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『長野県プロスポーツ応援ツーリズム』Vol.5「信州から生まれた緑の宝石!プロサッカーチーム〈松本山雅FC〉ホーム観戦のススメ」

長野県内には、サッカー、フットサル、バスケットボール、3x3、バレーボール、野球などさまざまな種目のプロスポーツチームがあり、県内各所に各スポーツの選手たちが戦う姿を生で観戦できるホームスタジアムやアリーナがあります。

サッカーの〈松本山雅FC〉は、Jリーグの中でも特異な存在としてサッカーファンの間で広く知られています。2024年シーズンは『明治安田J3リーグ』に所属していますが、かつてはJ1でも戦っていました。

名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。どんな魅力があるチームで、観戦にはどんなポイントがあるのでしょうか。〈松本山雅FC〉を追い続けて15年目となるオフィシャルライターが、初心者の方にやさしくナビゲートします。

※この記事は、2024年2月29日時点における情報をもとに制作しています。

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TOP PHOTO:©️松本山雅FC

県内でサッカーが盛んな松本 地域の熱を後押しに急成長

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サンプロ アルウィンで行われるホームゲーム。熱狂的なサポーターの応援に後押しされ、選手たちがピッチで躍動する。©️松本山雅FC

そもそも、読み方を間違えられることが多々あります。『さんが』ではなく『やまが』。Jリーグには『地名+カタカナ』の名称が多い中、地名以外での漢字を冠したチームとしてはJ1〜J3全60チームの中で唯一となります。

『山雅』のルーツは50年以上前にさかのぼります。松本駅近くにかつてあった『純喫茶山雅』に集まる常連客がチームをつくったのが始まり。『山雅クラブ』という名称で1965年に結成され、アマチュアチームとして長らく活動していました。

本格的にJリーグを目指すようになったのは2000年代初頭から。専用球技場『アルウィン』の完成が追い風となり、機運が高まりました。もともと松本市をはじめとする中信地方は、長野県内でもサッカーが盛んな地域。当初は数えるほどだったサポーターが次々と増え、北信越リーグ時代から突出した観客数を誇るチームとなりました。

Jリーグの下のカテゴリーに当たるJFL(日本フットボールリーグ)にいた2011年、元日本代表DFの松田直樹さんが加入して一躍脚光を浴びた〈松本山雅FC〉。その年の8月に松田さんはトレーニング中の心筋梗塞で急逝する悲しい出来事が起こり、国内外から悼む声が寄せられました。

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2019年はJ1で奮戦。ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタ選手もこのピッチに立った。身体をぶつけているのは、日本代表FW前田大然選手。高卒ルーキーとして〈松本山雅FC〉で2年半プレーした。©️松本山雅FC

その年に奇跡的な昇格を果たし、2012年からJリーグに参戦。2015年と19年には国内最高峰のJ1で奮闘しました。19年にはともにスペイン代表のイニエスタ選手(当時ヴィッセル神戸)、フェルナンドトーレス選手(当時サガン鳥栖)らがプレー。その両チームから白星を挙げて歓喜に包まれました。

監督交代やコロナ禍などが重なった2020年を境に、過渡期に突入。現在は新しいスタイルの定着を図りながらJ2昇格を目指している最中です。日本サッカー協会技術委員長などを歴任した霜田正浩監督が率いて2年目。テンポよくボールを動かしながらゴールを狙う、攻守ともアグレッシブな戦いを目指しています。

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2023年からチームを率いる霜田正浩監督。理念を言語化して伝える力に長けており、新たなチームスタイル浸透を先導している。©️松本山雅FC

J2昇格候補の強力チーム 支えるサポーターも強力に

観戦に際して、抑えておきたいポイントをいくつか紹介します。

1 今シーズンの特徴や注目選手をおさらい

まずはピッチ内。陣容はリーグ屈指の豪華さを誇り、優勝候補の一角に数えられています。昨季『浦和レッズ』でプレーした馬渡和彰選手、『ヴィッセル神戸』でJ1優勝を経験した高橋祥平選手、『ジュビロ磐田』で遠藤保仁選手と中盤を構成していた山本康裕選手など、実力者が新たに加入しました。従来から所属していた若い選手と融合し、着実にパワーアップしています。

