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国指定の絶景「名勝」まとめ|一度は訪れたい長野県の6スポット

四方を山岳に囲まれた長野県には、個性豊かな「名勝」が各地に点在しています。名勝とは、優れた景観を国が文化財として指定した景勝地のこと。自然の地形が生み出した風景だけでなく、庭園のように人の手によって整えられた景観も含まれ、その土地に受け継がれてきた歴史や文化も評価の対象となります。

本記事では、長野県内にある国指定の名勝6カ所をご紹介。その背景にある歴史にも目を向けながら、信州の多彩な絶景を訪ねてみましょう。(2026/3/16)

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TOP PHOTO:天龍峡 (出典:AdobeStock)
 

01 上高地・松本市

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穂高連峰を背景に梓川にかかる河童橋 (出典:松本市公式観光フォトアーカイブ

北アルプス・穂高連峰の麓、標高約1500mに広がる山岳景勝地『上高地』。澄んだ梓川の流れと険しい山並みが織りなす景観は、日本を代表する山岳風景の一つです。なかでも河童橋周辺から望む穂高連峰と梓川の清流の眺めは、上高地を象徴する景色として広く知られています。

その価値が高く評価され、上高地は国の文化財である「特別名勝」に指定されています。特別名勝とは、文化財保護法にもとづき指定される名勝のなかでも、とくに価値が高いと認められた場所のこと。さらに上高地は、自然環境の希少性から特別天然記念物にも指定されています。

梓川沿いには遊歩道が整備され、見どころも豊富です。焼岳噴火によって生まれた「大正池」は、穂高連峰を水面に映す神秘的な景観が見られる名所。穂高神社奥宮の神域にたたずむ「明神池」は、古くから山岳信仰の聖地として崇められてきた静かな池。「田代湿原」や「岳沢湿原」などもあり、歩くたびに異なる風景に出合えます。

【INFORMATION】

【スポット名】上高地
【住所】長野県松本市安曇上高地(☞Google Maps ※沢渡ナショナルパークゲート)
【アクセス】長野自動車道「松本IC」より沢渡駐車場まで約1時間→沢渡駐車場から上高地まで約30分/アルピコ交通「新島々駅」より路線バスまたはタクシーで上高地まで約1時間5分
【詳細・問い合わせ】上高地公式サイト
【備考】開山・開通期間は例年4月中旬〜11月中旬。通年マイカー規制のため、シャトルバスなどでアクセス。

02 米子瀑布群・須坂市

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断崖を流れ落ちる不動滝と権現滝。紅葉に彩られる秋の米子瀑布群 ©一般社団法人信州須坂観光協会

長野県北東部・須坂市の四阿山(あずまやさん)北麓に広がる『米子瀑布群(よなこばくふぐん)』。米子川上流の断崖に複数の滝が流れ落ちる壮大な景勝地です。標高約1600m付近には高さ約100mの岩壁が約1kmにわたって連なり、岩壁や周辺から十数条の滝が流れ落ちています。

なかでも中心となるのが「不動滝」と「権現滝」。落差約89mの不動滝は霧状に広がりながら流れ落ちる優美な姿、落差約82mの権現滝は水量豊かに轟音とともにまっすぐ落ちる力強い滝です。二つの滝は総称して米子大瀑布と呼ばれ、「日本の滝100選」にも選ばれています。

一帯は古くから不動信仰や山岳信仰の聖地として知られ、両滝の間には「米子不動尊奥之院」が建立されています。滝そのものもご神体として崇められ、修験者の修行の場でもあります。一周約2時間の遊歩道を歩けば、壮大な滝の景観とともにこの地に息づく信仰の歴史にもふれることができます。

【INFORMATION】

【スポット名】米子瀑布群
【住所】長野県須坂市米子(☞Google Maps ※米子大瀑布駐車場)
【アクセス】上信越自動車道「須坂長野東IC」から米子大瀑布駐車場まで車で約50分→米子大瀑布駐車場から米子大瀑布まで徒歩約30分
【詳細・問い合わせ】米子大瀑布公式サイト
【備考】11月中旬〜4月末日頃まで冬期閉鎖。紅葉期の土日・祝日はマイカー規制に伴い、有料シャトルバスが運行 ※詳細は公式サイト要確認

03 姨捨(田毎の月)・千曲市

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棚田の水面に空模様を映し出す幻想的な風景が見られます ©信州千曲観光局

長野県千曲市の山あい、冠着山(かむりきやま)を望む斜面に広がる『姨捨(おばすて)』の棚田。善光寺平を一望する標高約460〜560mの斜面に小さな水田が階段状に連なり、独特の景観をつくり出しています。

棚田の水面に月が映り込み、田ごとに月が宿るように見えることから「田毎の月」と呼ばれ、古くから月見の名所として知られてきました。平安時代にはすでに観月の名所として名高く、「古今和歌集」や「更級日記」にも姨捨山の月を詠んだ歌が登場します。江戸時代になると棚田の開発が進み、水田一枚一枚に映る月影が俳諧や紀行文の題材として広まりました。松尾芭蕉をはじめ多くの文人墨客がこの地を訪れ、句や歌にその風景を残しています。

現在、棚田は約40haにわたり、1500枚以上の水田が斜面に広がります。こうした観月文化と棚田の景観が評価され、1999年(平成11年)には「姨捨(田毎の月)」として棚田で全国初の国の名勝に指定されました。「日本の棚田百選」や国の重要文化的景観にも選ばれ、日本の農村文化を象徴する風景として今も受け継がれています。

