TOP PHOTO：河童橋から望む穂高連峰は『上高地』を象徴する景色 ©松本市
 

記載の情報は記事構成時点（2025年6月）のものとなります。各施設の営業内容等は変更になる場合がございます。最新の情報は各施設等にご確認ください。
 

北アルプスの玄関口として知られる『上高地（かみこうち）』は、標高約1500mに位置する山岳景勝地。梓川の清流や穂高連峰、焼岳など、雄大な自然美に囲まれた絶景が広がります。

シンボル的存在の「河童橋」、穂高連峰を映す幻想的な「大正池」、神域に佇む「明神池」などの名所が点在。国の特別名勝および特別天然記念物にも指定されており、新緑の春から紅葉の秋にかけて、毎年多くの人が訪れています。

周辺観光も楽しむなら、時間に余裕を持った1泊以上の滞在が理想です。朝夕の静かな時間帯に上高地本来の魅力をじっくり味わうこともできます。

※『上高地』の開山期間は例年4月中旬〜11月15日まで。冬季は県道上高地公園線が通行止めとなり、シャトルバスも運休します。

『上高地』はマイカーの乗り入れが規制されているため、長野県側からは沢渡（さわんど）エリアの駐車場を利用し、シャトルバスまたはタクシーに乗り換えてアクセスします。

夏休みや紅葉の時期はとくに混雑しやすく、朝早くに駐車場が満車になることも。混雑が予想される場合は、岐阜県側・平湯温泉エリアに駐車し、『上高地』行きのシャトルバスを使うのもひとつの手。また、松本市内に駐車し、電車とバスを乗り継ぐ方法もあります。

長野県側からアクセスする場合、乗り換え拠点の「沢渡バスターミナル」に隣接する「沢渡ナショナルパークゲート」で、上高地の自然やマナーについての情報を確認してから出発しましょう。

上高地の見どころや楽しみ方をより詳しく知りたい方は、散策ルートや定番スポット、宿泊・グルメ情報まで網羅された下記の記事もぜひ参考にしてみてください。

【保存版】一度は行きたい！
はじめての上高地ガイド

上高地へのアクセス拠点となる沢渡周辺には「さわんど温泉」があり、少し足を延ばせば「白骨温泉」「のりくら温泉郷」など個性豊かな名湯が点在しています。

大自然を満喫した後は、温泉につかって旅の余韻にひたる贅沢なひとときを過ごしてみてはいかがでしょう。

北アルプス・乗鞍岳の東山腹に位置する『白骨温泉（しらほねおんせん）』は、600年以上の歴史を持つ名湯。空気に触れると乳白色に変化するにごり湯が特徴で、「三日入れば三年風邪をひかない」ともいわれています。

泉質は弱酸性の硫黄泉で、肌にやさしく胃腸病や皮膚病などに効果があるといわれ、飲泉も可能。新緑や紅葉の季節はとくに美しく、自然に包まれ心身ともに癒されます。

風情ある宿が点在する温泉街はコンパクトにまとまり、日帰り入浴できる施設も複数あります。詳細は、以下の記事をご覧ください。

白骨温泉で日帰り入浴ができるスポット4選！
日帰り温泉・旅館の立ち寄り湯・混浴可能な施設などを紹介

上高地行きシャトルバスの乗り換え地点・沢渡エリアに湧く『さわんど温泉』は、上高地観光とセットで訪れるスポットの定番です。

泉質は無色透明の単純温泉・弱アルカリ性で、やさしい肌あたりの湯が旅の疲れをほぐしてくれます。エリア内には日帰り入浴可能な施設が4ヵ所あり、それぞれ異なる趣が楽しめます。

梓川沿いの「さわんど湯の郷公園」には無料の足湯が整備されており、気軽に温泉気分を味わえます。時間があれば、近くの「池尻湿原」を散策するのもおすすめです。

日帰り温泉施設の営業時間や入浴料などの詳細は「さわんど温泉観光組合」の公式サイトでご確認ください。
https://sawando.ne.jp/trip/311/

乗鞍岳の山腹に広がる『のりくら温泉郷』。さまざまな泉質や特徴を持つ3つの源泉があり、乳白色の硫黄泉「乗鞍高原温泉」、無色透明で刺激の少ない「すずらん温泉」、カルシウムやマグネシウムを多く含む「安曇乗鞍温泉」を楽しむことができます。

「のりくら観光案内所」の斜め向かいにある「乗鞍高原 湯けむり館」は、数ある日帰り温泉施設のなかでも代表的なスポット。硫黄の香り漂う白濁の湯と、乗鞍岳を望む開放感ある露天風呂が魅力です。

『のりくら温泉郷』の歴史や各施設の詳細な情報は、下記のページで紹介されています。
https://onsen.norikura.gr.jp/

標高約1400m、原生林に囲まれた山あいに建つ『中の湯温泉旅館』。「日本秘湯を守る会」会員で、源泉かけ流しの単純硫黄泉の湯は肌にやさしく、疲労回復や冷え性、神経痛などに効果があるとされます。

開放感あふれる露天風呂からは穂高連峰や霞沢岳が望めます。貸切風呂も備えており、空いていればプライベート空間でくつろぐことも。

JR「松本駅」からは、完全予約制の無料送迎サービスを利用できるため、公共交通機関利用の旅行にも便利です。宿泊時には、鴨鍋や岩魚の塩焼きなど、板長こだわりの山の幸を活かした料理が並びます。

上高地へと続く梓川の流域には3つのダム「奈川渡ダム（なかわどだむ）」「水殿ダム（みどのだむ）」「稲核ダム（いねこきだむ）」が連なっており、これらを総称して『梓川3ダム』と呼びます。人工建造物のスケール感と、周囲の自然が織りなすダイナミックな景観が魅力です。

