北アルプス登山のおすすめ10ルート!初級~中級者向けを難易度・体力レベルも合わせてご紹介
初心者や登山経験が浅いけど、非日常の雄大な自然に出会える北アルプス登山に挑戦したい! という人のために日帰りや山小屋泊のおすすめルートをご紹介します。
登ると天空の世界が広がる日本の屋根“日本アルプス”。その一つ「北アルプス」の初心者やファミリーでも楽しめるルートをご紹介。ぜひ高山ならではの絶景への一歩を踏み出してみましょう!
TOP PHOTO:爺ヶ岳(長野県大町市・富山県中新川郡立山町)
ダイナミックな山々の絶景が目の前に広がる天空世界
北アルプスは、中央アルプス・南アルプスとならぶ「日本アルプス」の一つ。北アルプスとは、富山県・岐阜県・長野県・新潟県の4県にまたがる飛騨山脈の別名で、2,000mから3,000mを越える山々が連なる大山脈です。壮大な山々が織り成す絶景や、豊かな高山植物を楽しめます。
また北アルプスは、1.比較的登山道が整備され歩きやすい、2.ほとんどの山小屋に食堂・売店・トイレなどがあり初心者も安心、3.マイカーで登山口のすぐ近くまで行ける所も多い、などの理由から初心者にも人気があります。今回は、そんな北アルプスの初級・中級者におすすめの10ルートをご紹介します。
*長野県では登山ルートの体力度や難易度を評価した「信州 山のグレーディング」を公表しています。1~10段階の体力度(数字が大きくなるほど体力が必要)、A~Eの技術的難易度(Eが最も難易度が高い)、コースタイムなどをまとめたもので、本記事に記載の情報は、「信州 山のグレーディング」や市町村等が発表する資料を参考にしております。
☞信州 山のグレーディング
01 風吹岳(長野県北安曇郡小谷村)
北アルプス最大の湖を散策
風吹岳は白馬連峰北部にある山で、白馬岳方面に比べ、比較的人通りが少なくハイシーズンでも静かな山を満喫できます。登山道にはオオシラビソとダケカンバの林に囲まれた神秘的な北アルプス最大の湖「風吹大池」(標高1,778m)中心に、個性的な小さな池が点在。山頂は樹林に包まれ、景色は望めませんが、春~夏には、ミズバショウ、ニッコウキスゲ、ワタスゲなどの高山植物が咲き乱れる池の周りを散策するのが風吹岳の魅力。池の畔に立つ風吹山荘を基点に一日かけて散策するコースもあるので、山小屋に泊まってのんびりと過ごすのもおすすめです。
【INFORMATION】
ルート名称:風吹岳(土沢登山口)
標高:1,888m
日程:日帰り
体力レベル:3
難易度レベル:B
歩行時間(目安):登り:土沢登山口~風吹岳 2時間30分 /下り:風吹大池~土沢登山口 2時間
総歩行距離(目安):6.9km
山小屋情報:風吹山荘
登山口までのアクセス:上信越自動車道「安曇野IC」より約2時間30分(Google Maps)
02 唐松岳(長野県北安曇郡白馬村・富山県黒部市)
初心者も体感できる!森林限界を越えた天空の世界へ
白馬村から出ているゴンドラとリフト(アルペンクワッド/グラートクワッド)を2本乗り継ぐと、わずか40分ほどで標高1,830mの「八方池山荘」まで行けるため、森林限界を越えた世界が広がる北アルプス入門の山といわれる唐松岳。山荘周辺のハイキングコースや八方池までのトレッキングコースを歩くだけでも楽しめる場所です。唐松岳頂上山荘があるので1泊して天空の世界を満喫するのもいいでしょう。夏は、色とりどりの高山植物や花々、秋の紅葉も見応えがあります。立山や鹿島槍ヶ岳、五竜岳などの北アルプスの名峰を望むことができる唐松岳の山頂からの景色は、多くの登山者の心をつかむ絶景です。
【INFORMATION】
ルート名称:唐松岳(八方池山荘)
標高:2,696m
日程:1泊 or 日帰り
体力レベル:3
難易度レベル:B
歩行時間(目安)
登り:八方池山荘~唐松岳 3時間30分/下り:唐松岳~八方池山荘 3時間
【1泊2日の場合】
1日目:八方池山荘~唐松岳頂上山荘(頂上すぐ) 3時間30分/2日目:唐松岳頂上山荘~八方池山荘 3時間
総歩行距離(目安):10.5km
山小屋情報:唐松岳頂上山荘
登山口までのアクセス:長野自動車道「安曇野IC」より約1時間30分、駐車場より八方アルペンライン(ゴンドラ・リフト)を利用(Google Maps)
03 五竜岳(長野県大町市・富山県黒部市)
気持ちの良い絶景の尾根歩きを堪能!
