【長野の秘湯12選】隠れるように存在する秘湯の宿で極上の温泉を堪能

〝時代の流れから取り残されたような山の宿で、温泉のよさを守り、自然環境の保持、保全に努める〟という理念に共感した宿からなる「日本秘湯を守る会」。今回は長野県内の「日本秘湯を守る会」の会員宿の中から厳選した、日帰り入浴も可能な宿を中心に紹介します。

豊富な湯量に多彩な泉質、全国に誇る名湯揃いである長野県。その中でもアクセスが不便であってもわざわざ足を運びたくなるような、日本の原風景の中に存在する極上の秘湯の宿をお愉しみください。

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TOP PHOTO:©沓掛温泉 満山荘
 

営業状況やサービス内容等は変更となる場合がございます。最新の情報は各施設にお問い合わせください。
 

01 地獄谷温泉 後楽館(長野県山ノ内町)

徒歩でしか辿り着けない秘湯中の秘湯


日中は噴泉により虹がかかることも。噴泉の噴きあげる音と川の流れる音が響き渡る夜もまた違った情景に © GoNAGANO観光データベース

横湯川の渓谷に佇む、徒歩で赴く一軒宿。地獄谷温泉唯一の宿で、ニホンザルが温泉に入る「温泉猿発祥の宿」とも言われています。源泉かけ流しの露天風呂からは国の天然記念物に指定されている「地獄谷噴泉」を眼前にのぞむことができ、風向きによっては噴泉のしぶきが露天風呂に降り注ぎます。タイミングが合えば戯れる野生のニホンザルを観察することもできます。

部屋は和室が全13室。館内にはマンガ1,000冊以上が並ぶ「まんが部屋」やDVDルームも完備されています © GoNAGANO観光データベース

【INFORMATION】

【エリア】北信濃エリア - 山ノ内町
【スポット名】地獄谷温泉 後楽館(☞公式サイト
【日帰り入浴】可
【アクセス】上信越自動車道「信州中野IC」より車で約30分、「上林温泉無料駐車場」より徒歩約30分、渋温泉旅館組合駐車場(有料)から徒歩約10分(4月1日~11月30日のみ通行可能)/長野電鉄「湯田中駅」よりバス、「上林温泉」下車、徒歩約30分
【住所】長野県下高井郡山ノ内町大字平隠6818(Google Maps
【電話】0269-33-4376

02 初谷温泉(長野県佐久市)

炭酸味・塩味を感じる効能豊かな「宝命水」


左が鉄分を含んだ源泉、右がさら湯(新湯)。まず、さら湯に入り、次に源泉湯に入るのがおすすめ © GoNAGANO観光データベース

1885年(明治18年)創業、山里にある静かな一軒宿。「宝命水」と名付けられた茶褐色に濁った源泉は飲泉もできます。2021年に客室を7室に改修。食事も個室スタイルで楽しめ、佐久鯉や山菜など地元の素材を生かした料理と、佐久11蔵の地酒をゆっくり味わえます。

“水守”として、初谷の谷に湧く宝命水。1953年(昭和28年)、常連客だった元駒沢大学総長・保坂玉泉氏により命名 © GoNAGANO観光データベース

【INFORMATION】

【エリア】東信州エリア - 佐久市
【スポット名】初谷温泉(☞公式サイト
【日帰り入浴】不可
【アクセス】上信越自動車道「佐久IC」より車で約25分/JR「中込駅」より送迎あり(要予約)
【住所】長野県佐久市内山352-イ-1(Google Maps
【電話】0267-65-2221

03 霊泉寺温泉 和泉屋旅館(長野県上田市)

国民保養温泉地に指定。信州の山あいにある小さな温泉場


泉質は「低張性 弱アルカリ性 温泉 硫酸塩温泉」。その昔、平維盛が戸隠の鬼女退治をした帰りに、この地で傷を癒したとも言われています ©和泉屋旅館

「霊泉寺」の寺湯として古くから栄え、守り伝えられてきた「霊泉寺温泉」。万病に効くが石鹸が泡立ちにくいことから「霊泉寺効かぬは シャボンばかりなり」ということわざも残されています。温泉地にある4軒中の一軒「和泉屋旅館」は、創業100年を越える老舗の宿。源泉かけ流しの湯はゆっくりつかれるよう温度はぬるめ。地元で採れた山菜や松茸など、季節にあわせた料理も評判です。
※現在改装工事中のため休館中です。詳細は施設にお問い合わせください。

