谷市郷田1-4-8。TEL0266-23-3489。9時~17時。一般510円、中・高生310円、小学生160円。水曜・祝日の翌日・年末年始定休
☞ https://silkfact.jp/
Googleマップ
諏訪湖シティガイド
マップのダウンロードはこちら
取材・文・写真 児玉さつき
<著者プロフィール>
児玉さつき(Kodama Satsuki)
長野県岡谷市在住。
ライター業と3人の子育てに奮闘中。趣味は旅行、特に城巡りが好きで100名城を制覇し、現在は200名城に挑戦中。国宝松本城をはじめ、松代城や懐古園、高遠城、そして諏訪の高島城など、名城の多い長野県をこよなく愛す。
閲覧に基づくおすすめ記事