日本百名山の1つの五竜岳。一般的な登山路は「遠見尾根」からで、途中の小遠見山は展望の良いピークで、ベンチもあり、五竜岳や鹿島槍ヶ岳を望みながら一休みすることができます。小遠見山までの往復は、登山初心者や子連れ登山者も楽しめる日帰りトレッキングコースです。小遠見山からは素晴らしい展望が続く尾根歩きを楽しめ、五竜山荘から山頂へは、主にごつごつとした岩の道で高度感があり、鎖場もあります。登山経験に自信のない方は他の低山での経験を積んだ上でチャレンジすることをおすすめします。
【INFORMATION】
ルート名称:五竜岳(アルプス平駅)
標高:2,814m
日程:1泊
体力レベル:5
難易度レベル:C
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
1日目:アルプス平駅~五竜山荘 5時間30分 /2日目:五竜山荘~五竜岳~アルプス平駅 6時間
総歩行距離(目安):15.4km
山小屋情報:五竜山荘
登山口までのアクセス:長野自動車道「安曇野IC」から約1時間、「エスカルプラザ とうみ駅」からゴンドラで約10分(Google Maps)
04 白馬岳(長野県北安曇郡白馬村・富山県黒部市)
天空の池とお花畑の非日常な世界に出会おう!
白馬岳は大雪渓と多彩な高山植物が特徴で、日本百名山および花の百名山に選定されています。栂池自然園からのルートでは途中に北アルプスの中で2番目の大きさを誇る白馬大池があり、湖畔の植物が美しく楽園のようです。大池から白馬岳への稜線歩きは爽快で開放感にあふれ、夏の登山の醍醐味がたっぷり味わえます。白馬岳山頂は、剱・立山連峰をはじめとする北アルプスの峰々や南アルプス、八ヶ岳の背後には富士山と、日本の名だたる高峰が一望。何度も訪れる登山客が多いというのも納得の絶景に出会えます。
【INFORMATION】
ルート名称:白馬岳(栂池)
標高:2,932m
日程:1泊
体力レベル:5
難易度レベル:B
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
1日目:自然園駅~白馬岳・白馬山荘 6時間 /2日目:白馬山荘~自然園駅 5時間
総歩行距離(目安):17.7km
山小屋情報:白馬山荘
登山口までのアクセス:上信越自動車道「長野IC」より約2時間、栂池ロープウェイ「栂大門駅」よりロープウェイで約5分(Google Maps)
05 爺ヶ岳(長野県大町市・富山県中新川郡立山町)
気持ちの良い稜線歩きの醍醐味を存分に
爺ヶ岳は、南峰、北峰、中峰の3つのピークからなっています。最高峰は中峰です。扇沢をスタートして歩く柏原新道は、北アルプスの中でも最も登りやすい道の一つといわれています。急登箇所や注意が必要な箇所もありますが、登山道は全体的によく整備されています。種池山荘からは稜線歩きで爺ヶ岳の各ピークへ。ハイマツなど灌木帯なので展望は抜群!立山や剱岳の堂々たる姿にも出会え、足元にはチングルマなど高山植物のお花畑が広がっています。
【INFORMATION】
ルート名称:爺ヶ岳(扇沢)
標高:2,670m
日程:1泊
体力レベル:4
難易度レベル:B
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
1日目:扇沢~爺ヶ岳中峰~種池山荘 5時間45分 /2日目:種池山荘~扇沢 3時間
総歩行距離(目安):12.3km
山小屋情報:種池山荘
登山口までのアクセス:長野自動車道「安曇野IC」より約1時間 (Google Maps)
06 燕岳(長野県大町市・安曇野市)
北アルプスデビューにおすすめ。魅力たっぷりの登山を!