【INFORMATION】

【エリア】東信州エリア - 上田市
【スポット名】霊泉寺温泉 和泉屋旅館(☞公式サイト
【日帰り入浴】可
【アクセス】長野自動車道「松本IC」または「安曇野IC」より車で約40分、上信越自動車道「東部湯の丸IC」より車で約40分/JR「松本駅」よりバスで約50分
【住所】長野県上田市平井2530(Google Maps
【電話】0268-44-2011

04 沓掛温泉 満山荘(長野県青木村)

四季折々の姿をみせる静かな里山で1200年の歴史を紡ぐ名湯を堪能


古くから薬湯として親しまれてきた湯は約40℃とぬるめ。pH値も高く湯上がりの肌はすべすべに ©沓掛温泉 満山荘

平安時代に開湯し、信濃の国司だった滋野親王が目の病を治したと伝えられる沓掛温泉。青木村の静かな山間で、1200年の歴史を重ねています。「満山荘」は、沓掛温泉でわずか2軒しか残されていない旅館の一つです。お風呂はすべて源泉かけ流し。2種類の露天風呂が揃い、「万葉の湯」からは村の田園風景と山々を見渡せ、内湯から外階段を降りた場所にある野天風呂「沓掛の湯」では、里山の自然を間近に楽しめます。

地元で採れた山菜や野菜、川魚、信州牛など旬の食材をふんだんに使った創作料理を提供。美しい器も必見 ©沓掛温泉 満山荘

【INFORMATION】

【エリア】東信州エリア - 青木村
【スポット名】沓掛温泉 満山荘(☞公式サイト
【日帰り入浴】不可
【アクセス】上信越自動車道「上田菅平IC」より車で約30分、長野自動車道「麻績IC」より車で約30分/JR「上田駅」よりバスで約30分、「青木バスターミナル」下車、タクシーで約10分(送迎は応相談)
【住所】長野県小県郡青木村沓掛434(Google Maps
【電話】0268-49-2002

05 中房温泉(長野県安曇野市)

北アルプスの中腹に位置し、個性違いの多彩な露天風呂が揃う


中房温泉の一番高い位置にある野天風呂「月見の湯」。29本の源泉を有し14種類の湯巡りが楽しめる温泉好きにはたまらない宿です © GoNAGANOアーカイブ記事

北アルプスの中腹、燕岳登山口に位置する中房温泉は、1821年(文政4年)に開湯した歴史ある温泉宿。建物は文化庁の登録有形文化財に登録されています。14種類のお風呂と温泉プールを有し、全て源泉かけ流し100%の湯を楽しめます。地熱を利用し、卵やジャガイモ、おやきなどを蒸して食す「地熱蒸し」体験も評判です。日帰り専用野天風呂「湯原の湯」のみ日帰り入浴が可能です。

渓谷の自然に囲まれ、温泉と森林浴を満喫できる「白滝の湯」 © GoNAGANO観光データベース

【INFORMATION】

【エリア】日本アルプスエリア - 安曇野市
【スポット名】中房温泉(☞公式サイト
【日帰り入浴】可(日帰り専用野天風呂「湯原の湯」)
【アクセス】長野自動車道「安曇野IC」より車で約60分/JR「穂高駅」よりバスで約40分、「中房温泉」下車
【住所】長野県安曇野市穂高有明7226(Google Maps
【電話】0263-77-1488

06 山田旅館(長野県小谷村)

のどかな山あいに佇む歴史と情緒が残る秘湯宿


江戸、明治、大正、平成、それぞれの時代に建築された建物が軒を連ね、昔ながらの湯治場の風景を醸し出しています © GoNAGANO観光データベース

江戸時代に建築された、木造建築6棟が、文化庁の登録有形文化財に指定されています。昔ながらの湯治場の風情を残す秘湯の宿。元湯と新湯の2本の自家源泉から湧く新鮮な湯を贅沢にかけ流しで堪能できます。最近ではほとんど見られなくなった自炊場も近くにあり、長期の湯治滞在も可能です。
※外湯(展望風呂)は冬季閉鎖となります。詳細は施設にお問い合わせください。

