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ファットバイクで広大な雪原を駆け巡る! 
誰でも楽しめる新感覚スノーアクティビティ『雪ちゃり』とは?

雪の上を走ることのできるファットバイクで、ガイドとともにコースを巡る『雪ちゃりスノーライドツアー』。スキーやスノーボードをしない人でも、雪の世界を存分に味わうことのできる新しいアクティビティとして、注目されています。戸狩温泉スキー場で、2021/2022シーズンに新たにスタートした本ツアーを体験取材しました。

更新日:2022/04/08

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ファットバイクってどんな自転車?

 

自転車で雪の上を走るなんて、滑りそう!不安定では? 誰もがそう考えるところですが、ファットバイクはタイヤがかなり太く、雪の上でも安全に走行できるよう設計されています。見た目はマウンテンバイクに似ているけれども、タイヤはマウンテンバイクの約2倍もあるので、オフロードでも安定感抜群なのです。

アメリカ・ミネソタ州の寒冷地で誕生したと言われているファットバイク。マウンテンバイク愛好者たちが、冬、雪の上でも自転車に乗りたいと、タイヤの太い自転車を開発したのが始まりだとか。

 

マウンテンバイクとオフロードバイクの合いの子のような、存在感のある出で立ち

タイヤの幅はおよそ12cm。タイヤの空気圧によって乗り心地を変えることもできる

 

ゲレンデを縦横無尽にクルージングする『雪ちゃりスノーライドツアー』

 

普通の自転車に乗れる人なら誰でもOK!とのことで、女性2人で早速チャレンジしてみます。『雪ちゃりスノーライドツアー』は、シーズン中の土日祝に一日2回の開催。まずは、戸狩温泉スキー場ペガサスゲレンデにある『雪ちゃりスノーライド受付センター』で、受付をします。

服装は、スキーやスノーボードをする時と同じスタイル。グローブやゴーグル(天候によってはサングラス)も必要です。足元はスノーブーツかスノーボードブーツ。ヘルメットは自前でもいいし、受付の際に無料でレンタルもできます。

 

ペガサスゲレンデの麓にある受付。キッズ用のスノーストライダーのレンタルや専用パークもある

 

まずは受付で説明を受けて申し込み手続きと、装備の準備

施設内には約20台の最新ファットバイクが並ぶ

 

準備を整え、初めてファットバイクにまたがってみます。本当にタイヤが太くて、ちょっとまたがるだけで、安定感が伝わってきます。そしてワイルドな見た目と違って、そこまで重くないな、というのが第一印象。

コースに向かう前に、簡単なレクチャーを受けます。ツアーガイドは、戸狩温泉スキー場の『雪ちゃり』企画の発案者でもある松山周世さん。コースの説明や、ギアの使い方、注意点など丁寧な説明で、スポーツバイク初心者でも安心です。

 

受付を済ませたら、ファットバイクをレンタルしてサイズ合わせと簡単なレクチャーを受ける

 

ウエアの裾がチェーンに絡まらないようにバンドで固定

ガイドの松山周世さん、略して『マッシュ』です!という和やかな自己紹介

 

ツアーの始まりはリフト乗車から。レンタルするファットバイクは、すでにリフト降り場に用意されているので、空身でリフトに乗ります。これもまたなかなか珍しいシチュエーションで新鮮! ペガサスビートル4リフトで一気に上がると、眼下には飯山盆地の絶景が広がります。ここからいよいよファットバイクに乗り込み、スタートです。

 

スキーもスノーボードも履かないでリフトに乗車。ファットバイクは事前にスタッフがリフトを使って輸送済み

 

リフトを降りると戸狩温泉スキー場の魅力のひとつでもある、飯山盆地の大パノラマを望む

 

『雪ちゃりスノーライドツアー』で使うコースは、部分的にスキー場の一般コース内を、共有します。走るのは、林間コースや迂回コースなので、斜度は緩やかで怖さはありませんが、ほかの滑走者と接触しないように注意が必要。先導する松山さんが滑走者の少ないタイミングを見計らい、合流地点では必ず止まるなど、フォローしてくれます。

漕ぎ出すと、普通の自転車と何も変わらないような乗り心地にちょっとビックリ。緩斜面ではスピードも出ないので、ゆっくり漕ぎながら、雪の感触を確かめて身体を慣らしていきます。普段スキーで滑るコースを、自転車で走っているなんて、なんだか不思議!

