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『GREEN WORK HAKUBA』は 白馬(resort)×生活空間(living)×実験室(lab)なのかもしれない_❷

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安居昭博氏/アムステルダム在住サーキュラーエコノミー研究家、サスティナブル・ビジネスコンサルタント、映像クリエーター。これまでに50を超える日経企業・自治体に向けオランダで視察イベントを開催。また複数の企業へアドバイザー・外部顧問として参画。企業向け講習会の実施やメディア媒体を通じた発信活動も行う。2019年日経ビジネススクール×ETIC『SDGs時代の新規事業&起業力養成講座~資源循環から考えるサスティナブルなまちづくり~』講師。

3泊4日にわたる『GREEN WORK HAKUBA』開催中、絶えず同年代の参加者たちと熱い論議を交わし、笑い、自らもエンジョイしている人がいた。スピーカーの一人、安居昭博氏だ。プロフィールからも理解できるように、サーキュラーエコノミーだけではなく世界を舞台にSDGsなどグローバルな概念フィールドで活躍。世界経済フォーラム参加メンバーでもある。先日11月3日~7日に開催されたJCI世界会議横浜でも「SDGs×ファイナンスがもたらすレジリエンス」をテーマに登壇したばかり。その若きフロントランナーに『GREEN WORK HAKUBA』開催から2ヶ月を経た今、あたらめて白馬で過ごした4日間を振り返り、その思いを訊いた。

白馬への訪問は大学生以来でした。私はこの約7年間、ドイツとオランダ、ヨーロッパを拠点に活動をしています。今回白馬へお招きいただいて気が付いたことがあります。それは自然への価値観の相違です。オランダには私たちが思い浮かべるような山がないのです。もちろん小高い山というか、丘陵みたいな地形はあります。観光媒体で目にする運河は多いのですが、白馬の大雪渓から流れる松川のような河川もありません。当たり前とも思えることですが、白馬村を形成する大自然の存在は世界から見た上でも日本に残された貴重な財産であると感じています。

岩岳の山頂にテーブルを設置しワークショップ実践。昼食はHAKUBA MOUNTAIN HARBORのテラスで。夜には宿泊先のお風呂で自然発生的に再びディスカッション。大都市で開催されるイベントとはまた違った、地方で合宿形式で行なったからこその濃い学びの時間があったと思います。

“東京でできないものは地方でできるはずがない”という声を聞くことがあります。でも、地方には地方だからこそできる可能性がたくさん眠っていると感じます。新型コロナウイルス禍で世界のライフスタイルは変容しています。これまで都市部で生活をしていた人たちの間では、地方で自然と近い距離で仕事をしながら生活をするという選択肢が現実的になってきています。地方でリモートワークをする際には作業環境・教育・子育てのしやすさ・都市への交通アクセス面なども重要な要素になってきます。これは私の個人的な考察ですが、白馬村は東京や名古屋からのアクセスも良いですし、子どもがのびのびと遊ぶことのできる自然環境がある。これから新しい拠点としての注目度がましてくると思っています。

少し話が脱線しますが、一つの事例を紹介させてください。千葉県いすみ市では学校給食のオーガニック化が進められています。2015年に1ヶ月ほど試験的トライアルをしたところ、とても評価が高く、2017年から本格導入されたそうです。具体的には有機米を主食とし、野菜7品目を副食に採用しています。地元生産者と行政が一体になっての協業があってできたことです。メディア等でこの取り組みを知った大都市で暮らす子育て世代からの問い合わせが多数あり、移住を決意した家族も少なくないそうです。特に家庭や子どもを持つタイミングで移住を考える人たちが多いようで、その際に子育ての環境はとても重視される傾向にあるそうです。学校給食がオーガニック化されたのをきっかけに地域ではオーガニック食材を使用したレストランやベーカリー、カフェが増え、結果として観光客が増えるなど地域全体で魅力ある街づくりに繋がっているそうです。

“冬の白馬”として国内外から注目度が高い白馬村ですから、白馬が情報発信の拠点になったら……きっかけは観光かもしれませんが、その後生活の拠点となり、自分たちが暮らす地域の魅力を世界へ向けてリリースする……『GREEN WORK HAKUBA』はそのアプローチですよね、きっと。オランダをはじめ欧州北部では「リビングラボ」が注目されています。職種や専門が異なるさまざまなバックグラウンドの人たちが協働し、地域が抱える問題の改善に対して実験的な試みを行っていく。もちろん前例のないアプローチは失敗するリスクも常に付きまといますが、そこは「learning by doing(やりながら、学んでいく)」という考えを重んじ、誰かが失敗をしたらみんなが支えてあげて再チャレンジを応援する。そうして全体の力で自分たちの社会をより良くしていくという考え方は、今の日本にとっても必要だと感じています。

私は『GREEN WORK HAKUBA』の創起をお聞きしたとき、すぐにこの「リビングラボ」を思い起こしました。白馬村は「リビングラボ」の拠点になるかもしれません。いや、なって欲しいです。

『GREEN WORK HAKUBA』開催期間中、岩岳山頂に設置された象徴的横断幕。剥ぎ取り可能でトートバッグとして使用できるデザイン。最終日、参加者は好きなパーツを取り満面の笑み。安居氏もお気に入りを確保。

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