TOP PHOTO:©三代澤酒店
記載の情報は記事構成時点(2026年2月)のものとなります。各店の営業状況等は変更になる場合がございます。最新の情報は各店にご確認ください。
唎酒師に聞く、日本酒の基礎知識
長野県内にある酒蔵は80蔵と新潟県に次ぎ全国2位です。豊かな自然に育まれたバリエーション豊かな長野県産の日本酒。近年は国内外から高い評価を受けています。
唎酒師であり長野県酒造組合公認「信州・地酒アドバイザー」の玉岡あずみさんに、長野県産の日本酒の特徴や魅力、飲み方などを伺いました。
大自然と地域性が生んだ多種多様な味わい
–なぜ長野県に酒蔵が多いのですか?
昔はどこにでも酒蔵は数多くあったと思いますが、交通の便が良くなったり時代の流れで、どんどん集約されていきました。 長野県内は険しい山々と深い谷に多くの盆地が分断されており、他県に比べて交通の発達・発展がゆるやかでした。その結果、各地域の経済圏が維持され続け、酒蔵も街道筋に多く残ったと考えています。
—長野県産の日本酒の特徴を教えてください。
豊かな水に恵まれ、軟水の地域が多く、口当たりが柔らかいお酒が多いのが全体的な特徴です。
前述した地域性が色濃く残っているため、各地域の料理に合った味わいが楽しめるのも大きな魅力。例えば、「長野のお酒=端麗辛口です」というように一言で表現することはできないほどバリエーションに富んだ味わいを楽しめるのが長野県です。自然豊かで良質なお米も育まれているため、地元産の酒米を使用している蔵も多いです。
ワイン用語で「テロワール」といわれるその土地を表現する味わいをずっと昔から醸しているのです。
誰でも気軽に日本酒を。
酒屋さん(酒類販売店)でお気に入りを見つけて
–日本酒を選ぶポイントは?
敷居は高いかと思いますが、初心者の方こそお酒に愛情を持っている酒屋さんで選んで買ってほしいです。「初心者なんだけど、日本酒を飲んでみたくて、普段はこんな味のお酒が好き」と言ってみてください。日本酒大好きなお店の方なら、とってもうれしそうな顔をして色々紹介してくれますよ。
長野県内の酒屋さんは、地元の酒蔵と地理的にも心理的にも距離が近く、蔵の情報をリアルタイムで把握しています。そのため、“今”一番のおすすめを、その時その時で紹介してくれます。毎月訪ねてもおすすめが同じ日本酒ではないはず。
–日本酒に合わせる料理について教えてください。
日本酒は昔から「どんな日本食にも合うように」醸されています。グラタンでもアジフライでも野沢菜漬けでもハンバーグでも何でも合います。
参考までに「味が濃い日本酒」は「味が濃いお料理」でペアリングすると相性が良いです。ただし日本酒に唯一合わないと言われるのが「炊き立ての新米」。こちらも試していただくと面白いですよ。
–日本酒の保存方法は?
お酒はすぐ飲まないといけないか、というとそんなことはありません。特に新酒だと開封直後はまだ味が「硬い」場合などがあります。
開封したら冷蔵庫で保管し、1週間~10日はおいしく召し上がれます。ぜひゆっくりと自分のペースで楽しんでください。同時に複数本開栓し、飲み比べするのもおすすめです。※飲みすぎにはご注意
「火入れ」してあるお酒は開封前なら常温保存でもOKです。光に当たらないようにして保存してください。ただ最近の夏は暑すぎるので、あまり暑くならない場所に保存しましょう。
–最後に、日本酒初心者へメッセージをお願いします。
日本酒ってちょっと敷居が高いイメージがあるかもしれません。難しい?そんなことないです。だって江戸時代とかみんなが普通に飲んでいましたから合わせるおつまみだって、スナック菓子でもOK。
今はさまざまな味の日本酒があります。グレープフルーツの香りがするお酒とかバナナみたいな香りのするお酒とか。お米の味わいがたっぷりやわらかい口当たりのお酒、シュワシュワ甘酸っぱいお酒など本当に多種多様。
ちょっとだけ勇気を持って酒屋さんに入ってみてください。素敵な出会いが待っています。
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日本酒初心者でも安心。
長野県の日本酒が購入できる駅チカの酒類販売店
今回は県内の酒蔵と玉岡さんに、日本酒初心者でも安心して訪れることができるおすすめの酒類販売店をアンケート。各店の特徴を試飲の有無も含めて紹介します。
01 酒の原商店(上田市)
『酒の原商店』は、1905年(明治38年)ごろ創業の信州味噌醸造蔵元でもある老舗の酒類販売店。しなの鉄道「西上田駅」から徒歩約8分と立ち寄りやすい場所にあります。
唎酒師の資格を持つ店主と女将が、上田の蔵を中心に県内各地の地酒を厳選。味わいの違いや料理との相性なども丁寧に教えてくれるため、初めて地酒を選ぶ人でも安心です。日本酒のほか、長野県産ワインも豊富に取り扱っています。