さまざまな山小屋人気ランキングで常に上位に入る「燕山荘(えんざんそう)」や、北アルプス三大急登の1つに数えられる合戦尾根、冷えたスイカが味わえる登山道途中の合戦小屋、イルカ岩など写真映えする奇岩が多くある山頂付近と、バラエティに富んだ魅力がある燕岳。中房温泉から合戦尾根を登って燕岳を目指すルートはひたすら登りですが、道が整備され比較的歩きやすいため、北アルプスの入門ルートです。健脚であれば日帰りでも可能ですが、初級者は人気の山小屋「燕山荘」に1泊するのがおすすめです。山頂では、遠くに富士山から八ケ岳、南アルプスまで一望できます。
【INFORMATION】
ルート名称:燕岳(中房温泉)
標高:2,763m
日程:1泊
体力レベル:4
難易度レベル:B
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
1日目:登り:中房温泉~燕岳~燕山荘 6時間 /2日目:燕山荘~中房温泉 3時間30分
総歩行距離(目安):9.8km
山小屋情報:燕山荘
登山口までのアクセス:長野自動車道「安曇野IC」より約1時間 (Google Maps)
07 常念岳(長野県松本市・安曇野市)
安曇野のシンボルに登ろう!
常念岳は形の整ったピラミッド型が特徴的で、街から望む姿もとても美しく「安曇野のシンボル」といわれています。大きな難所などはありませんが、総コースタイムは約10時間なので、初めての人は1泊2日で登ることをおすすめします。山小屋のある常念乗越は広々とした空間で、目の間に槍ヶ岳がそびえる絶景が楽しめます。そこから1時間ほどで頂上に。晴れた日の常念岳の山頂は360度のパノラマが広がっており、穂高連峰や槍ヶ岳が間近にある迫力の景色は見ごたえ充分!壮大な山々を眺めながら次に登りたい山を考えるのもいいですね。
【INFORMATION】
ルート名称:常念岳(一ノ沢)
標高:2,857m
日程:1泊
体力レベル:4
難易度レベル:B
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
1日目:一ノ沢~常念小屋 4時間30分/2日目:常念小屋~常念岳~常念小屋~一ノ沢 5時間50分
総歩行距離(目安):12.1km
山小屋情報:常念小屋
登山口までのアクセス:長野自動車道「安曇野IC」より約30分(Google Maps)
08 蝶ヶ岳(長野県松本市・安曇野市)
山頂直下の山小屋で山頂に泊まっているような贅沢な時間を
比較的起伏が少ないため北アルプス入門の山としても人気です。頂上からの槍ヶ岳・穂高連峰の眺めは北アルプス随一ともいわれています。なだらかな広い山頂で、10月初旬の紅葉の時期には、穂高岳の紅葉を蝶ヶ岳からみるために訪れる人も多いとか。また蝶ヶ岳ヒュッテは蝶ヶ岳山頂から3分の距離にある山小屋。山頂直下のため、星空や朝焼けを見るのに最適で、撮影のために訪れる人も多くいます。経験を積んで慣れてきたら、稜線歩きが気持ちが良い常念岳もいく縦走ルートにも挑戦してみてください!
