特集・紅葉ハイキング&自然を味わう Vol.3 紅葉のはじまりを歩く、信州“早秋の森“ 地元ガイドが案内する紅葉見頃・満喫情報
長野県には、標高差を生かした紅葉の名所が数多く点在しています。なかでも、山ノ内・小諸・白馬・駒ヶ根の4エリアにある標高が高いスポットは、県内でもひと足早く秋の彩りが訪れる場所として知られています。
今回は、それぞれの地域をよく知る4名の方に、紅葉の見どころや散策におすすめの立ち寄りスポットなどを伺いました。緑から黄、赤へと移り変わる色彩のグラデーションが美しい、季節のはじまりならではの風景を、信州の“早秋の森”で見つけてみませんか。

紅葉と絶景が織りなす秋の高原旅
志賀高原@山ノ内

長野県の北東部、標高1,300メートル以上の高地に広がる志賀高原は、四季折々の自然を感じられる国立公園内の高原リゾート。春から秋にかけては湿原や湖沼をめぐるトレッキングが人気。四十八池湿原や大沼池など、火山地形が生んだ神秘的な風景が広がり、高山植物や野鳥観察も楽しめる。
志賀高原の紅葉は、標高差と多様な植生によって生まれる色彩のグラデーションが大きな魅力だ。標高2,300mの横手山から1,500メートル付近にある蓮池、丸池まで、800メートル程の高低差があるため、紅葉前線が山頂から徐々に麓へと降りていく様子が長期間に渡って楽しめる。

横手山から望む秋を感じる一枚。山肌を彩る秋の色合いと雄大な眺望が広がる ©志賀高原観光協会

背後にそびえる横手山。標高2,307メートルの山頂からは、鮮やかな新緑のパノラマが高原一帯に広がっている ©志賀高原観光協会
志賀高原の紅葉について教えてくれたのは志賀高原ガイド組合 ガイド・清水守さん。トレッキングコースの自然観察ガイドのほか、環境学習ガイド、登山道の持管理作業なども兼任している。
「紅葉が美しく色づくためには、いくつかの条件が整うことが欠かせません。まず、標高の高い場所では気温の低下が早く、紅葉も一足早く始まります。ただし、葉が色づき出す目安は、最低気温が8度を下回る頃からとされています。加えて、昼夜の気温差が大きいほど、紅葉は一層鮮やかに映えます。日中に陽を浴び、夜間に冷え込むことで、葉の中の色素が際立ち、赤や黄がくっきりと姿を現すといわれています。水分もまた重要な要素。夏に雨が少なければ葉が乾いて傷み、紅葉を迎える前に落葉してしまいます。反対に、台風や長雨などで水分が過剰になれば、葉が落ちたり、色づきが濁ったりする原因となるんです」
美しい紅葉が広がるかどうかは、気温や水分、天候といった自然条件のバランスに左右されると清水さん。今年はその条件に合うのだろうか?
「今年の夏は暑く、雨が少なかったので少々心配ですよね。例年より少し遅い傾向にはあると思いますが、これから雨の日が増えれば、見事な紅葉が山々を彩る様子が見られると思いますよ」


志賀高原の紅葉は、景色の美しさもさることながら、アクセスのしやすさも大きな魅力だ。国道292号をはじめとする高原道路沿いには、車を停めて眺められる紅葉の名所が点在しており、移動の途中でも気軽に秋の彩りを楽しむことができる。
「横手山からの眺望は格別で、山頂から望む夕景は『日本の夕日百選』にも選ばれています。紅葉が深まる10月中旬頃には、山肌が赤や黄に染まり、夕陽に照らされる景色が一層美しく映える様子が楽しめます」
田ノ原湿原の草紅葉(くさもみじ)と遠景の山並みが織りなす風景は、志賀高原ならではの静けさと広がりを感じさせてくれると清水さん。また、木戸池や一沼など、池の周辺では水分が豊富なため、葉がしっかりと色づき、鮮やかな紅葉が見られるのも特徴だ。天気が良く風の少ない日は湖面に映り込む紅葉のリフレクションも楽しめる。
「志賀高原の紅葉は、自然の条件と地形の豊かさが織りなす、奥行きのある秋の風景です。訪れるたびに違った表情を見せてくれるのもこの地の魅力といえるでしょう」
紅葉の見頃情報は、志賀高原自然保護センターのホームページで随時更新されている。詳細を確認したい場合は、センターへ直接電話で問い合わせることも可能だ。プライベートガイドサービスも用意されており、申し込みはホームページから行える。紅葉を満喫できるトレッキングコースも充実しており、季節の移ろいを感じながら自然散策を楽しめる。