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キャプテンで10番の菊井悠介選手。足元の技術とタフに戦う走力と不屈のスピリットを備え、チームを力強く牽引する。©️松本山雅FC

その中でも初心者の方に注目してもらいたい選手を2人ピックアップします。まずはキャプテンの菊井悠介選手。トップ下と呼ばれる攻撃的なポジションで、頻繁にボールを受けて絶妙なパスを出したりシュートを打ったり。在籍3年目。今季からはエースナンバーである背番号10も託され、獅子奮迅の働きが期待されています。

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馬渡和彰選手は『川崎フロンターレ』や『サンフレッチェ広島』などでプレー。浦和レッズ時代にはチームの一員としてアジアチャンピオンズリーグ(ACL)優勝も経験した。©️松本山雅FC

もう一人は馬渡和彰選手。サイドバックです。守備的な印象のポジションですが、現代サッカーの潮流では攻守両面における非常に重要な役回りです。相手の攻撃を防ぐだけでなく、自分たちの攻撃を自陣から組み立てたり、高い位置まで駆け上がってクロスを入れたり。馬渡選手は経験も豊富で、クレバーなプレーでチームを勝利に導きます。

〇松本山雅FC公式ウェブサイト「選手・スタッフ」
https://www.yamaga-fc.com/club-info/player

このほかにも、それぞれ特徴があって個性豊かな選手ばかり。クラブ公式ウェブサイトのプロフィールページは今シーズンから情報量が格段に増え、選手がより身近に感じられるようになりました。実際のプレーも合わせれば、『推し』を見つけることにさほど苦労することはないでしょう。

2 スタジアムの主役でもある『背番号12』

〈松本山雅FC〉の勝利に欠かせないもう一つの要素が、『背番号12』を背負うサポーターの存在です。『数の多さ』と『熱量の高さ』という2つの側面があり、Jリーグの中でも注目されてきました。サッカーは11人でプレーするスポーツなので、『12番目の選手』という意味合いで背番号12。これは国内ほとんどのチームで共通のカルチャーです。

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熱心なサポーターが集まり、絶えず応援歌を歌って飛び跳ねる『南ゴール裏』。チームと同様にハードワークして、強力にバックアップする。©️松本山雅FC

〈松本山雅FC〉のホームゲーム平均入場者数は、2012年〜19年の間は基本的に右肩上がりでした。J1だった19年のリーグ戦は1試合平均17,416人。コロナ禍に見舞われた20年以降は苦戦が続き、昨シーズンも8,181人でしたが、J3の中では文句なしのナンバーワンです。

多いだけでなく、その熱量もまた特筆すべきポイントでしょう。例えば、応援歌(チャント)のバリエーションの豊富さ。チャンスの時やピンチの時など、場面ごとに選手たちを鼓舞する応援歌が数多く用意されているほか、選手個人の応援歌もたくさんあります。

サポーター団体『ウルトラスマツモト』が応援歌を作っています。YouTubeチャンネルには応援入門の動画もあるので、あらかじめチェックしておきたい方はぜひどうぞ。

〇ウルトラスマツモト YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/ultrasmatsumoto

スタジアムを彩る選手の横断幕も、オフシーズンにサポーターが集って手作りしたものが大半。それ以外にも個人的に作成したゲートフラッグ(ゲーフラ)を掲げるなど、さまざまな表現でチームや選手への想いを表現しています。

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サポーターの熱量が〈松本山雅FC〉の大きな特徴。自作のフラッグを掲げたり声を張り上げたりして、それぞれがチーム愛を表現する。©️松本山雅FC

