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ローカルな音楽シーンの熱が渦巻く!長野県の音楽スポット

ライブハウス、音楽バー、クラブ…街の音楽スポットには、
音楽を介してさまざまな人々が集います。
旅先の夜は音楽が鳴る空間に出向いてみましょう!
長野県に点在する4つの音楽スポットをご紹介します。

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記載の内容は、記事執筆時点の情報となります。営業状況等変更になる場合がございますので、最新の情報は各施設にお問い合わせください。

知らない街に出かけたら、
小さな音楽スペースに
出かけてみましょう!

東京一極集中だった日本の音楽シーンも今では変化がみられ、土地代、賃料が比較的安価な地方だからこそ成り立つ実験的な音楽スペースがたくさん存在するようになりました。知らない街に出かけた時には、ぜひ街の音楽スポットに足を運んでみてください。なるべく小さな音楽スペースだとなおよし。その街にずっと住んでいる人から、移住してきた人、学生、会社員、お店をやっている人、ほかの街からやってきた人、外国人観客まで、街の音楽スペースにはさまざまなバックグラウンドをもつ人が集っています。旅先で知らない人と会話するのも気が引けてしまうことも多いけれど、音楽が鳴っている空間では、人の心も少しオープンに。何気ない会話から発展して、地元の人たちが普段から通っているお店や、隠れた名所を教えてもらえたり、その土地のディープな情報に触れられる場所として、実はうってつけです。
長野県にも比較的新しい場所から長年、愛され続けてきた老舗まで、その街の文化の拠点になっている個性的な音楽スポットが存在しています。今回は、長野県内3地域、4つの音楽スペースをご紹介します。

90年代初頭から
音楽人、演劇人に愛される
文化拠点「ネオンホール」
(長野市)

長野市、善光寺の周辺にある繁華街・権堂エリアのアーケード街から歩いてすぐ、蔦に覆われた木造の建物の扉を開けて階段をのぼると現れる小ホール空間。「ネオンホール」は、ライブスペース/小劇場/アートスペースとして多くのアーティストから愛されてきました。その歴史は古く、1992年まで遡ります。現在はメジャーシーンで活躍するバンド〈OGRE YOU ASSHOLE〉のベーシストとして活躍する清水隆史さんが、信州大学在籍時に仲間たちと設立。当初はお店に住みながらアートの展示会やライブイベントなどを企画していたそうです。店主の代がわりを経て、空間は守られ続け、長野県内の重要な文化拠点になっていきました。
現在は、日本のロック/フォーク史に名を刻むようなベテランミュージシャン、気鋭のインディミュージシャンなど県内外のさまざまな音楽家によるライブパフォーマンス、ネオンホール独自に企画される演劇公演から、長野県中の劇団による演劇公演などのイベントが繰り広げられています。平日には、吹奏楽部、美術部、DTM研究会、落語研究会、誰かと戯曲をよむバーなど大人の部活動といったイベントから、日替わりマスター&ママがバーカウンターに立つスナック風バー営業まで、気軽に出向けるような小さな催しも開催。実験的で尖った表現空間でありながら、暮らしのなかで「普通に」表現活動を楽しむための場所としても親しまれています。
現在の店主・大沢夏海さんを中心に独自に発行し続けている「ネオントーク」も読み応えたっぷり。ゲストミュージシャンやネオンホールに集う人たちへのインタビュー、コラム、イラストなどが掲載され、この空間で展開される物語の数々がリアルに伝わってきます。長い時間をかけて生み出されてきた表現活動への丁寧な愛と熱が漂う特別な空間。善光寺方面にお出かけの際には足を伸ばして立ち寄っていただきたいです。

ネオンホールのバースペース

音楽だけでなく、演劇の稽古や朗読会なども開かれます

ネオンホール

海外インディシーンも
地元からも愛される
ライブスペース/バー
「Give me little more.」
(松本市)

独自の人脈で多くの海外ミュージシャンも招待。
「Give me little more.」は、アメリのインディーエモロックバンド
「American Football」の《My Instincts Are The Enemy》のMVでロケ地にもなった

松本市を流れる女鳥羽川沿いにひっそりと佇むライブスペース/バー「Give me little more」。一見すると、ここがライブスペースなのか? と疑うような小さな入口。扉を開けるあと、年季の入ったバースペース、さらに奥に進むと、程よい大きさのライブスペースが登場します。名古屋から学生時代に移住し、松本の街でバンド活動をしながら長野県の音楽シーンにのめりこんでいた新美正城さんが2013年に立ち上げたスペース。30年以上前からバーとして存在していた場所と隣の民家を繋げて改装された空間には、独特のノスタルジックな雰囲気と、現在の松本の音楽シーンの熱気が同時に交差しています。
お店が発行しているマンスリーペーパーを眺めると、東京、名古屋、カナダ、ドイツ、オーストラリア、オランダなど全国各地のみならず、全世界からさまざまなミュージシャンがこの場所でライブをしている様子がうかがえます。インディポップ、インディロック、ポストパンク、フォーク、エレクトロ、実験音楽まで店主が厳選したジャンル問わず一癖ある音楽性のライブイベントが週1、2のペースで開催されます。ライブイベントがない日も、バーとしてオープン。バーカウンターにはめずらしいウイスキーや、ラム酒、ハーブリキュールなどが並び、店内に漂うスパイスカレーのエキゾチックな香りが食欲をそそります。
ディープな音楽空間でありながらも、そこに集う人たちは実に多様。この街の音楽好きはもちろん、松本市内でお店を営む人たち、最近DJをはじめたという高校生、洋酒好きの学生から、たまたま通りがかったスーツ姿の男性、カレーを味わいにきた若者、近隣のゲストハウスでおすすめされて辿り着いた外国人観光客、など日によってさまざまなお客さんが混在しています。入りづらい入口とは好対照な、隣り合わせた初対面同士の人たちが何となく会話してみたくなるようなオープンな雰囲気。バーでの会話をきっかけに音楽の世界へとのめりこんでいった人や、お店が主催する「DOPEなHOPE」というニューカマーイベントをきっかけに音楽をはじめた人もいるそう。地元の音楽シーンへ愛を注ぎながら、世界中のインディペンデントな音楽シーンとのネットワークをつくっている全国でも稀な存在の音楽スポットです。

Give me little more.