落差107メートル直瀑が紅葉に包まれて流れ落ちる様子が圧巻の「澗満滝(かんまんだき)」 ©志賀高原観光協会

志賀高原最大の湖「大沼池」。青く澄んだ水面に紅葉が映り込むリフレクションが美しい ©志賀高原観光協会
【志賀高原】
住所:長野県下高井郡山ノ内町志賀高原
問い合わせ: 0269-34-2133(志賀高原自然保護センター)
紅葉時期:9月下旬~10月下旬
HP:https://shizenhogo-center.shigakogen.gr.jp/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/4XdfvFUYMj1pjmsR7
おすすめ立ち寄りスポット①
「THE ROOFTOP DONING」

ゴンドラを乗り継いで向かうのは、志賀高原・東館山の山頂に位置する「THE ROOFTOP DINING」。標高2,000メートルの絶景を望む展望レストランで、名物のチーズフォンデュをはじめ、地元食材を使った料理と信州産ワインが楽しめる。紅葉の時期は眺望見事なテラス席がおすすめ。
【THE ROOFTOP DINING(ザ・ルーフトップ ダイニング)】
住所:長野県下高井郡山ノ内町平穏7149 東館山ゴンドラ山頂駅 2F
問い合わせ:080-6980-3209
営業時間:9時30分~15時30分(季節・天候により変動あり)
定休日:不定休
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/VYfW7bmFEsKxBiFr9
おすすめ立ち寄りスポット②
「CRUMPET CAFE」

標高2,307メートルの横手山山頂に建つ「クランペットカフェ」は、イギリス発祥のふわもち食感の軽食パンを、焼きたてで味わうことができる日本初のクランペット専門店。自家製ジャムや濃厚バター、ツナメルト、クリームチーズなど多彩なトッピングがそろうので楽しみ方は自由自在。木の温もりあふれる店内も心地よいが、雄大な景色を望むテラス席でのひとときもまた格別だ。
【CRUMPET CAFE(クランペットカフェ)】
住所:長野県下高井郡山ノ内町平穏7149
問い合わせ:0269-38-0770
営業時間:9時~15時30分(季節・天候により変動あり)
定休日:不定休(営業日は公式サイトで要確認)
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/uCZqtm31F4kw5Fgh8
カモシカと出会う黄金色の森ハイク
黒斑山(くろふやま)@小諸

長野県と群馬県の県境に位置する黒斑山(くろふやま)は、標高2,404メートルの浅間山第一外輪山で、浅間山の雄大な姿を間近に望める展望の名所として知られている。整備された登山道は、初心者でも比較的安心して歩くことができ、コース上には「槍ヶ鞘(やりがさや)」や「トーミの頭(かしら)」などの展望地が点在。浅間山の火口や外輪山の景観を楽しめるほか、晴れていたら八ヶ岳や北アルプス、奥秩父の山々まで一望できる。
標高差約430メートル、往復約4時間の行程で山頂に到達できるので、日帰り登山に適したルートが多いのも人気の所以。ただし、活火山である浅間山の外輪に位置するため、火山情報の確認や安全対策も忘れずに行ってから出かけよう。

黒斑山の標高約2,000メートルに位置する賽の河原(さいのかわら)。例年10月中旬から11月中旬にかけて、一帯が黄金色に染まり、草原のような壮大な景観が広がる ©こもろ観光局