小谷温泉を象徴する元湯は100年前から残る浴槽の趣はそのままに、2021年にリニューアルされました ©山田旅館

【INFORMATION】

【エリア】日本アルプスエリア - 小谷村
【スポット名】山田旅館(☞公式サイト
【日帰り入浴】可
【アクセス】上信越自動車道「長野IC」または長野自動車道「安曇野IC」より車で約90分/JR「南小谷駅」よりバスで約35分「小谷温泉山田旅館前 」下車
【住所】長野県北安曇郡小谷村中土18836(Google Maps
【電話】0261-85-1221

07 中の湯温泉旅館(長野県松本市)

上高地で唯一、通年営業する温泉宿


遮るものが何もない絶好のロケーション。温泉は無色透明の単純硫黄泉で、登山疲れも癒してくれます ©中の湯温泉旅館

安房峠の中腹、上高地への入り口に位置する「中の湯温泉旅館」は、上高地で唯一通年営業している宿で、登山愛好者の基地としても人気です。目の前には雄大な日本アルプスとブナの原生林が広がり、見渡す限り人工物がない唯一無二のロケーション。岩造りの露天風呂からは、霞沢岳、穂高連峰を望み、雪の日には菅笠をかぶって入浴するという雪国の宿らしい体験も一興です。

中の湯名物「鴨なべ」をはじめ、山菜やイワナなどが並ぶある日の夕食 ©中の湯温泉旅館

【INFORMATION】

【エリア】日本アルプスエリア - 松本市
【スポット名】中の湯温泉旅館(☞公式サイト
【日帰り入浴】可
【アクセス】長野自動車道「松本IC」より車で約75分/アルピコ交通上高地線「新島々駅」よりバスで約60分、「中の湯」バス停下車、送迎あり
【住所】長野県松本市安曇4467(Google Maps
【電話】0263-95-2407
【備考】冬季は「旧安房峠・中の湯入り口」のゲートが閉まっているため、宿泊客限定で手前の「中の湯バス停」や「中の湯売店」まで送迎あり(詳細は施設にお問い合わせください)。

08 坂巻温泉旅館(長野県松本市)

上高地入り口の渓谷に位置する秘湯の宿


梓川のせせらぎを聞きながらつかる露天風呂 © GoNAGANO観光データベース

上高地の入り口・標高1,220mの渓谷に佇む一軒宿。1928年に発見された自家源泉の硫黄泉は「子宝の湯」としても知られており、胃腸病や婦人病などにも効果があると言われています。梓川渓谷の絶景がのぞめる野趣あふれる露天風呂は日帰り入浴も可能です。

上高地へのアクセスに便利な渓谷沿いの宿。宿泊者はチェックアウト後でも当日に限り無料で入浴が可能です © GoNAGANO観光データベース

【INFORMATION】

【エリア】日本アルプスエリア - 松本市
【スポット名】坂巻温泉旅館(☞公式サイト
【日帰り入浴】可
【アクセス】長野自動車道「松本IC」より車で約60分/アルピコ交通 上高地線「新島々駅」よりバスで約65分、「坂巻温泉」バス停下車
【住所】長野県松本市安曇上高地(Google Maps
【電話】0263-95-2453

09 八ヶ岳名湯 唐沢鉱泉(長野県茅野市)

山奥にありながらもリピーターが絶えない秘湯の宿


巨石を組んでつくった湯殿。総古代杉造りの浴槽、コケむした岩のすき間にシダが育ち、風情ある風景に ©八ヶ岳名湯 唐沢鉱泉

八ヶ岳連峰・天狗岳の中腹、標高1,870mに位置する秘湯の宿。人々を虜にしている山のいで湯は、珍しい二酸化炭素冷鉱泉で、毎分約600lの豊富な湯量が自然湧出しています。ぬるめの湯、熱めの湯の浴槽と、3m近い巨岩の上からは10度の冷たい源泉の打たせ湯もあります。窓からのぞむ四季折々の風景も人気です。

【INFORMATION】

【エリア】諏訪エリア - 茅野市
【スポット名】八ヶ岳名湯 唐沢鉱泉(☞公式サイト
【日帰り入浴】可
【アクセス】中央自動車道「諏訪南IC」より車で約40分/JR「茅野駅」より送迎バスで約40分(要予約)
【住所】長野県茅野市豊平4733-1(Google Maps
【電話】0266-76-2525

