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麹菌で仕込む大地の味を 凝縮したナチュラルハム

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TOP PHOTO:熟成を重ね、そろそろ食べ頃をむかえるナチュラルハムの原木。肉に刺さる三角の器具は脂受け

 


標高1500mの長和町姫木平の別荘地に「ジャンボン・ド・ヒメキ」はあります。開業は2015(平成27)年、オーナーの藤原伸彦さんが作るナチュラルハムは、スペインのハモン・セラーノの製法に倣いつつ、麹菌をまぶすのが特徴です。
「今から10数年前、諏訪の酒蔵で今は杜氏をやっている方に、余った日本酒用の麹菌をいただいたのがきっかけです」。藤原さんは当時、フレンチのシェフからキャリアアップして経営マネジメントや商品企画を手がけ、2010年開業の諏訪湖畔の複合施設のため、地元の豚肉を使った生ハムを開発していました。 肉に麹菌を繁殖させる取り組みは注目され、製薬会社の研究員や微生物学が専門の大学教授など、さまざまな人とのつながりが生まれます。「老舗のもやし屋さんとのやりとりから、醤油用の麹菌を使うようになりました」。
高冷地である姫木平の気候は、ナチュラルハム作りに最適です。冬。豚肉を数日間、塩漬けし、余分な塩を落として麹菌をまぶします。春までよく乾燥させ、夏は菌を繁殖させます。秋にカビを洗い流し、ひたすら熟成。仕込み開始から20ヵ月ほどで食べ頃をむかえます。
凝縮した旨みとナッツのようなコクは長期熟成ならでは。味には塩も大きく関わります。「放牧豚は木の根を食べます。要は土も一緒に食べるんです。良質な豚肉ほど、オーストリアのレイクソルトの塩のように、ミネラル成分を含んだ内陸の塩が合うと思います」。

ナチュラルハムは発酵・熟成しているもので、ラックスハムと呼ばれる市販の生ハムとは製法からして違います
サシの入る美しい肉質。「旨みが濃いので、チーズはハード系、くだものは生よりドライが合います」
オーナーの藤原伸彦さん。フレンチシェフの経験が生ハム作りに生かされています

Jambon de Himeki

長野県小県郡長和町大門姫木3518-2658
☎ 0268-75-8797
公式サイト

撮影:宮崎純一、取材・文・編集:山口美緒・塚田結子(編集室いとぐち)

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