【INFORMATION】

【スポット名】姨捨(田毎の月)
【住所】長野県千曲市八幡姨捨(☞Google Maps
【アクセス】長野自動車道「更埴IC」より車で約15分/長野自動車道「姨捨スマートIC」より車で約5分/JR「姨捨駅」より徒歩約10分
【詳細・問い合わせ】信州千曲観光局公式サイト
【備考】農道への車の乗り入れはご遠慮ください。見学の際は近隣駐車場を利用のうえ徒歩で散策を。


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04 寝覚の床・上松町

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木曽川の流れが花こう岩を削って生まれた奇岩の渓谷・寝覚の床 (出典:上松町観光サイト

木曽川沿いに広がる『寝覚の床(ねざめのとこ)』は、上松町を代表する景勝地。花こう岩の地盤を木曽川の流れが長い年月をかけて削り出し、白い岩肌の巨岩が連なる独特の渓谷景観を生み出しました。大きな箱を並べたように割れる花こう岩特有の性質が、彫刻のような奇岩の連なりを形づくっています。

江戸時代には中山道を行き交う旅人が立ち寄る名所として知られ、「木曽八景」の一つにも数えられてきました。松尾芭蕉もこの地を訪れ、「ひる顔に ひる寝せふもの 床の山」と詠んだ句を残しています。また、竜宮城から戻った浦島太郎がその風景に心を奪われしばらく暮らしたという伝説も伝わり、寝覚の床を見下ろす高台の臨川寺にはその伝承にまつわる弁財天が祀られています。

1923年(大正12年)に国の名勝に指定され、現在は中央アルプス国定公園の一部として保護されています。木曽川の清流と巨岩が織りなす景観は、今も木曽路を代表する景勝地として多くの人を魅了しています。

【INFORMATION】

【スポット名】寝覚の床
【住所】長野県木曽郡上松町上松(☞Google Maps ※寝覚の床 入口駐車場)
【アクセス】中央自動車道「伊那IC」または「中津川IC」より車で約1時間/JR「上松駅」より徒歩約30分
【詳細・問い合わせ】上松町観光サイト
【備考】川の流れが急変する可能性があるため遊泳禁止。周辺は照明がなく日没後は非常に暗くなるため夕方以降の散策はご遠慮ください。

05 光前寺庭園・駒ヶ根市

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本坊客殿の縁側から眺める光前寺庭園。池泉と築山、手入れされた樹木が調和する静謐(せいひつ)な空間 (出典:駒ヶ根観光協会ライブラリー

中央アルプスの麓、駒ヶ根市にある天台宗の古刹「光前寺」。杉の巨木が立ち並ぶ静かな境内には、『光前寺庭園』が広がっています。

本堂前の池庭と本坊客殿奥の築山泉水庭園からなる日本庭園で、地割りや石組みには中世の庭園様式の特徴が見られます。1967年(昭和42年)、信濃地方で初めて国の名勝に指定された庭園となりました。

指定範囲は境内全域に及び、仁王門から山門・本堂へと続く伽藍配置、参道の杉並木、寺域を囲む樹林も含め、境内全体が一体の景観として保護されています。春のしだれ桜や秋の紅葉、石垣の隙間に自生する光苔(ひかりごけ)など、四季折々の表情も魅力。霊犬・早太郎の伝説が残る寺院としても広く知られています。

【INFORMATION】

【スポット名】光前寺庭園
【住所】長野県駒ヶ根市赤穂29番地(☞Google Maps
【アクセス】中央自動車道「駒ヶ根IC」より車で約3分/JR「駒ケ根駅」より路線バスで約15分、バス停「切石公園下」下車、徒歩約10分
【詳細・問い合わせ】光前寺公式サイト
【備考】庭園拝観は有料。参拝時間外は境内に立ち入ることができません。詳細は公式サイトをご確認ください。

06 天龍峡・飯田市

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天竜川が刻んだ峡谷をまたぐ天龍峡大橋。深い谷と色づく木々が織りなす秋 (出典:飯田市フォトライブラリー

長野県飯田市の南部、天竜川の浸食によって生まれた『天龍峡』は、南北約2kmにわたって続く峡谷です。白い花こう岩の断崖や奇岩が連なり、その間を天竜川が流れる景観が広がります。春の桜や秋の紅葉が加わると、峡谷はまた違った表情を見せます。

「天龍峡」の名は、1847年(弘化4年)に儒学者・阪谷朗廬(さかたにろうろ)がこの峡谷を訪れ、その雄大な景観をたたえて名付けたもの。明治時代には書家・日下部鳴鶴(くさかべめいかく)が特徴ある奇岩や淵など10カ所を「天龍峡十勝」として命名し、峡谷の見どころとして広く知られるようになりました。なかでも塔のように立ち上がる奇岩「龍角峯 (りゅうかくほう)」は、天龍峡を象徴する景観です。

峡谷には遊歩道が整備され、吊り橋「つつじ橋」や龍角峯頂上の展望地点、天龍峡大橋の桁下を歩く空中遊歩道「そらさんぽ天龍峡」など、さまざまな角度から峡谷の景色を眺めることができます。川下り舟に乗れば、川面から見上げる断崖や奇岩の迫力も体感できます。

【INFORMATION】

【スポット名】天龍峡
【住所】長野県飯田市龍江・川路(☞Google Maps
【アクセス】JR「天竜峡駅」より徒歩約1分/三遠南信自動車道「天龍峡IC」より車で約3分
【詳細・問い合わせ】天竜峡温泉観光協会公式サイト


文:松尾 奈々子

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