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特集・初夏の信州でリトリート体験。初心者向けハイク&キャンプデビュー Vol.2 ソロでも安心、信州でキャンプデビュー

穏やかな風が吹き、樹木が緑をまとう初夏の休日。自然と一体となれるキャンプにふさわしい時期がやってきた。今年キャンプデビューを迎える人にこそおすすめしたい、女性ソロキャンパーでも安心、デビューにぴったりなやさしいキャンプ場をピックアップ。ようこそ、一度体験するとハマるといわれるソロキャンプの世界へ……。

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本日、はじめてのひとりキャンプデビュー。

コロナ禍で、だいたいなんでもひとりで楽しめることを知った。ひとり温泉やひとり旅、カラオケも。キャンプはどうだろうか。アウトドア好きの友人に連れて行ってもらったことはあるけれど、ソロキャンプとなるとちょっと心細い。なにせギアは持っていないし、テントも果たして立てられるのか……?そうやって尻込みしていたとき、長野にはたくさんのキャンプ場があって、女性のソロキャンパーにもやさしいキャンプ場があると聞いた。「初めてだけど、ひとりでキャンプ、してみたい」。その気持ちに素直になろうと、浅間山麓のキャンプ場に車を走らせた。

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「信州とうみオートキャンプ場 Glänta (グランタ)」には、上信越道東部湯の丸ICから車で15分ほどで到着 © Glänta

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全面芝生で気持ちがいい。木陰のハンモックでお昼寝も最高!

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電源付き区画オートサイト。電源はなんと、木彫りの動物から取れる

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ドッグラン付きのトレーラーキャビンとフリーサイトも。自然の中で愛犬とのびのび過ごせる © Glänta

到着したのは、東御市にあるキャンプ場「信州とうみオートキャンプ場Glänta(グランタ)」。Gläntaとはスウェーデン語で「木漏れ日のさす広場」という意味だそう。浅間山麓の南斜面に広がる約3万坪の敷地は、全面芝生敷き。その名のとおり、木々がそよぐ気持ちのいい緑地が目の前に広がっていた。

初めてのソロキャンプにここを選んだ理由は、2022年にオープンした新しいキャンプ場で、トイレやシャワーなどの施設がきれいなこと。そして24時間管理人が常駐していること。管理棟がクローズする夜間でも、緊急の際は、管理人の携帯に連絡すれば駆けつけてくれるというから、女性にとっては特に心強い。

しかも、キャンプに必要なギアはひと通りレンタルできるから、初心者でも問題ない。調理器具や食料は基本的に自分で用意する必要があるため、家からカセットコンロと、重ねてコンパクトにできるクッカー、マグカップ、コーヒーケトルを持参した。
途中、道の駅「雷電くるみの里」とローカルなスーパーに立ち寄って、パックごはんやトマトソース、春雨スープ、翌朝のパンなどを購入。東御市には個性豊かなワイナリーが13軒もあるのだとか。せっかくだから、地元のワイナリーのワインも選んで、キャンプのお供に連れて行くとしよう。

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管理責任者の谷口さんと、看板犬のリリーちゃん。管理人さんが常駐してくれるのはありがたい

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トレーラーキャビンは5棟。キャビン前のスペースでは焚き火やBBQが楽しめる

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キャビンはエアコンと電源付きだから、冬のキャンプもぬくぬく快適

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シャワーは15分300円。利用の際は管理棟で鍵を借りよう(9時〜21時)

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管理棟の売店では、燃料や電池、カップラーメンやドリンクなどもそろう

さまざまなスタイルのキャンプが楽しめるなか、今回選んだのは、車1台とテント1張設置できるフリーサイト。テントの設営もスタッフさんがサポートしてくれるとのことでありがたい! 一緒にやってみると、15分ほどで完成。力はいらないし、完成形を思い浮かべながらやると簡単だよ、と教えてくれた。慣れれば女性一人でも張れるようになるというから、忘れないうちにまたトライしてみよう。

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到着後、まずテントを設営。事前にお願いして、スタッフさんに手伝ってもらった

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初心者キャンプには、テントの設営場所選びも重要だ。管理棟に近く、それでいて人工的なものがない視界を確保

なにせ初めてのソロキャンプゆえ、テント設営の場所は、フリーサイトの中でも管理棟の近くに決定。トイレまで1分かからず行けるし、炊事場にも近い。ただし、テントの入り口を管理棟とは逆向きにすることで、建物は視界に入らず、目に映るのは一面の緑だけ。遠くに、ほかのキャンパーさんのテントがぽつぽつと見える。静かで視界良好、これはいい感じ!

