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上田・東御で出会う、暮らすように街とアートを楽しむ気まま旅

素敵な人や街、ものとの出会いが、きっと人生を豊かにしてくれる。そんな直感に導かれて足を運んだのは、長野県上田市。2024年11月にオープンした「ONYO Hotel and Lounge」に滞在しながら、暮らすように街とアートを楽しむ、そんな気ままな一人旅、ときに二人旅をご紹介します。

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街に開かれたカフェ「yard(ヤード)」から始まる上田散策

新幹線や電車、バスを使って上田駅に到着。駅から北に「中央通り」をまっすぐ歩いて10分ほどの場所にある「yard」は、おいしいコーヒーと居心地の良いカウンター、気さくな店主が出迎えてくれるカフェです。

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2024年7月オープン。駅前広場から北へ向かう中央通りに面した店舗は、「日常づかいできるカフェ」として地域の人に愛されている

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4脚の椅子が置かれたカウンター。写真右に映る女性が店主の栗田さん

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奥にはソファー席もあり、ゆったりした時間が流れる

店主の栗田さんは、20歳の頃からカフェを開くのが夢だったそう。当時アルバイトをしていたカフェで、魅力的な人との出会いが多く生まれる景色に憧れ、「いつか自分も誰かの居場所になるような場をひらきたい」と感じたといいます。

栗田さん「本腰を入れて物件を探し始めたのが6年くらい前ですね。この物件は、不動産屋さんには『少し狭いかもしれない』とご紹介をいただいたんですが、入り口のガラス戸は開放的で、空間が上下2階に分かれているところも一目で気に入りました」

1階はカフェ、2階はギャラリーとして展示やポップアップを開催。2つの空間が介在することで新しい風が入り、出会いの機会が広がっていくのも魅力です。

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「車の音や季節の光、学校が近くにあって子どもたちが歩いているとか、そういうまちの日常に寄り添う存在でありたい」と話す

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コーヒー豆は「ヤマとカワ珈琲店」に依頼してつくったオリジナルの「yardブレンド」

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オリジナルのチャイは4種のスパイスをブレンド。甘めの味でファンも多い

カフェのメニューは、コーヒーやレモンスカッシュ、アイスクリームや焼き菓子などシンプルなものが中心。あくまでカフェという空間を居心地よく楽しんでもらえるよう、クラシックなメニューが栗田さんのこだわりです。

栗田さん「もとから相席できるような雰囲気のお店が好きで、yardのカウンターもそういう場でありたいと思っていて。一人でゆっくり自分の時間を過ごしてもらうもの良いですし、お喋りをしに来てもらうのも嬉しいですね。こんな狭さなので、一緒に良い時間を過ごしてもらえたらと思います」

ドリンクメニューはテイクアウトも可能で、yardスタンプが押された可愛らしいカップは上田観光のお供にもぴったり。気軽に立ち寄りたいまちのカフェです。

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濃厚なエスプレッソをお湯で割った「アメリカーノ」。自家製アイスクリームとの相性もバッチリ

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ドリンク類と焼き菓子はテイクアウト可

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2階のギャラリースペース。イベントなどの情報は公式のインスタグラムをチェック

【yard】

住所:上田市中央2丁目4-3
営業時間:10:00-17:00(LO16:45)
定休日:日曜・月曜
Instagram:https://www.instagram.com/yard__0706/

上田市民の胃袋を支えるお惣菜の店「万ぎく」

おいしいコーヒーでホっと心を落ち着けたら、宿を目指して出発。お惣菜の店に寄り道をして、夕食をゲットしてから宿へ向かいます。

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中央通りから少し入った路地にある「万ぎく」

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こちらの引き戸が店の入り口。「惣菜」や「お弁当」ののぼり旗と張り紙が目印

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たくさんのお惣菜と一緒に迎えてくれるおかあさん。料理はほとんど全てが手作り

創業から50年以上が経つ万ぎくは、上田市の老舗宴会場であり、お惣菜とお弁当のお店です。営業時間は朝の9時から「日没」まで。昔ながらの雰囲気を残した店内は二組入れば満杯で、お昼時には扉の外まで行列が伸びます。

