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信州の豊かな山の恵み 本場のジビエを堪能しよう

「ジビエ」と聞くと「硬くて食べづらい」「においが気になる」という
イメージを持つ人もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
本場だからこその、ジビエの楽しみ方をご紹介します。

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そもそも、ジビエとは?

ジビエとはフランス語で、狩猟で捕獲した鹿や猪など野生の獣や鳥の肉のこと。ヨーロッパで古くから発展してきましたが、長野県でも食文化のひとつとして伝統的に受け継がれています。最近では自然の恵み・ジビエを有効にいただくための取り組みが盛んになっていて、メニューとして提供する店も増えています。そのひとつ、大町市中山高原にある「農園カフェラビット」のオーナーシェフで、県の「信州ジビエマイスター」「おいしい信州ふーど(風土)名人」でもある、児玉信子さんにお話をうかがいました。

農園カフェ ラビット

シンプルに食べると、おいしさが分かる

鹿や猪の肉というと、「臭い」「硬い」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、「しっかり処理をして調理したジビエ料理は滋味深い味わいがします。栄養面でも、魅力がいっぱいです」と、児玉さん。
長野県工業技術総合センターによる分析調査でも、たとえば鹿は、牛や豚などの肉と比較してたんぱく質が多く、一方で脂質が少なく、その結果からカロリーも少ないことがわかっています。また、ミネラルもほかの肉に比べて多く、とくに鉄では牛肉の2倍近く、豚肉、鶏肉の5倍以上含まれているのだそう。またカルシウムも牛肉、豚肉の2倍以上含まれています。
さらに、ジビエにも旬があって、夏から秋は鹿、冬は猪や熊の肉がおいしい季節。「鹿は淡白で、においもほとんどありません。猪も、1月~3月のオスは発情期でにおいが強いですが、ほかの時期は捕ってからすぐに血抜きをするなど処理さえきちんとすれば気になりません。1週間ほどつるしておけば、水分が抜けて水っぽさもなくなります」。猪というとワイルドなイメージがありますが、その脂身の繊細な甘さに驚くはずです。
ハードルが高いという人のために、児玉さんは、なるべく旬の野菜と合わせるなど工夫して、見て楽しい、食べてもおいしい料理にしようと心がけています。初心者の方におすすめの料理は、カレーやサルシッチャ(ソーセージ)など。しかし、ジビエは素材に力があるので、化学調味料などで手を加えずシンプルに食べるほうが、そのもののおいしさを感じられます。ぜひ、カレーなどで親しんだのちには本格ジビエも試してみてください。

鹿肉の自家製ソーセージとポークサルシッチャの盛り合わせ
鹿のラグーのパスタ

「命をいただく」ことに責任を持ちたい

児玉さんが農園カフェラビットをはじめたのは2011年のこと。最初からジビエ料理を出していただけではなくて、当初は野菜中心の料理を考えていたそうです。しかし、自家栽培していた畑が鹿や猪などの被害に遭うことが多かったことから、狩猟免許を取得。猟友会に入り、わな猟の免許も取って仲間で「美麻ジビエ振興会」をつくり、翌年には狩猟肉の解体・加工施設として美麻ジビエ工房を立ち上げました。大人4、5人がかりで行う解体作業は大変ですが、「適切に処理をして、部位の特徴を生かした料理にすることで、命をいただくことに責任を持ちたい」と児玉さん。
地元の小中学校では、給食にジビエを使ったカレーが登場します。先日は、地元の中学生と一緒にレシピを開発して、鹿肉をトルティーヤに巻いて食べてみました。子どもたちにとってジビエは、“地元の味”になっているのではないでしょうか。
長野県内では農園カフェラビットのある大町市のみならず県内各地で狩猟が行われ、迅速に、そして丁寧に処理されたおいしいジビエをいただくことができます。ジビエはちょっと…と言わず、まずは食べてみるところからはじめてみませんか?

解体は大人4、5人ががりで行う
調理をする児玉さん

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