そうそう、寝袋のレンタルもぬかりなく。枕を兼ねたエアーマットレスも付いていて、これなら快適に眠れそうだ。まずは今回のテントの居心地を試してみて、気に入ったら後日買うのもいいな。そうやってキャンプにハマっていくのかもしれない……!


自然の中でたき火を眺め、無心になる

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パックごはんとトマトソースでつくるリゾットは、ほっとする温かさ

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たき火に薪をくべて火を眺める、ただそれだけで楽しい

日が傾くにつれて、肌寒く感じてきた。ここは標高1050m、町と比べて気温は3〜4度ほど低いらしい。そんなときはたき火欲がむくむくと高まってくる。レンタルしたたき火台に薪をくべ、火をつける。
食事の準備も始めよう。今日の夕食は、持参したカセットコンロでつくる、トマトリゾットとスープ。簡単にできて、なにより体が温まるのがうれしい。自然の中で食べるごはんって、どうしてこんなにも染みるんだろう。“おいしい感度”がだんだん研ぎ澄まされていく気がする。

パチパチ、ボオッ。焚き火の音に耳を澄まし、炎を見ていると、無心になれる。今日は一人だから、時計も見ずに、おなかが空いたら食べ、眠くなったら眠ろう。自分のリズムを取り戻すように。

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薪は火がつきやすい信州産カラマツか、火持ちのする広葉樹が選べる

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道の駅で買ったロゼワインを味わう。ランタンの灯りも癒し……

そういえば、施設内にはバーもあるという。管理棟に隣接するバーの扉を開けると、ランタンとウイスキーボトルが並ぶカウンターが迎えてくれた。ここにあるのは、オーナーが趣味で集めた貴重なヴィンテージランタンで、ほとんどが100年くらい前につくられたドイツ製のもの。クラシックなデザインが素敵なランタンに火をつけてもらうと、やわらかく暖かな光にぼんやり照らされた。なんと1,000円でレンタルできるものもあり、購入も可能。気に入った人が買っていくこともあるのだとか。

初夏のおすすめは、ここで手摘みしたフレッシュなミントを使ったモヒート。さわやかでさっぱり、おいしい。
「ソロキャンプで来る女性の常連さんもいらっしゃいますよ」と谷口さん。ソロで来た人同士、ここで会話を交わすこともあるという。そんな楽しみが待っているのも、バーの魅力だ。

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カクテルは700円。冬はホットワインが人気。テイクアウトして外で味わうこともできる

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珍しいヴィンテージランタンを並べた「ランタンナイト」を開いたことも。イベントはインスタグラムをチェック

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暖かな灯りがもれる、Glänta’s bar(営業は10時~21時)

バーを出たら、空には満天の星が広がっている。町から遠く、灯りもほとんどないから、瞬く星が肉眼でたくさん見える。アウトドアチェアに座って、ぼーっと星空を眺めながら、余韻に浸った。

22時以降はクワイエットタイム。ファミリーやグループで来ている人たちも、この時間をまわったらどうかお静かに、というのがこの施設のルール。たとえ混雑している日でも、静かな夜が過ごせるのがいい。

 

野鳥のモーニングコールで目覚める

翌朝、目が覚めたのは5時台。気づけばテントの屋根がうっすらと明るくなっていて、寝袋に包まれながら朝を感じた。鳥のさえずりがあちこちから聞こえ、おはよう、起きよう、と言っているみたい。

炊事場で顔を洗い、再びたき火に火をつける。昨日買ったパンをフライパンでリベイクして、コーヒーをドリップする。今朝は少し肌寒い。だからこそ、たき火のぬくもりやコーヒーの温かさが身に染みる。
ちょっと焼いただけなのに、クロワッサンはバターの香りが立ち、カリッと香ばしくなる。自然の中で慈しむ、贅沢な一人時間。こんな朝を知ってしまったら、帰りたくなくなってしまうな。