佐伯さん「日替わりでお惣菜やお弁当を出していて、定番と呼べるものがないほど毎日違うメニューを並べています。旬の野菜を使ったおかずがおすすめですが、ボリュームのある揚げ物、丼ものや今どき激安の350円、450円、550円の各種お弁当も人気です。上田の郷土料理でいうと『こねつけ』を出しています」

こねつけとは、ご飯と小麦粉を混ぜてこね、甘辛い砂糖味噌を絡めて揚げ焼きした料理のこと。上田の戦国武将・真田幸村が出陣前に腹ごしらえのために食べたという郷土料理です。

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旬の野菜を使ったメニューなど、希望を伝えてパックに詰めてもらう

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ショーケース上に並べられた揚げ物たち。お酒に合うおつまみも調達

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こんがり焼かれた「こねつけ」。カリもち食感がクセになる

【万ぎく】

住所:上田市中央3-1-8
電話番号:0268-27-4552
営業時間:9:00から日没まで
定休日:土曜・日曜

暮らしを楽しむ、まち宿とBARに泊まるという選択

夕食のお惣菜を片手に、中央通りをさらに北へ歩いて6分ほど。今回の宿泊先、「ONYO Hotel and Lounge」を目指します。自分であちこち旅をするなかで憧れが募り、地元・上田市に宿をひらいた店主の長崎さん。オープンは2025年11月です。

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交差点の角にあるONYO。リノベーション前はたばこ屋で、数年間空き家になっていた(写真提供:ONYO)

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ラウンジは15時からまちに開かれており、宿泊客以外にも、お茶だけの利用が可

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カウンターの後ろにある本棚。上田市に拠点を置く「VALUEBOOKS」の選書であり、購入も可能

長崎さん「街全体を宿に見立てて宿泊体験を楽しんでもらうのが理想なので、部屋でのんびり過ごすというよりはまちに繰り出して、ご飯を食べたりお店を回ったり、周辺も合わせて楽しんでくれる人が多いですね。15時からはラウンジをカフェ・バーとして開けていて、今回のようにカウンターでお酒を飲んだり、まちの人と交流をしたりする場面も見かけます」

カフェ・バーで提供しているドリンクは全て長崎さんのセレクトです。青木村にあるブルワリー「Nobara Homestead Brewery」のビールをタップで提供しているほか、地域に縁があるメニューとしては、「喜光堂(上田市)」の桑の葉茶でつくるお茶割りや、「芙蓉酒造(佐久市)」のジン「YOHAKHU」なども人気です。

長崎さん「食事の提供はしていないので、夜も朝も基本は外に食べに行ってもらうスタイルです。朝食のおすすめは『柳町』のパン屋・ルヴァンや、週末なら勢登家の卵かけごはん、喫茶店やカフェもあります。好みに合わせてご案内します」

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店主の長崎さん。日本全国を旅する中で「自分も宿を開きたい」と準備を進めてきた

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カウンターには各地の銘酒がずらり。クラフト系のジンやビールも

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万ぎくでゲットしてきたお惣菜をお皿に出して「いただきます」。ビールは青木村にある「Nobara Homestead Brewery」のものをタップで提供

まちに繰り出してもらうきっかけの一つとして、ONYOではお風呂セットの貸し出しをしています。カゴに入った石鹸類とタオルを片手に、歩いて行ける範囲に銭湯が2軒。車を使って郊外の日帰り温泉施設に足を伸ばす人もいれば、上田駅から別所線を使って「別所温泉」に行き、外湯めぐりを楽しむ人もいるそうです。

長崎さん「地域を知ってもらうきっかけとして、お風呂セットもそうですし、宿のなかに作った人の顔が思い浮かぶモノを点在させています。この街を楽しむ一つの理由になっていただけたら嬉しいですね」

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お風呂セットは古物のお店で入手したカゴに入れて貸し出し

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信濃町の作家につくってもらったという鹿皮のスリッパ

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客室にある真鍮のフックは、ONYOのすぐ近くに工房を構える「Tee.」の作品だ