黒斑山登山道の途中にある断崖絶壁の絶景スポット「トーミの頭」。標高2,300メートルの断崖上から浅間山の近景や広大な湯の平カルデラを見下ろすことができる ©こもろ観光局
今回、黒斑山の紅葉をガイドしてくれたのはこもろ観光局の森田亨さん。
横浜市出身の森田さんは、大学時代に家族が長野県に移住したことをきっかけに、自身も何度か長野県を訪れ登山の魅力に目覚め、そして浅間山の雄大な景色に惹かれ軽井沢町に移住。現在は、こもろ観光局に所属しながら、地域の自然体験や山岳ツアーの企画・運営に携わっている。
「浅間連邦一帯は標高が高いので、紅葉の始まりが早いんです。『高峰高原ビジターセンター』周辺はカラマツが多いので、黄金色に染まる時期は本当にきれいです。天然のカラマツは枝ぶりも独特で、植林されたものとはまた違った美しさがあるんですよ。
また、黒斑山や高峰高原ビジターセンター周辺は、“日本一カモシカに出会える場所”ともいわれており、高確率でカモシカに遭遇できるんです。前回行った『カモシカ見るまで帰れませんツアー』では10頭以上のカモシカを見ることができました。また11月1日に今年度最後のツアーを行う予定なので、興味がある方は観光局のサイトを確認してみてください」

黒斑山や浅間山周辺のガイドとして活動するほか、浅間連峰地区山岳遭難防止対策協会にも所属。登山者の安全確保にも力を注ぐ。ガイドとしての登山はもちろん、プライベートでも「毎週何かしらの山に登っている」と語るほどの山好き

浅間山の噴火によって形成された火口原「賽の河原」。黒い火山礫が一面に広がる景観が特徴の神秘的な場所だ ©こもろ観光局

「黒斑山は『花の百名山』にも選ばれていて、季節ごとに高山植物を楽しめるのも魅力です。特に初夏から9月初めまでは色とりどりの花が咲き、歩く人を楽しませてくれます」(森田さん) ©こもろ観光局
秋の黒斑山もおすすめだが、もうひとつの見頃は「初冬にあるんです」と森田さん。
雪をまとった浅間山の山肌が、チョコレートケーキに粉糖をふりかけたように見えることから、“ガトーショコラ浅間山”と呼ばれるようになったのだという。近年ではこの珍しいロケーションを写真におさめに冬の時期に訪れる人も多いそう。
「ほかにも浅間山の山頂と月が重なり、まるでパールをいただいているような光景になる“パール浅間”も見どころです。太陽が重なる“ダイヤモンド浅間”は有名ですけど、月の方は年に1~2回しから見ることができないので、かなりレアなんですよ。このタイミングに合わせてガイド付きツアーも開催しています。今年はもう募集をしめきってしまいましたが、ぜひ来年、チェックしてみてください」

紅葉に包まれた高原に粉糖をまとったガトーショコラ浅間山を望む。秋と冬が交差する奇跡の瞬間 ©こもろ観光局

浅間山の頂に刻まれた直径約500メートルの巨大な火口。現在は噴火警戒「レベル2」のため火口縁や前掛山山頂への立ち入りは規制中 ©こもろ観光局
【黒斑山】
住所:長野県小諸市
問い合わせ: 0267-22-1234(こもろ観光局)
紅葉時期:9月下旬~11月上旬
HP:https://www.komoro-tour.jp/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/ah59iJsmLTWGsCd27
おすすめ立ち寄りスポット①
「高峰高原ビジターセンター」

訪れた記念にぜひ味わいたい「かもしかソフト」600円 ©⾼峰⾼原ビジターセンター

高峰高原ビジターセンターは、登山口から道を挟んだ向かいに位置 ©⾼峰⾼原ビジターセンター
黒斑山登山口からすぐ近くの場所にある「高峰高原ビジターセンター」、浅間⼭麓の豊かな⾃然体験の「始まりの場所」として親しまれている。センターの中には⼭登りの前に必要な物が揃うショップがあり、お⼟産品も充実。また、併設のカフェでは、名物の「かもしかソフト」を味わうことも。浅間⼭麓はカモシカの⽣息密度が⽇本⼀と⾔われ、頻繁にカモシカに出会える場所。カモシカに出会えた⽅も出会えなかった⽅も、ぜひ味わってみてはいかが。
【高峰高原ビジターセンター】
住所:小諸市高峰高原
問い合わせ:0267-23-3124
営業時間:8時30分〜17時、カフェ:9時~16時、ショップ:9時~16時
定休日:無休(11月13日以降木曜定休)
HP:https://asama2000.com/green/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/D5ZhCPTv5DQwu8oR6
おすすめ立ち寄りスポット②
「高峰高原ホテル」