「りんご音楽祭」の原点。
民家を改装した個性的な
パーティーハウス「瓦レコード」
(松本市)

「Give me little more.」から女鳥羽川沿いをのぼっていくと、徒歩5分ほどで見えるのが「瓦RECORD」。玄関スペースで靴を脱いで入場するなんとも不思議な音楽スペースです。
この空間を運営しているのは、いまや全国の音楽フェスシーンのなかでもひと際存在感を放っている「りんご音楽祭」の代表・古川陽介さん。もともと瓦屋だった場所と民家を繋げ合わせて改装した空間で、ライブハウスでもクラブでもなく、オーナー自ら名乗る「パーティーハウス」という呼び名が、確かにしっくりきます。
そのはじまりは2004年に遡ります。もともとは信州大学の授業の仲間のたまり場的な空間だったそうですが、そこからレコードを扱ったり、DJパーティーやライブイベントを行ううちに、徐々に松本の重要な音楽スポットになっていたという成り立ち。テクノ、ハウスなどの電子音楽を中心に、ヒップホップ、インディミュージック、フォーク、昭和歌謡、J-POPまでジャンルを問わず、さまざまな音楽性のイベントを開催。気鋭からベテランまで国内のアンダーグラウンドシーンのDJがプレイする場であり、同時に地元の若手DJが経験を積む場所でもあり、まさに松本のダンスミュージックシーンの核になっている場所です。
設立以来、何度も改装を繰り返し、実験の末に生み出された空間には、バーカウンターのあるラウンジスペースと、踊るためのフロアスペースが用意されています。ダンスミュージックのためにタイトにチューニングされた音響と大小さまざまなミラーボールとカラフルな照明の演出。一心不乱に音楽に身を委ねる人がいる一方、ソファで寝転ぶ人、読書をする人、水タバコを楽しむ人、バーカウンターでひたすら会話に話を咲かせる人、この空間での過ごし方は実にさまざまです。この居心地の良さから、県外から来た人が予定を変更してそのまま1週間滞在してしまうなんていうことも! 朝を迎えてもまだまだ音が鳴り止まない場面もめずらしくありません。松本の夜、遊び足りない人にとっては、うってつけの空間といえるでしょう。根っからのパーティー好きのオーナーが自分にとって最高に楽しめる場所をつくった結果生まれた個性的なスペース「瓦RECORD」。ぜひ、足を踏み入れてみてください。

瓦レコード

生音中心に普遍的な音楽の魅力を
伝える肩肘張らない音楽ラウンジ
momentom(伊那市)

 

JR伊那市駅を下車してすぐ、古めかしいパチンコビルの一角に灯る明かりに導かれ地下へと降り、扉を開けると現れるお店、「momentom」。2016年にオープンし、いまや伊那エリアの欠かせない音楽スポットです。オーナーの折橋栄一さんは、デザイナー/DJとしても活躍。洗練されつつも、肩肘張らない絶妙な居心地の内装、ヴィンテージな質感を漂わせた美しいフライヤーの数々は、折橋さんの長年の経験とセンスに裏打ちされています。ファンク、ソウル、ディスコ、ジャズ、フュージョン、ラヴァーズロック、ワールドミュージック、シティポップ、ヒップホップ、昭和歌謡まで生音を中心としたDJイベント/ライブが毎週末繰り広げられ、伊那エリアの音楽好きはもちろん、県内の生音クラブシーンの中心地として、ほかの街からもさまざまな人びとが訪れます。重低音を抑え、生楽器、ボーカルが心地よく鳴るようにチューニングされた音響は、没頭して踊るのにも、ちょっと離れてラウンジ感覚で会話しながら楽しむのにも最適。フロアには、80年代のディスコをリアルタイムで経験したであろう軽快なステップのお洒落な紳士から、最近レコードの魅力にハマった若者まで、幅広い世代の人々が渾然一体となって踊ります。DJ Mitsu the Beats、ズクナシ、モミーFUNKなどの国内有名アクトから、シカゴのレアグルーヴ専門レーベルNUMERO GROUPEなどの海外アクトまで、さまざまな地域からこの場所を目がけてアーティストが集まります。初めて訪れても、以前からその場所、そこにいる人たちを知っていたかのような感覚になってしまう親密な雰囲気。アンダーグラウンドでも、最先端であることにもこだわらず、誰もが普通の感覚でいろいろな時代の音楽を楽しめるタイムレスな魅力を大切にした音楽空間。伊那市の夜はここで決まりです!

momentom


いかがでしたか。音楽だけでなく演劇の場としても数々のアーティストをつないできた「ネオンホール」、海外インディバンドも出演する「Give me little more.」、長野随一の野外フェス「りんご音楽祭」の原点ともいえる「瓦レコード」、いまや国民的人気バント「KinG gnu」を輩出した伊那市で世界中のアーティストを招く「momentom」。独自の人脈で個性豊かに音楽シーンをリードする長野県の音楽スポットを巡ってみませんか。

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