【ONYO Hotel and Lounge】

住所:上田市中央3-6-5
HP:https://www.chillnn.com/198e5da8ee4265

カフェバー
営業時間:15:00-22:00(LO 21:30)
定休日:火曜

旧北国街道に沿って、お気に入りのアイテムを探しに

ここから先は、滞在中のおすすめスポットを紹介します。
まずはONYOから徒歩1、2分の場所にある「柳町」。古き良き街並みが残る通り沿いに本屋や飲食系の店が点在していて、散策しがいのあるスポットです。ポイントになる曲がり角に案内板が置かれているので、初めての訪問でも安心。晴れ間の多い上田市の気候も満喫しながら、目的地のひとつ古着屋「APRIL」を目指します。

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旧北国街道「柳町」。パン屋や酒蔵、ワイナリーなど飲食系の店が揃う

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柳町で見つけた道しるべ。散策のお供にも良さそう

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まちなかで見つけた登録有形文化財「小泉家住宅」。藍染工房の名残で「紺屋町」というこの辺りの町名の由来のひとつ

2024年11月にオープンしたAPRILは、レディースを中心にユニセックスやメンズの古着も扱う店。デザイン重視で、古着初心者が手に取りやすいアイテムが揃います。

山﨑さん「古着を好きになったのは大学生の頃ですね。卒業後はずっとアパレルの仕事をしていて、結婚と移住を機に店を持つことにしたんです。これまで古着に縁がなかった方にも来てもらいやすいよう、重ね着や組み合わせを意識せず、一点で身につけてもサマになるアイテムを多めに揃えています」

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グリーンとイエローの組み合わせが可愛い外観

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もとはビルドインガレージだったスペースを改修し、店舗に

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ところどころにあるイラスト、店のサインに店主の遊びごころが感じられる

「アウトドアブランドも大好き」というゆかりさん、長野県はアウトドアフィールドが近く、そうしたアイテムを日常に取り入れやすいのも魅力です。

山﨑さん「ラインナップはアメリカとヨーロッパの古着を中心に、1990年から2000年代のものです。お客様は20代から50代くらいまで男女問わず幅広くいらして、思い思いに洋服を楽しんでくれている姿が嬉しいです」

これまでも何度か店頭イベントを行っているARPILですが、今後は草花を使った染め物など、古着のシルエットや質感はそのままに、色やデザインを変えて楽しむ企画も進行中。そうした催しの機会を狙っていくのも良さそうです。

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店主の山﨑さん。自身の経験をもとに、観光や移住の気軽な相談に乗ることもあるそう

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真鍮やシルバーを使ったアクセサリーは全て山﨑さん手作りの一点物。サイズの相談も可能

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取材は2月中旬。3月に入ると、徐々に店頭に春物が増えていく

【APRIL】

住所:上田市中央西1丁目9-30
営業時間:13:00 - 18:00
定休日:不定休
Instagram:https://www.instagram.com/aprilueda/

旅先で非日常に触れる、本とクラフトの店「面影 book&craft」

路地に佇む「面影 book&craft」は、本と工芸品を通じて、訪れる人が自分の内面と静かに向き合える場所です。

店名に入れた「面影」という言葉は偶然の思いつきからだと言いますが、自分の心と向き合い、その時に心に映る風景を通じて「日常のなかで取りこぼしてしまいがちな自分の本心に気付けるような場所になれば」と話します。

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上田市の老舗蕎麦屋「刀屋」や映画館「上田映劇・別館」の近く、路地裏にある「面影 book&craft」

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ゆったりと時間が流れる店内

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中央のテーブルでは定期的にポップアップを開催している

5年前に上田へ移住した店主の岩井さん夫妻が、自然に寄り添う暮らしの中で育んできた「より良く生きよう」という思いが店舗の核。並んでいる商品は、ポップアップも含めて流行や売れ筋を重視するのではなく、二人が実際に使って心地良いと感じたものばかりです。