10 大喜泉(長野県木曽町)

じっくり癒やされたい、温泉療養の宿


弱酸性で強い殺菌力を持つと言われているので短時間の入浴がおすすめ。飲泉も可能 © GoNAGANOアーカイブ記事

天保元年(1831年)創業、御嶽山の麓にある温泉宿。100%源泉を用いた湯は、鉄分を多く含む炭酸水素塩冷鉱泉で、肌の不要な角質や毛穴の汚れを取り除く洗浄効果があると言われています。全5室のみの部屋はゆったりくつろげ、季節の食材を用いた薬膳料理も評判です。

【INFORMATION】

【エリア】木曽路エリア - 木曽町
【スポット名】大喜泉(☞公式サイト
【日帰り入浴】可
【アクセス】中央自動車道「伊那IC」より車で約60分/JR「木曽福島駅」よりタクシーで約15分
【住所】長野県木曽郡木曽町三岳10869(Google Maps
【電話】0264-46-2155

11 奥天竜 不動温泉佐和屋(長野県飯田市)

里山の風景が残る南信州の秘湯宿


不動明王ゆかりの「奥天竜不動温泉」の湯あみが楽しめるのはこの宿のみ。四季の風景とともに肌がつるつるになると言われる極上湯を堪能できます ©奥天竜 不動温泉佐和屋

「名勝 天龍峡」にほど近い一軒宿。泉質は体にじんわり染み渡る単純温泉で、男女それぞれの大浴場と開放的な露天風呂のほか、巨岩を組み合わせて作られた神秘的な「洞窟風呂」も揃います。ヤマメや野菜などを囲炉裏で焼いた「囲炉裏端料理」や地元の食材を用いた懐石料理も魅力です。

大きなガラス窓に囲まれた開放感ある内湯。ほかに混浴の洞窟風呂があります ©奥天竜 不動温泉佐和屋

【INFORMATION】

【エリア】伊那路エリア - 飯田市
【スポット名】奥天竜 不動温泉佐和屋(☞公式サイト
【日帰り入浴】不可
【アクセス】三遠南信自動車道「天龍峡IC」より車で約15分/JR「天竜峡駅」よりタクシーで約15分、送迎あり(要予約)
【住所】長野県飯田市千代2303-11(Google Maps
【電話】0265-59-2122

12 鹿塩温泉 湯元 山塩館(長野県大鹿村)

2万年の時を超えて湧く珍しい「塩の湯」


浴室は大鹿村の石を使った「天然石の湯」と「檜の湯」の2種類。窓の外に人工物は一切なく、春は天然のヤマザクラ、秋は燃えるような紅葉、冬は渓谷に生きるカモシカの姿を目にすることも ©鹿塩温泉 湯元 山塩館

南信州の奥深く、秘境と呼ばれる大鹿村に位置する「鹿塩(かしお)温泉 湯元 山塩館」は、全国的にも珍しい〝塩の湯〟が湧く温泉旅館。地底7,000mから80年かけて地上に湧き出る自家源泉は、少なくとも2万年以上前の塩水と考えられており、悠久の時を超えたお湯が体の芯まで温めます。標高750mの地にありながら、もっとも濃い源泉井戸は塩分濃度4%と海水を上回り、無色透明で海水のようなベタつきはなく、湯上がりの肌はさらりとしています。

昔ながらの落ち着いた雰囲気を楽しめる本館の部屋とモダンなデザインにリニューアルした新館の部屋が揃います ©鹿塩温泉 湯元 山塩館

【INFORMATION】

【エリア】伊那路エリア - 大鹿村
【スポット名】鹿塩温泉 湯元 山塩館(☞公式サイト
【日帰り入浴】不可
【アクセス】中央自動車道「松川IC」より車で約40分/JR「伊那大島駅」よりバスで約30分「鹿塩」バス停下車、徒歩約10分(送迎あり)/JR「伊那大島駅」よりタクシーで約35分
【住所】長野県下伊那郡大鹿村鹿塩(Google Maps
【電話】0265-39-1010


制作:フィールドデザイン

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