標⾼2,000メートルから雲海を⾒下ろす自慢の絶景⾵呂 ©高峰高原ホテル

季節の天ぷらとともに味わえるメニューもそろう。信州そば1,100円~ ©高峰高原ホテル
高峰高原ビジターセンターのすぐ隣にある高峰高原ホテルは、宿泊者以外も気軽に立ち寄れる癒しのスポット。日帰り入浴ではフェイスタオルの販売やバスタオルのレンタルがあるので、手ぶらでも安心。湯上りには窓の外に広がる絶景を眺めながら、湯上り処でのんびり過ごすのもおすすめ。ホテル2階のスカイレストランでは、標高1,000メートルの畑で収穫された小諸産蕎麦を自家製粉した十割蕎麦を味わえ、1階スカイラウンジでは、軽食やスイーツを楽しめる。好みのスタイルで散策の疲れを癒やしてみては。
【高峰高原ホテル】
住所:小諸市高峰高原704
問い合わせ:0267-25-3000
営業時間:日帰り入浴:10時~18時(最終受付17時)、湯上り処:10時~18時、1階スカイラウンジ:10時~17時(16時LO)、2階スカイレストラン:11時~14時(13時30分LO)※そばランチは11月3日までの土・日曜、祝日限定
入浴料:⼤⼈1,000円、子ども500円
定休日:なし
HP:https://www.takamine-kougen.co.jp/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/k3abeoNcW8vKr3uR8
おすすめ立ち寄りスポット③
「ランプの宿 高峰温泉」

高峰温泉の代名詞にもなっている1階にある内湯「ランプの湯」©ランプの宿 高峰温泉

標高2000メートルに位置する「雲上の野天風呂」は宿泊者専用 ©ランプの宿 高峰温泉
高峰高原ビジターセンターから車で約2分の場所に位置する「ランプの宿 高峰温泉」。日帰り入浴で利用できる「ランプの湯」は、その名の通り温かみのあるランプの明かりが灯り、36度の源泉槽と41度の加熱槽の湯温の異なる2つの浴槽を用意。冷温交互⼊浴で筋⾁を解きほぐし、散策の疲れを癒すのもおすすめ。また、宿泊者専用の「雲上の野天風呂」は、眼科に高峯渓谷を見下ろし、朝は雲海、夜はサンセットを望むことができ、自然との一体感を味わうことができる。
【ランプの宿 高峰温泉】
住所:小諸市高峰高原704-1
問い合わせ:0267-25-2000
営業時間:日帰り入浴:11時~16時
入浴料:⼤⼈700円、⼦ども500円、冬季(11月中旬~4月末頃)は大人1,700円(入浴料700円+雪上車乗車料1,000円)、子ども1,100円(入浴料500円+雪上車乗車料600円)
定休日:なし
HP:https://www.takamine.co.jp/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/pRUTohhZWEuCfzst6
三段紅葉とリフレクション、八方池の秋を歩く
八方池@白馬