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朝のすがすがしい空気の中で食べるごはんは格別

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コーヒーは手軽に、丸山珈琲のドリップバッグで抽出

後ろ髪を引かれながら道具を片付け、チェックアウトの10時まで、ハンモックに寝そべってみる。木々の間からこぼれる、朝のやさしい光と目が合う。森の中で、しばしのうたた寝タイム。このまま、自然と一つになっていたい。

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ハンモックに寝そべり、食後のうたた寝タイム

たった1泊で、こんなにもリフレッシュできるなんて思わなかった。ワイルドすぎる山の中ではなく、管理人さんが常駐しているから怖くないし、レンタルアイテムも充実。日常から離れて豊かな自然に浸れる、ここはソロキャンプデビューにぴったりの場所だ。

帰り道、果樹畑の間を抜けるように車で下る。遠くにアルプスの山々が見えて、のどかな風景は続いていく。まだこの時間を噛み締めたいから、近くの日帰り温泉に立ち寄ろう。大田区民でなくても利用できる天然温泉「大田区休養村とうぶ」か、巨峰畑に温泉が湧く「湯楽里館」もいいな。
「アルカンヴィーニュ」、「ドメーヌナカジマ」など、Gläntaの15分圏内には6~7ワイナリーが点在している。おみやげに、東御のワインを買って帰ろう。

こんなふうに、自由気ままに過ごせるソロキャンプの楽しさに、なんだか目覚めてしまったかも。少しずつ自分のギアも増やしていきたい。一年を通して迎えてくれるこの場所へ、次の季節にもまた訪れてみたくなった。

【信州とうみオートキャンプ場 Glänta(グランタ)】

住所:長野県東御市和6599
問い合わせ:0268-75-8335
HP:https://glanta.site
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/nqAxdhcmR1ocLUky7

充実設備がソロにも安心!まだある2つのキャンプ場

自分と向き合い自然の中で心と体をリセットするソロキャンプ。電源付きサイトや売店完備、トイレやシャワーが清潔など、設備が整っていることに加え、今回紹介しているキャンプ場はすべてキャッシュレスにも対応。初心者でも不安なくアウトドアの魅力を存分に味わえる2つのキャンプ場をご紹介。


Nagano forest village(ナガノフォレストヴィレッジ)

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夜は焚き火を囲みながら満天の星空を堪能 ©nagano forest village

長野市街地から車を走らせて約25分、飯縄山山麓の大座法師池(だいざほうしいけ)のほとり、標高約1000mの高原に佇む「nagano forest village(ナガノフォレストヴィレッジ)」。敷地内は大きく2つに分かれ、「キャンプフィールド」を含む5つのフィールドと、カフェや地場産品が豊富にそろうマルシェ、「屋内アクティビティ」を備える「森の駅 Daizahoushi」を備えている。

湖の西側に広がる「キャンプフィールド」内にはデイキャンプサイトなどもあり、事前予約での利用が基本。宿泊者用には、高台と湖畔沿いの2カ所に備えたデッキサイト、車の乗り入れがないことから、静かなステイが叶う水辺のフリーサイト、木の温もりを感じられるログキャビンなどがあり、ファミリーからソロキャンパーまでのさまざまなニーズに応える。自然との一体感を味わいたい本格派はもちろん、キャンプ道具のレンタルも充実し、電源付きのデッキサイトやログキャビンも用意されているため、子ども連れのファミリーや初心者も安心して訪れることができる。

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初級・中級者向けのフリーサイト。平面が多い湖畔沿いが人気 © nagano forest village

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到着後は森の駅内アクティビティ棟にある「インフォメーション」で受付。受付時間は9時~17時 © nagano forest village

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トイレはサイトエリアと森の駅の2カ所に設置。徒歩10分ほどの場所には日帰り入浴施設も © nagano forest village

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2024年にできた湖畔沿いに4区画の電源付きのデッキサイト © nagano forest village

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ログキャビンは、2段ベッド付きやペット同伴可のキャビンも揃う © nagano forest village

県外利用者や、女性、ソロキャンパーが多い理由として「共通する点では、市街地からのアクセスの良さ。女性のお客様には、施設のトイレの清潔さや、レストランが併設されている点をご好評いただいています。そして、お一人で足を運んでいただくケースとしては、“あまとみトレイル”というコース沿いにあり、中間の滞在拠点として利用されるソロキャンパーさんが多いように感じています」とスタッフの倉澤さん。