一家で代々受け継ぐ製法を守り続ける「信州イゲタ味噌」や、米麹のみでつくる自然な甘さの「糀あまざけ」なども人気。地酒選びとあわせて、信州の発酵文化にふれる楽しみも。
【INFORMATION】
【スポット名】酒の原商店
【住所】長野県上田市上塩尻260(☞Google Maps)
【アクセス】しなの鉄道「西上田駅」から徒歩約8分
【営業】9時~19時、水曜定休
【試飲】無
【詳細・問い合わせ】公式サイト
02 信州くらうど(長野市)
JR「長野駅」直結の駅ビル「MIDORI長野」2階、お土産街道にある『信州くらうど』。県内約80蔵の日本酒をはじめ、信州のワインや酒の肴などがそろいます。地元の蔵元からは「県内で最も品ぞろえが充実している」と推される存在です。
店内には立ち呑み処「醗酵バー」が併設。おつまみ付きの利き酒セット(有料)や、週末に開かれる蔵元の試飲販売も魅力です。みそやしょうゆ、そばなど信州の特産品も豊富で、お土産をまとめて選べるのもうれしいポイント。駅直結という好立地で、電車の待ち時間に一杯飲みながらじっくり地酒を選ぶ、至福の時間を過ごせます。
【INFORMATION】
【スポット名】信州くらうど
【住所】長野県長野市南千歳1丁目22-6 MIDORI長野2F 信州おみやげ参道ORAHO内(☞Google Maps)
【アクセス】JR「長野駅」直結
【営業】9時~20時、醗酵バー 10時~20時(LO 19時30分)、定休日はMIDORI長野に準ずる
【試飲】無
【詳細・問い合わせ】公式サイト
03 仁科商店(大町市)
JR「信濃大町駅」から徒歩約6分。商店街の一角に佇む『仁科商店』は、地酒をはじめとした地元の特産品がそろう一軒。長野県佐久地域の道の駅で仕入れや売り場づくりに携わってきた経験を持つ店主の目利きが光る品ぞろえが魅力です。
2025年(令和7年)、祖父母が営んでいた青果店の跡地を現店主が受け継ぎ、新たなかたちで再出発。地元・大町の酒を扱い、店内には角打ちスペースを併設しています。購入した酒をその場で味わいながら、飲み比べを楽しめる体験が評判です。イベント開催などを通じて、日本酒の魅力を県内外へ発信する取り組みにも力を入れています。
【INFORMATION】
【スポット名】仁科商店
【住所】長野県大町市大町3300-9(☞Google Maps)
【アクセス】JR「信濃大町駅」から徒歩約6分
【営業】11時〜20時、金土日月曜営業(火曜〜木曜定休)
【試飲】有(有料)
【詳細・問い合わせ】公式Instagram
04 酒舗 清水屋(小海町・佐久市)
小海町と佐久市に店を構える『酒舗 清水屋』は、信州地酒を軸に全国各地の銘酒を幅広く扱う酒類販売店です。小海本店は絶景列車として知られる小海線の停車駅・JR「小海駅」から徒歩約2分、佐久平店は北陸新幹線も停車するJR「佐久平駅」から徒歩約12分とアクセス良好。旅の途中にも立ち寄りやすい立地にあります。
酒の持ち味がしっかりと伝わるよう氷温冷蔵庫を備え、温度管理を徹底。戦前は造り酒屋だった歴史を持ち、「信念のある蔵元に信念の酒あり」を掲げ、蔵元の想いが宿る一本を届けています。
繁忙期を除き店頭で無料試飲が可能なほか、新酒・夏酒・冷おろしの時期には、店内別室で約30種類を味わえる有料試飲会も実施しています。
【INFORMATION】
【スポット名】酒舗 清水屋
【住所】
小海本店:長野県南佐久郡小海町大字小海4285(☞Google Maps)
佐久平店:長野県佐久市長土呂1244(☞Google Maps)
【アクセス】小海本店:JR「小海駅」から徒歩約2分/佐久平店:JR「佐久平駅」から徒歩約12分
【営業】小海本店:9時30分〜19時、水曜・日曜定休/佐久平店:11時〜19時、水曜定休
【試飲】有(無料) ※繁忙期を除く
【詳細・問い合わせ】公式サイト
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05 キリマン酒店(軽井沢町)
軽井沢に店を構え、信州各地から選び抜いた銘柄を取り扱う『キリマン酒店』。蔵の歴史や酒造りの背景、味わいの違いを踏まえ、用途や贈る相手に応じた一本を提案してくれるため、初めて訪れる人でも安心です。
特約店限定の希少な地酒に出合えるのも魅力。日本酒はもちろんのこと、長野県産ワインも豊富にそろいます。店内には試飲カウンターが用意され、じっくり味わいを確かめられるのもうれしいポイント。日本酒・ワインの会やパーティーなど、各種イベントが開催可能なラウンジもあります。
【INFORMATION】
【スポット名】キリマン酒店
【住所】長野県北佐久郡軽井沢町中軽井沢4-1(☞Google Maps)
【アクセス】しなの鉄道「中軽井沢駅」から徒歩約3分