こうした質量の応援がスタジアムを熱狂的な空間に変え、選手の背中を強力に押します。応援されることでパフォーマンスが上がるのは実験でも実証されているように、歴代の選手たちは「疲れていても自然と足が動く」「やらなきゃいけない気持ちになる」と口にしてきました。対戦相手にも圧力を与えてミスを誘い、勝利の要因になることさえあります。

この応援は、選手が〈松本山雅FC〉への移籍を決める大きな要因になることも多々。それだけでなく、「応援を見たいから」という理由で足を運ぶ人も少なくありません。もともと松本は、郷土愛が強くボトムアップの気質が強い土地柄。歴史を紐解けば、松本城が解体の危機に瀕した明治初期、地元の有志が中心となって買い戻したこともあるのです。

3 観戦エリアを選んで初心者も楽々!

ハードルが高そう――と感じたかもしれません。
安心してください、入れますよ!
ここでは、ニーズに応じたおすすめの席種を紹介します。

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スタジアムは目的に応じてさまざまな席種がある。手前側は選手と同じ目線の高さで息遣いを感じられる『ピッチシート』で、臨場感は抜群だ。©️松本山雅FC

・「見たい」
応援歌はわからないけど雰囲気は体験したい、サッカーそのものを見てみたい、という方はバックスタンドがおすすめ。比較的気軽に観戦できるうえ、角度的にもピッチ全体を上から俯瞰することができます。

屋根がないため、雨天の際にはポンチョなどの雨具をお忘れなく。スタジアム内は傘をさせないので、その点は留意しましょう。屋根付きのメインスタンドもほぼ同様。バックスタンドと異なる最大のポイントは価格帯です。ホーム自由席(アウェイ側)も、比較的リラックスして雰囲気を楽しむことができるでしょう。

・「感じたい」
プロサッカーの迫力を一番近くで感じられる、特別な席も用意されています。『ピッチシート』という名称で、バックスタンド側のピッチサイドに設けられた席です。選手と同じ目線の高さで、声援が降り注ぐ場所。選手の息遣いや細かな指示の声、接触音などを間近で聞くことできるほか、走る速さやボールコントロールの質を感じることができます。

・「支えたい」
四方から強力に後押しするのが〈松本山雅FC〉のホームスタジアムの特徴ですが、その中でも大きな熱源となっているのが「ゴール裏」。ホーム自由席(南側)です。叫び、歌い、飛び跳ね、選手とともに苦楽を分かち合います。12番目の選手として『一緒に戦いたい』なら迷わずこちらでしょう。消費カロリーもかなり大きいと推測されます。

それぞれの席の区分と価格帯の確認は、クラブ公式ウェブサイトからご覧ください。購入は『Jリーグチケット』での前売り券がおすすめ。

〇松本山雅FC公式ウェブサイト「チケット情報」
https://sp-yamaga-fc.com/ticket/

〇Jリーグチケット
https://www.jleague-ticket.jp/club/yg/

緑に染まってスタジアムを満喫!グルメも充実

席を決めたら、次は装備品です。

もちろん何もなくても、普段着でも大丈夫です。ただ、クラブカラーの緑色を着用していくとテンションはさらにアップすること間違いなし。あくまで第三者のお客さんでいたい場合も、多少の緑色を含ませておくと目立たず擬態できるでしょう。木を隠したいなら森の中です。

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選手入場時の一幕。『中央線』という曲名のアンセムと同時にタオルマフラーを掲げ、スタジアムを戦いの空間に変える。©️松本山雅FC

クラブオフィシャルグッズも多くの種類が用意されています。標準的なのはタオルマフラー。選手入場時には高く掲げ、ゴールが入ったら応援歌とともに振り回します。寒い時期には首元を温めてもくれます。このほか、コンフィットTシャツなどが『入門編』としては人気。ナイトゲームになる夏場はペンライトも雰囲気づくりに一役買ってくれます。

事前情報をしっかり集めたい場合は、オフィシャルイヤーブックもおすすめ。チームの概要や魅力、現在地や選手の特徴などが網羅されているため、予習にはうってつけです。今シーズンからは公式TikTokアカウントも開設するなど、SNSでの情報発信に力を入れています。選手の素顔なども見ることができ、より身近に感じることができるでしょう。