キャンプ道具のレンタルに加え、マルシェやカフェ、レストランといった施設が充実していることも魅力の一つ。併設のマルシェでは、BBQ用にぴったりの地場産の肉や野菜、クラフトビールなどを販売。初めてのBBQはハードルが高いという人には、9時から21時まで営業しているカフェやレストランのテイクアウトを利用するのもおすすめ。夕食を楽しんだ後は、自然が奏でる音に耳を傾けながらたき火を囲み、一人物思いにふけったり、仲間との会話を楽しんだりと、思い思いの過ごし方で非日常感を満喫できる。

【nagano forest village】

住所:長野県長野市上ヶ屋2471-608
問い合わせ:026-239-3272(9時~18時)
HP:https://naganoforestvillage.eternal-story.com/
Googleマップ: https://maps.app.goo.gl/aZDZrwUcgbN5S13a8


GLAMPINGBASE enCamp(グランピングベース エンキャンプ)

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敷地内にある共有のたき火スペース ©GLAMPINGBASE enCamp

テント泊はまだ一人だとハードルが高い。そんな人におすすめしたいのが、自然を直に感じながらも、ラグジュアリーなステイが楽しめるグランピング。2021年5月に塩尻市にオープンした「GLAMPINGBASE enCamp」は、山や川、湖に囲まれた立地が魅力。春は木々や草花の芽吹き、夏は虫との触れ合い、秋は紅葉、冬はたき火と満天の星空など、四季の移ろいを感じることができるグランピング施設だ。

部屋は、ドームテントやシェルテントなど利用人数に合わせてさまざまなサイズから選べ、インテリアに趣向を凝らしたオシャレな空間と、窓の外に広がるグリーンを同時に楽しめる全13室を用意。「全室に冷暖房を完備していますので、オールシーズンを通して快適にお過ごしいただけます。また、手ぶらで気軽に来場していただけるように家具や家電、無料の貸出品も揃っていますので、女性同士で利用されるお客さまも大変多いです」とスタッフの山口さん。各テントは管理棟を囲むように設置され、駐車場も各部屋からアクセスしやすい場所にあるなど利便性が高い。さらに平日のコスパの良さや、プロジェクターの貸し出しサービスなど、キャンプがもっと楽しくなる仕掛けも充実している。

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ドームテント SUNの内装。シングルベッド4台、ソファベッド2台、ロフトがあり、計12名宿泊可能 ©GLAMPINGBASE enCamp

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シェルテントOHANAは、ダブルベッド2台、ソファベッド、ロフトがあり計12名宿泊可能 ©GLAMPINGBASE enCamp

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冬の澄んだ空気の中に佇むシェルテント OHANA ©GLAMPINGBASE en Camp

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敷地内にはジップライン、トランポリン、ブランコ、ドッグラン、たき火スペース、モルック場(木のピンをめがけモルックという木の棒を投げ点数を競うフィンランド生まれのスポーツ)など設備充実。写真はモルック場とトランポリン ©GLAMPINGBASE enCamp

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夕食付きのプランでは長野県産の食材を使ったBBQを提供 ©GLAMPINGBASE enCamp

施設内には、ジップラインやブランコといった自然との一体感を味わえるアクティビティを備え、徒歩ですぐの場所には温泉施設があり、グランピング宿泊者は全員無料で利用できる。

おすすめは手ぶらで楽しめる夕朝食付きのプラン。ディナーは長野県産の食材をふんだんに取り入れたBBQを堪能でき、各客室専用スペースで気兼ねなく楽しめるのもポイント。メニューには春夏秋冬の旬の食材を盛り込み、季節の訪れを感じることができる。BBQを味わった後は、各テントに設えたウッドデッキのプライベートな空間で、木々の間に広がる夜空を見上げながら星を眺めるのも良し、BBQ用のグリルを使ってまったりたき火を楽しむのもいいだろう。朝食は、地元ベーカリーから仕入れたパンや、出来立てのハンバーガーなどを提供。ドリンクはコーヒー、もしくは紅茶から選べる。朝の清々しい空気を感じながらコーヒーを傾けるなど、非日常感の中で安らぎの一人時間を過ごすことができる。

【GLAMPINGBASE enCamp】

住所:長野県塩尻市金井638-1
問い合わせ:070-4000-2585
HP:https://encamp-glamping.com/
Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/wFbuLBbZCwCdZYqT6


撮影/宮崎純一 取材・文/塚田真理子、児玉さつき

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