なかでも「奈川渡ダム」は高さ約155mの巨大アーチ式コンクリートダム。ダム湖「梓湖」には、四季折々の風景が映り込み、紅葉の名所としても知られています。

松本から上高地方面へ向かう国道158号線沿いに建つ『道の駅 風穴の里』。施設名の由来でもある「風穴」は、年間を通じて5〜10℃の冷気を保つ天然の冷蔵庫で、古くから漬物や蚕の保管に利用されていました。現在も稲核菜（いねこきな）の漬物や日本酒の熟成に使われており、見学も可能です。

館内には、地元産の野菜や山菜、きのこなどが並ぶ直売所のほか、十割蕎麦や松本名物の山賊焼、みどのダムカレーなどが味わえる食事処も併設。ソフトクリームやおやきがテイクアウトできる屋外売店もあり、休憩やお土産探しにぴったりのスポットです。

もうひとつの絶景に出合える『乗鞍高原（のりくらこうげん）』は、北アルプス・乗鞍岳の東山麓に広がる高原地帯。標高1200〜1800mに位置し、壮大な山岳風景と澄んだ空気に包まれています。

春は高山植物、夏は滝巡りや登山、秋は紅葉、冬はスノーシューと、四季を通じて自然体験を楽しめるのが魅力。旅館やペンション、ホテルなどの宿泊施設も充実しており、温泉やカフェ、地元食材を使ったレストランも点在しています。

上高地の清涼な渓谷美とは異なる、開放感あふれる高原の魅力にもぜひふれてみてください。

『一の瀬草原』は標高約1500mに位置するなだらかな湿原。約30ヘクタールに点在する白樺林や小さな池をつなぐように木道が整備されています。周回コースの所要時間は約2時間。高原の爽やかな風を感じながら、自然散策を満喫できます。

春は水芭蕉、初夏はレンゲツツジ、夏はワレモコウやマツムシソウ、秋は黄金色のススキと紅葉が一帯を彩ります。絶景ポイントの「まいめの池」では、風のない朝に“逆さ乗鞍”が見られるかも。

野鳥のさえずりや小動物の気配に耳を澄ませながら、五感で自然を感じられる場所です。

『乗鞍三名滝』は「善五郎の滝」「番所大滝」「三本滝」の3つの名瀑の総称。それぞれ異なる表情を見せ、季節や時間帯によっても印象が変わります。

伝説の釣り師にちなんで名づけられた「善五郎の滝」では、迫力ある水音とともにその姿を間近で楽しめます。冬には滝全体が凍りつく「氷瀑」スポットとしても有名です。

「番所大滝」は三名滝の中で最もスケールが大きく、黒い岩肌を豪快に流れ落ちる水が霧となって立ちのぼります。展望台からその迫力を間近に体感できるのが魅力です。

そして「日本の滝百選」に選ばれている「三本滝」は、水源の異なる3つの滝が一堂に会するスポット。力強く水を落とす滝、高さのある細身の滝、静かに流れる神秘的な滝と、それぞれが個性的で見応えがあります。

各滝の周辺には駐車場や遊歩道が整備されており、気軽に立ち寄れるのも嬉しいポイントです。滝しぶきを浴びて、自然のエネルギーをたっぷりとチャージしてみてはいかがでしょうか。

標高1500mに位置する『乗鞍BASE』は四季折々のアウトドア体験が楽しめる複合型施設。キャンプ場のほか、カフェやレストランなども併設されています。

マウンテンバイクのレンタルや、マレットゴルフなどのアクティビティも充実。人気の「アドベンチャーパーク」には、ジップラインや空中ブランコなどスリル満点の全19種のアトラクションがそろい、大人も子どもも夢中になって遊べます。

上高地から足を延ばすなら、JR「松本駅」を中心に徒歩やバスで巡れる『松本市街地』もおすすめ。
国宝「松本城」や「旧開智学校校舎」、「なわて通り」など歴史ある建物が点在するまち並み、縁結びで知られる「四柱神社」、お洒落なカフェ・レストランなど見どころが盛りだくさんです。

詳しいスポット情報は、以下のふたつの記事でご確認ください。

松本城から10分圏内！
松本城周辺の散策・観光スポット12選

松本市の公園9スポット
遊具やアスレチック、水遊びなどが楽しめる公園をピックアップ

江戸時代の面影を色濃く残す『奈良井宿』は、中山道沿いで栄えた歴史ある宿場町。JR「奈良井駅」から徒歩すぐとアクセス良好で、車でなくとも訪れやすいスポットです。
伝統的な建物が並び、木曽漆器の店や飲食店も軒を連ねています。風情あるまちを散策しながら、グルメや買い物もお楽しみください。

『奈良井宿』内の各スポットの詳細は、下記の記事でご紹介しています。

中山道「奈良井宿」を巡ろう
おすすめ観光スポット、見どころ、モデルコース、アクセス情報などを紹介

北アルプスの麓に広がる『安曇野エリア』。清流と緑に恵まれた自然豊かなロケーションにあり、沢渡からは車で約1時間とアクセスも良好です。

観光名所の「大王わさび農場」では、広大なわさび田の見学や、わさびソフトクリームなどの名物グルメが楽しめます。

彫刻家・荻原守衛の作品を収蔵する「碌山（ろくざん）美術館」や、絵本画家・いわさきちひろの世界に浸れる「安曇野ちひろ美術館」などの文化施設も充実。

安曇野市穂高に建つ「穂高神社」はこの地に根付く信仰を今に伝える古社で、上高地の明神池には奥宮が鎮座しています。上高地とのつながりを感じられるスポットとしても訪れておきたい場所です。

文：松尾 奈々子