〇松本山雅FCオンラインショップ
https://www.yamaga-onlineshop.com/

〇松本山雅FC公式TikTokアカウント
https://www.tiktok.com/@pryamaga?lang=ja-JP

〇松本山雅FC公式X(旧Twitter)アカウント
https://twitter.com/yamagafc

〇松本山雅FC公式Instagramアカウント
https://www.instagram.com/matsumoto.yamagafc/

スタジアム観戦のお供にしたいのが、各種スタジアムグルメです。ホームスタジアム『サンプロ アルウィン』の至るところにブースがあり、さまざまなグルメを楽しむことができます。長野県の特産であるそばやおやき、山賊焼き、ソーセージなど多種多彩。試合によって出店のラインナップは多少変わるため、事前のチェックをおすすめします。

アルプスの風に吹かれて 爽快なスタジアム観戦を

そもそも、スタジアムはどんな場所にあって、どうやって行けばいいのでしょうか?最後に、ホームスタジアム『サンプロ アルウィン』のロケーションとアクセスを紹介します。

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ホームスタジアム『サンプロ アルウィン』の遠景。桜色、深緑、黄金色、白色と四季折々の表情を感じられる。©️松本山雅FC

『サンプロ アルウィン』は、JR松本駅から南西に9kmほど離れた場所にあります。電車の場合は松本駅から無料シャトルバスが20分間隔で運行しています。復路も試合終了後1時間まで随時。JR塩尻駅からも1時間間隔で無料の便がありますが、試合によって運行の有無が異なるため事前にチェックが必要です。

自家用車の場合は駐車場が多数用意されていますが、エリアによって有料/無料の区分があります。至近の駐車場は基本的に有料。無料駐車場は『大芝生広場』(2.8km)、『創価学会松本南会館』(1.5km)、『マクセルイズミB・C』(1.5km)の3カ所があります。

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ホーム自由席(南)から望むスタジアム全景。晴れた日には北アルプスの峰々が遠くにそびえ、タイミング次第では信州まつもと空港発着の飛行機が間近を飛ぶ。©️松本山雅FC

スタジアムの魅力はなんと言っても、開放感と臨場感でしょう。陸上競技場の400mトラックを挟まない専用球技場だから、距離が近い。晴れた日には山々の稜線をくっきりと望むことができるほか、標高640mに位置するため、夏場も湿度が低く過ごしやすい環境。『アルウィン』は『Alps』と『Wind』を合わせた造語で、語源通りの魅力があります。

ホームゲーム当日は『サンプロ アルウィン』だけでなく、周辺も含めて一大テーマパークに一変。子ども向けのイベントや、アーティストを呼んでのミニライブやトークショーなど、スタジアムを含む信州スカイパークの一帯で長くエンジョイすることができます。ライチョウがモチーフのマスコットキャラクター『ガンズくん』に会えることもあります。

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試合ごとに違いはあるものの、子ども向けのアトラクションが盛りだくさん。試合前にめいっぱい遊んで、試合も楽しめば大勝利の一日に。©️松本山雅FC

満員のアルウィンと 『松本の誇り』をもう一度

〈松本山雅FC〉の魅力と、観戦のポイントをお伝えしてきました。国内の地方クラブとしては珍しいムーブメントが続いている主な理由は、松本の人々にとってかけがえのない存在であり、胸を張って郷土愛を叫べる場所だから。その奮闘からエネルギーをもらうことができる『パワースポット』でもあります。

もちろん勝負事なので、負けてとぼとぼと帰路に就く可能性もゼロではありません。ただ、老若男女を問わずスタジアムに来れば『緑の友』。そうでなくても、空間に身を浸すだけでも非日常の体験が味わえます。構えすぎず肩の力を抜いて、遊びに来てはいかがでしょうか。


構成:大枝 令、松元 麻希 取材・文:大枝 令

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