【営業】9時~18時30分、日曜定休(連休の場合は営業)
【試飲】有(有料)
【詳細・問い合わせ】公式サイト
06 三代澤酒店(松本市)
国宝・松本城から徒歩約3分。城下町の風情が残る通りにある『三代澤酒店』は、1924年(大正13年)創業の酒類販売店です。代々受け継がれてきた目利きで、蔵元の個性が光る一本を厳選。「大信州」をはじめ松本周辺の銘柄はもちろん、諏訪の「真澄」や辰野の「夜明け前」、佐久の「澤の花」など、県内各地の銘柄がそろいます。
近年は長野県産ワインやクラフトビールにも力を入れ、2016年(平成28年)には仲間とともに松本市初のクラフトビールメーカー「松本ブルワリー」を創業。松本城観光とあわせて、信州の多彩な酒文化にふれられる一軒です。
【INFORMATION】
【スポット名】三代澤酒店
【住所】長野県松本市大手4丁目9-11(☞Google Maps)
【アクセス】JR「松本駅」から徒歩約15分
【営業】10時〜18時30分(1月中旬〜2月は18時まで)、日曜・祝日定休 ※連休は営業する場合あり
【試飲】有(有料)
【詳細・問い合わせ】公式サイト
07 酒乃生坂屋(千曲市)
1872年(明治5年)創業。千曲市屋代の地で150年以上続く『酒乃生坂屋』。造り手の想いに寄り添いながら酒を届けてきた老舗の酒類販売店です。店に並ぶのは、品質と志に心から納得できた「作品」と呼べる酒のみ。蔵元との対話を重ね、その年の出来栄えや背景にある物語まで伝えています。
佐久の「亀の海」や「澤の花」、上田の「信州亀齢」や「和田龍登水」、長野市の「積善」、岡谷の「豊香」、木曽福島の「善吉」など県内各地の酒を幅広く取りそろえています。限定流通酒や店頭優先販売の商品も多く、造り手との信頼関係の深さがうかがえます。
【INFORMATION】
【スポット名】酒乃生坂屋
【住所】長野県千曲市大字屋代1852-1(☞Google Maps)
【アクセス】しなの鉄道「屋代駅」もしくは「屋代高校前駅」から徒歩約15分
【営業】9時〜19時30分(日曜・祝日は19時まで)、水曜定休
【試飲】無
【詳細・問い合わせ】公式サイト
08 信州旨酒 加藤商店(飯田市)
JR飯田線「伊那上郷駅」から徒歩約10分。住宅地に位置する『信州旨酒 加藤商店』は、南信州を代表する酒類販売店です。店内に並ぶ商品の大半は日本酒。蔵元と直接向き合いながら選び抜いた酒のみを扱っています。松本の「大信州」や佐久の「亀の海」、長野市の「川中島 幻舞」など、個性豊かな地酒が充実。問屋を通さない限定流通酒も多く、希少な銘柄も並びます。
品質管理にも妥協なく、酒質に応じて温度帯を分けて保管しているのも特長。好みや合わせたい料理を丁寧に聞き取り、それぞれにぴったりの一本を提案してくれます。
月に一度、不定期の日曜日には市街地の屋外で有料試飲会「ヒルノミ」も開催。13時〜16時の時間帯に実施されます。詳しい情報は公式Instagramをチェックしてみてください。
【INFORMATION】
【スポット名】信州旨酒 加藤商店
【住所】長野県飯田市上郷黒田1927-4(☞Google Maps)
【アクセス】JR「伊那上郷駅」から徒歩約10分
【営業】9時〜18時、月水木曜定休(年末年始・祝日・月初・月末は除く)
【試飲】無
【詳細・問い合わせ】公式Instagram
番外 地酒屋 宮島(上田市)
上信越自動車道・上田菅平インターチェンジから車で約10分、国道144号沿いにある『地酒屋 宮島』は、長野県産の日本酒とワインのみを扱う地酒専門店。唎酒師の資格を持つ店主が、自ら味わい、納得した銘柄を蔵元から直送で仕入れています。信州産の特約蔵元数は県内最多ともいわれ、ここでしか出合えない一本も少なくありません。
店内は外光を遮り、細やかな品質管理が行き届いています。「酒は対話商品」という考えのもと、好みやシーンを踏まえ、最適な一本へと導いてくれます。
【INFORMATION】
【スポット名】地酒屋 宮島
【住所】長野県上田市真田町長5913-1(☞Google Maps)
【アクセス】上信越自動車道「上田菅平IC」から車で約10分
【営業】平日:10時〜19時/土日・祝日9時~19時、火曜定休
【試飲】無
【詳細・問い合わせ】公式サイト
文:松尾奈々子、GoNAGANO編集部(宮澤) 協力:唎酒師・玉岡あずみ(長野県観光機構)
玉岡 あずみ(たまおか あずみ)
唎酒師
長野県観光機構CX事業部
長野県酒造組合公認 信州・地酒アドバイザー
長野のお酒にどっぷりはまり、長野県内の酒蔵へ出没。
酒造りを泊まり込みで体験したり、イベントを開催するうちに各地で講演会などもこなす。

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