岩井さん「いわゆる日用品のような『ないと困るもの』ではなく、なくても困らないけれど、それがあることで気持ちが安らげたり、自分をいたわれたりする、暮らしが豊かになるようなものが多いかもしれません。人との縁で仕入れている品も多く、例えば店頭のコーヒーは夫がデンマークでの取材で知り会い、親交を深めた友人が石川・金沢、東京・用賀でコーヒーショップとロースターを営む『townsfolk coffee』の豆を使用しています」

本はデザインや建築、エッセイ、植物や動物など自然に関するものなどが揃います。定期的に入れ替えがあるそうなので、Instagramなどを通じて行われる紹介をチェックするのもおすすめです。

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カフェでyasoの赤松ほうじ茶をオーダー。コロンとした丸いフォルムの器は、店内で販売も行っているデンマークのボーンホルム島で作陶する「Oh Oak(オーオーク)」のIWA cup

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国内で取り扱い店舗が少ないイギリス・ロンドンのフレグランスブランド「Earl of East(アール オブ イースト)」

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上田市菅平高原でメディシナルハーブの栽培や商品開発に取り組む「Highland Remedies(ハイランドレメディーズ)」のセルフケアアイテム。ご自愛にも、お土産にもおすすめ

【面影 book&craft】

住所:上田市中央1-6-19 1F
営業時間:(平日)12:00 - 16:00(休日)12:00 - 17:00
定休日:不定休
Instagram:https://www.instagram.com/omokage_jp/

大屋駅に足を伸ばして気軽なイタリアンとワインを堪能

しなの鉄道大屋駅のすぐ目の前、趣ある建物をリノベーションしてできた「大屋駅窓」の1階に店を構えるのが「taverna Bacca 」です。店主の竹内さんは、10代の頃から料理の道へ。独立後は都内で23年間にわたって飲食店を営んできましたが、区画整理を機に、自身の地元である上田へ戻ってきました。

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上田駅から「しなの鉄道」に乗って「大屋駅」で下車。駅前にあるイタリアンへ

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随所に動物モチーフのインテリアが飾られ、気軽な雰囲気の店内。カウンター席もあり

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都内で20年以上飲食店を続けていたという店主・竹内さん

竹内さん「店のコンセプトは、気軽に肩肘張らずに楽しめるイタリアン。 ホタテとアサリの出汁を効かせた『シラスとカラスミのペペロンチーノ』や、信州プレミアム黒毛和牛を使ったハンバーグなど、素材の相性を見極め、魅力を最大限に引き出せるよう調理しています」

「料理へのこだわりは東京の時からそんなに変わっていない」と話す竹内さん。ランチでは月替わりのパスタに加え、地元の椀子ワイナリーのワインをグラスで楽しむこともできます。

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ランチのパスタセット。前菜とサラダ、デザートもついてボリューム満点

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この日はカラスミとシラスのペペロンチーノ。月替わりでさまざまな味が楽しめる

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ラックには国内外のワインがずらり。昼から飲めるのも、休日に嬉しいポイント

竹内さん「鹿教湯温泉行きのバスを待つ間に立ち寄る人や、近隣の海野宿を散策した後に訪れる人もいますね。大屋駅もこの大屋駅窓という建物も、地域をつなぐ拠点的な役割を果たしていますから、さまざまなシーンで利用してもらえれば嬉しいです」

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腹ごなしにもちょうどいい、片道20分ほどの散歩で「海野宿」へ

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バッカの駐車場には東御市観光協会が実施しているシェアサイクルもあり。ノンアルコールであれば利用がおすすめ

【taverna Bacca】

住所:上田市大屋482-1
営業時間:ランチ11:30-14:00 (LO13:30)/ディナー17:30-21:00(LO 20:00)
問い合わせ:0268-75-0151
Instagram:https://www.instagram.com/taverna_bacca/


居心地の良い宿を拠点に、街を周遊してアートや文化を楽しむ旅、いかがだったでしょうか。記事には紹介しきれなかったおすすめスポットは、各店の店主や長崎さんに、ぜひ気軽に尋ねてみてください。会話や交流が加わるだけで、いつもの旅がきっともっと、豊かな体験になっていくはずです。


取材・文:間藤まりの 撮影:新井涼平 協力:ONYO Hotel and Lounge

 

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