【INFORMATION】
ルート名称:蝶ヶ岳(三股)
標高:2,664m
日程:1泊
体力レベル:4
難易度レベル:B
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
1日目:三股~蝶ヶ岳/蝶ヶ岳ヒュッテ 5時間10分 /2日目:蝶ヶ岳~三股 3時間10分
総歩行距離(目安):9.7km
山小屋情報:蝶ヶ岳ヒュッテ
登山口までのアクセス:長野自動車道「安曇野IC」より「三股駐車場」まで約30分、三股登山口まで徒歩約20分(Google Maps)
09 涸沢(長野県松本市)
自然のアート!一度は見たい絶景紅葉
涸沢には日本最大級のカール、涸沢カールがあります。カールとは山頂直下の斜面が円形に削られた地形のことです。2軒の山小屋が建ち、その間に開放感あふれるテント場が広がっている涸沢カールは、北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳と3,000m級の名峰4座が一堂に見渡せる抜群のロケーション!秋になると、この椀状の地形全体が赤やオレンジ、黄色と鮮やかに染まる、息をのむ紅葉の絶景が見られます。例年、9月半ばから色付き始め、見頃を迎えるのは9月下旬~10月上旬頃となります。涸沢カールは季節によって実にさまざまな顔を見せてくれるので、毎シーズン来たくなる魅力的なスポットです。
【INFORMATION】
ルート名称:涸沢(上高地)
標高:2,250m
日程:1泊
体力レベル:5
難易度レベル:B
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
1日目:上高地バスターミナル~涸沢 6時間/2日目:涸沢~上高地 5時間10分
総歩行距離(目安):30.6km
山小屋情報:涸沢小屋・涸沢ヒュッテ
登山口までのアクセス: 長野自動車道「松本IC」より「沢渡駐車場」まで約1時間、駐車場からシャトルバスかタクシーで約30分(Google Maps)
10 乗鞍岳(長野県松本市・岐阜県高山市)
雲上の絶景バスドライブを経て3,000mクラスの乗鞍岳へ
日本百名山のひとつ乗鞍岳は、剣ヶ峰(3,026m)を最高峰に、23の峰と7つの湖、8つの平原からなる名山。「バスで走れる標高としては日本一」といわれる畳平を中心に山岳観光のメッカとなっております。2,702mの標高にある畳平からのスタートなので、片道約1時間30分で3,000m級の頂上世界を体験できます。ほかにも1周40分ほどの散策道が設けられているので夏はお花畑、秋は紅葉散策を楽しめ、宿泊施設や肩ノ小屋で1泊すればご来光、星空など、天空の世界で自然を満喫できます。
【INFORMATION】
ルート名称:乗鞍岳(畳平)
標高:3,026m
日程:日帰り
歩行時間(目安)
【1泊2日の場合】
登り:畳平~乗鞍岳 1時間35分/下り:乗鞍岳~畳平 1時間15分
総歩行距離(目安):5.5km
山小屋情報:肩ノ小屋
登山口までのアクセス: 長野自動車道「松本IC」より「のりくら高原観光案内所」まで約60分、シャトルバスで「乗鞍山頂(畳平)」まで約50分(Google Maps)
登山の注意点
*)登山計画書は万が一の際に迅速な救助活動にもつながります。登山の際は、事前に登山計画書を必ず提出しましょう。登山計画書はインターネットからでも提出可能です。
*)準備不足・体力不足を原因とした遭難が増えています。「信州 山のグレーディング」等を参考に、自分の技術や体力にあった山選びをし、安全第一で登山を楽しみましょう。
*)入山の際は、登山に適した服装と装備で余裕を持った行動をお願いします。
*)記載の体力レベル、難易度、歩行時間等は無雪期・天気良好時の場合です。実際の登山では、体力度、難易度以外に悪天候、残雪、体調、その他偶発的な要因によるさまざまなリスクがあります。それらにも配慮した登山計画を立てましょう。
制作:フィールドデザイン
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