白馬八方池は、長野県白馬村にある標高2,060メートルの高地に位置する美しい池。八方尾根自然研究路の途中にあり、ゴンドラとリフトを使えば、初心者でも気軽に訪れることができる。
晴れた日には、白馬三山(白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳))が水面に映り込み、まるで空に浮かぶ鏡のような絶景が広がる。上下が逆転したような神秘的な光景は、訪れる人々を魅了し、多くの写真家にとって絶好の撮影スポットとなっている。
八方池までの道のりでは、季節ごとにさまざまな高山植物が咲き、歩くたびに違った表情が楽しめる。
初夏(6月下旬~7月)は雪解けが進み、池が少しずつ姿を現す頃。周囲には残雪が残り、新緑とのコントラストが鮮やかで、ユキワリソウやキジムシロ、ハルリンドウ、ミヤマアズマギクなどの可憐な花々が咲き始める。
夏(7月~8月)になると、高山植物の宝庫となり、池のまわりにはタカネバラやミヤマムラサキ、タカネマツムシソウ、ハクサンシャジン、クガイソウなど、色とりどりの花々が咲き誇り、歩く人の目を楽しませてくれる。
9月下旬から10月中旬にかけては紅葉の季節。唐松岳方面から徐々に山肌が色づき、赤く染まったナナカマドや黄金色の唐松が秋の風景をつくり出す。
池の周辺には木道が整備されているので歩きやすく、初心者でも安心してハイキングを楽しめる。

雲海に包まれた白馬三山 ©白馬観光開発

グラートクワッドリフトを使用せずに登山道を歩くと見えてくる雄大な白馬三山の景色 ©白馬観光開発
八方池の見どころについて教えてくれたのは白馬観光開発の中川純一さん。
「最大の魅力は、白馬三山が池の水面に映り込むこのロケーションです。この絶景を写真に収めようと、多くの方が八方池を訪れています」。
特に、早朝の澄んだ空気の中で見るリフレクションは格別で、時間帯や天候によって映り込みの表情が変わるため、「何度訪れても新しい発見があるんです」と中川さん。
例年、9月下旬頃から山の景色が少しずつ秋の色に染まりはじめていく。赤く色づいたナナカマドが鮮やかに映え、10月中旬になるとダケカンバが黄金色に輝き、季節の移ろいとともに八方尾根は美しいグラデーションに彩られていく。
「紅葉は、標高の高いところからはじまり、徐々に麓へと降りてくる。八方池の見どころは10月上旬から中旬にかけて。10月いっぱいくらいまではゴンドラに乗りながらの紅葉を楽しめます。山頂付近に初冠雪が見られると、山頂の『白』、中腹の『赤』、麓の『緑』が同時に楽しめる『三段紅葉』という、この時期ならではの絶景を楽しめるのも魅力です」


八方ゴンドラリフト「アダム」(乗車時間約8分)で標高約1,400メートルの兎平駅へ。アルペンクワッドリフトに乗り継ぎ約7分、さらにグラートクワッドリフトに乗り継ぎ約5分で八方山荘付近へ。ここから八方尾根自然研究路の木道ルートを約60分~80分ほど歩き八方池へ向かう。
途中には「ケルン」と呼ばれる石積みの道標がある。第2ケルンを過ぎると、やや傾斜がきつくなるが八方池はもうすぐ。「各ケルンからの景色もそれぞれ見どころなのでぜひ写真におさめてください」(中川さん)

北アルプスをはじめ、東側には浅間山や戸隠山なども望めるゴンドラリフト「アダム」©白馬観光開発

アルペンクワッドリフトを降りてすぐの場所にある鎌池湿原での一枚 ©白馬観光開発

秋の風に揺れるナナカマドの赤が鮮やかに映え、その向こうに八方池が広がっている ©白馬観光開発
【八方池】
住所:長野県北安曇郡白馬村北城
問い合わせ: 0261-72-3280(白馬観光開発株式会社)
紅葉時期:9月下旬~11月上旬
HP:https://www.happo-one.jp/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/FC4LoSbJyffH6qhVA
おすすめ立ち寄りスポット
「うさぎ平テラス」

2025年夏にリニューアルオープンした「CAFE YETI」©白馬観光開発

なるべく地元産の素材を使い、季節のメニューを提供 ©白馬観光開発

「CAFE YETI」飲食スペースは約400席と広々空間 ©白馬観光開発
標高1,400mの「兎平駅」にあるうさぎ平テラスは、白馬村の街並みを眼下に望みながら、遠く八ヶ岳や浅間山まで見渡せる絶景スポット。芝生エリアにはソファが設置されており、高原の風を感じながら、ゆったりとした時間が過ごせるほか、愛犬と一緒にのんびりピクニックを楽しむことも。
2階にある「CAFE YETI」は、2025年夏に開放的なカフェテラスへとリニューアル。地元・白馬の食材を使ったフードやスイーツ、ドリンクが味わえる。
屋上にあるリゾート感あふれる「Hakuba Mountain Beach」では、開放的なテラス空間でオリジナルドリンクを楽しめる。雄大なロケーションに囲まれた“空のビーチ”で、白馬ならではの非日常感を満喫しよう。

リゾート感ある屋上テラス「Hakuba Mountain Beach」。ウッドデッキや水盤を設置したエリアがビーチのような雰囲気を演出

「Hakuba Mountain Beach」には専用のBARも併設。「CAFE YETI」で購入したものをここで食べてもOK
【うさぎ平テラス】
住所:北安曇郡白馬村北城八方4258
問い合わせ:0261-72-3280(白馬観光開発株式会社)
営業時間:CAFE YETI:10時~15時30分、Hakuba Mountain Beach:9時~16時(BARは~15時30分)
定休日:シーズン中は無休。営業は11月3日(月・祝)まで
HP:https://www.happo-one.jp/restaurant/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/wVcURmK5Pz7ZNwEj6
標高差が織りなす紅葉のグラデーション
千畳敷@駒ヶ根

標高約2,600メートル、中央アルプス・宝剣岳のふもとに広がる「千畳敷カール」は、氷河によって削り取られたカール地形で、日本国内でも数少ない氷河地形の一つとして知られている。
森林限界を超えた高山帯に位置するこの地では、四季折々の自然がダイナミックに移ろい、特に秋の紅葉は格別。例年9月下旬から色づき始め、10月上旬には一面が鮮やかな赤や黄に染まっていく。長野県内でも紅葉の訪れが早いスポットとして人気が高く、澄んだ空気と雄大な山岳風景の中で、ひと足早い秋の絶景を楽しむことができる。高山植物と岩肌が織りなす独特の景観は、写真愛好家や登山者にも支持されており、ロープウェイでアクセスできる手軽さも魅力のひとつだ。

赤く染まったナナカマドの向こうに、堂々とそびえる宝剣岳 ⓒ駒ヶ根市

夏の名残を残した緑の中に、少しずつ紅葉の色が差しはじめる。この時期ならではのグラデーション ⓒ駒ヶ根市
今回、駒ヶ根市の紅葉スポットを紹介してくれたのは地域おこし協力隊・岡田萌さん。
2023年6月より駒ヶ根市地域おこし協力隊として活動。山岳観光をテーマに、中央アルプスの魅力を伝える企画や情報発信などに携わっている。
「千畳敷カールの紅葉見頃は9月下旬~10月上旬ですが、 その後段々と標高を下げながら麓の駒ヶ根高原に向かって紅葉が下りてきます。駒ヶ根高原全体でみると約2カ月間は紅葉を楽しむことができるので、駒ヶ根市は“日本一紅葉を長く楽しめる場所”でもあるんですよ。タイミングが良ければ、駒ヶ根高原から三段紅葉を楽しむことができるのも魅力です」
「カールが綺麗に見えるポイントとして、おすすめは『SO・RA・TO・KI』。千畳敷駅を出たところのウッドデッキで、目の前に千畳敷カールの絶景が広がります。また『剣ヶ池周辺』も、池の広場から見上げる宝剣岳が圧巻です」


山肌を染める紅葉がカール地形の曲線美を際立たせる ⓒ駒ヶ根市

高山植物が咲き誇る、緑の絨毯のようなカールの情景 ⓒ駒ヶ根市
中央アルプスの麓に広がる駒ヶ根高原は、千畳敷カールとの標高差が大きいので、紅葉の見頃も長く続く。そのため9月下旬から11月中旬まで、さまざまな場所で色づく風景を楽しむことができる。
中でも人気なのが、南信州随一の祈願霊場として知られる光前寺。樹齢数百年の杉並木に囲まれた境内では、モミジやイチョウが鮮やかに色づき、三重塔や苔むす参道とのコントラストが美しく、シーズン中の夜間にはライトアップも行われる。
ほかにも太田切川に架かるこまくさ橋、駒ヶ根ファームス周辺の遊歩道なども紅葉散策におすすめだ。

樹齢数百年の杉に囲まれた南信州随一の霊場・光前寺。例年10月下旬から11月中旬にかけて、境内が鮮やかな紅葉に彩られる ⓒ駒ヶ根市

太田切川に架かる全長146メートルのこまくさ橋。木製の吊り橋で、橋の上からは、澄んだ川の流れと南アルプスの山並みを一望でき散策や写真撮影にも最適な紅葉スポットとしても知られている ⓒ駒ヶ根市
【千畳敷】
住所:長野県駒ケ根市赤穂
問い合わせ: 0265-81-7700 駒ヶ根観光協会
紅葉時期:9月下旬~11月上旬
HP:https://www.kankou-komagane.com/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/nBca3WiuUwL3sWuYA
おすすめ立ち寄りスポット①
「明治亭 駒ケ根本店・中央アルプス登山口店」

「ロースソースかつ丼」(1,790円)。大満足のボリューム感も人気の理由 ©株式会社 明治亭

駒ヶ根本店は中央道駒ヶ根ICより車で約1分の場所にあり、アクセスも良好 ©株式会社 明治亭
駒ヶ根名物「ソースかつ丼」の名店として、観光客から地元民まで多くの人に親しまれている「明治亭」。国産豚ロース⾁を使⽤し、油切れの良い綿実油でサクッと揚げた「ロースソースかつ丼」は、こだわりの特製ソースにくぐらせ、ご飯と⼭盛りキャベツにのせたボリューム満点の⼀品。駒ヶ根市内には、駒ヶ根ICからすぐの駒ヶ根本店と、管の平バスセンター近くの「明治亭 中央アルプス登⼭⼝店」があり、中央アルプス登山口店にはテラス席も用意され、色づいた紅葉の中での食事を楽しむことができる。
【明治亭 駒ケ根本店・中央アルプス登山口店】
住所:【駒ケ根本店】駒ヶ根市赤穂898-6 【中央アルプス登山口店】駒ヶ根市赤穂759-487
問い合わせ:【駒ケ根本店】0265-83-1115 【中央アルプス登山口店】0265-82-1233
営業時間:【駒ケ根本店】11時~20時30分LO 【中央アルプス登山口店】11時~15時LO
定休日:なし
HP:https://www.meijitei.com/
Googleマップ:【駒ケ根本店】https://maps.app.goo.gl/W9WoM5v8kHtq1T5r9
【中央アルプス登山口店】https://maps.app.goo.gl/uf2zzjL3ht38DQqB6
おすすめ立ち寄りスポット②
「信州駒ケ根 早太郎温泉 こまくさの湯」

高原の爽やかな風を感じられ、雄大な山並みを望む露天風呂。眺望自慢の広々とした内湯も備えている ©信州駒ケ根早太郎温泉 こまくさの湯

2025年2月にリニューアルした2階の休憩スペース。開放的でゆったりとくつろげる ©信州駒ケ根 早太郎温泉 こまくさの湯
今から約700年前に、駒ヶ根高原の名刹光前寺に飼われていた「霊犬 早太郎」が、遠州見付神社において怪物を退治し人々を救った、という伝説にあやかって名付けられた「早太郎温泉」。中央アルプス駒ケ岳の麓、駒ヶ根市の高台に位置する日帰り温泉施設「こまくさの湯」は、そんな早太郎温泉の一つ。宝剣岳を望む露天や、薬湯やジェット風呂、中央アルプスの伏流水を利用した水風呂などを有する広々とした内湯、高原のさわやかな風を感じられる外気浴と合わせて楽しめるサウナも備えている。
【信州駒ケ根 早太郎温泉 こまくさの湯】
住所:駒ヶ根市赤穂759-4
問い合わせ:0265-81-8100
営業時間:10時~21時(最終入館20時)、【食堂】11時~21時(20時LO)
入浴料:大人700円、子ども(小学生以下)300円、未就学児無料
定休日:水曜
HP:https://komakusanoyu.com/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/tcA5Ua8id1bJKBbs6
取材・文:大塚真貴子、児玉さつき
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