 

一般のスキーヤー、スノーボーダーの合間を縫ってコースを行く

最初はかなりゆっくりなスピードで、松山さんの後をトレース

 

リフトに乗っている人からも注目される、多くの人にとっては見慣れない『雪ちゃり』

 

途中からは、ほとんど滑走者のいない長い迂回ルートに入ります。ファットバイクの操作にも慣れてきて、周囲の景色を眺めたり、立ち漕ぎをしてみたり、おしゃべりをする余裕も出てきました。この日はお天気に恵まれ、雪景色が本当に素晴らしく、「気持ちいいね~!」「最高だね~!」て、何度口にしたことでしょう。

 

ゲレンデから一歩離れるだけで静寂に包まれる

 

雪化粧をした木々が美しく、戸狩温泉の豊かな自然を感じる

途中、一般の道路を抜けるセクションでは、この地域特有の古民家を眺めて

 

スキーやスノーボードでは滑ることに夢中で、目に入ってこない周辺の木々や動物の足跡、雪国の集落などの光景も、『雪ちゃりツアー』だからこそ、ゆっくり堪能できます。その日の天候によっては、途中、眺めの良いところで休憩したり、ふかふかのパウダースノーにダイブして遊ぶこともあるそうです。

 

夏は田んぼだというトレイルは、一面雪野原で眺めがよく、開放的!

 

迂回ルートは思ったよりも長く、景色の移り変わりを楽しみ、一番最後にちょっとした難関がありました。やや斜度のある下り斜面! スリル満点の遊びが好きな筆者としては、こういうセクションがあることがまた嬉しく、アドレナリンを放出させながら、無事ゴールできました。通常のツアーでは、半日でこの周回コースを2回走行できます。

 

下りはドリフトのように後輪が滑ることも。不安な人はゆっくりと降りれば大丈夫!

 

誰でもできるという『雪ちゃり』の大きな魅力

 

初めての『雪ちゃり』。その感想は、思ったよりも簡単!安全!ということ。ツアー中に転倒する人もほとんどいないそうです。たとえば、スキーが大好きな旦那さんが、奥さんもスキー場に連れて行きたいけれど、スキーやスノーボードは苦手、という場合。『雪ちゃり』なら、レベルを問わずに、雪の世界を一緒に楽しむことができます。午前はスキー、午後は『雪ちゃり』という遊び方も可能。レンタルバイクのサイズの関係で、子供は身長155cm~となりますが、家族みんなでツーリングというのも魅力的です。

松山さんは言います。
「雪の上でも自転車に乗れるんだという感覚をまず味わってほしいですね。そして田舎の景色も楽しんでもらえたら」

 

上りはないので体力は使わないけれども、程よい疲労感と達成感に満足!

 

戸狩温泉スキー場で『雪ちゃり』導入の背景

 

松山さんは、地元出身でもともと自転車が大好きなサイクリストです。『雪ちゃり』をスタートさせた背景を聞いてみました。

「10年くらい前にファットバイクが日本に普及し始めた頃、購入して雪上でも走れる面白さを実感していました。その当時、スキー離れが深刻で、誰も滑っていないナイターゲレンデを見て、どうにかできないかなと考えていました。地元の先輩の協力もあって、『雪ちゃりナイター』という企画を2015年に始めたのがきっかけです」

『雪ちゃりナイター』は、貸切で持ち込みバイクのダウンヒル滑走ができるとあって、マウンテンバイク愛好者の間で話題に。全国のスキー場でも初めての試みで、密かな人気を集めていました。それから専用のコース作りをしたり、ファットバイクのレンタルを始めたり、雪の上で自転車を乗る仲間たちの輪が構築。

「『雪ちゃりナイター』は今季イベントとして3回開催しました。コアなファンの間で盛り上がりを見せています! また、新たにスタートさせた『雪ちゃりスノーライドツアー』では、全く初めての人でも楽しめるアクティビティとして間口を広げていけたら嬉しいです」

自転車と地元を愛する松山さんのアイデアは、地域観光の新たなコンテンツとして、今後どう波及していくのか楽しみです。

ぜひ一度、『雪ちゃり』体験してみてくださいね。

 

自転車で日本一周の旅をしたこともあるという松山さん。『雪ちゃり』の可能性をまだまだ探っている

 

 

撮影:太田孝則 取材・文:尾日向梨沙

 

☞戸狩温泉スキー場
https://togari.jp/winter/

 

☞雪ちゃりスノーライドツアー
https://togari.jp/winter/park_bicycle/

 

 

<著者プロフィール>
尾日向梨沙
1980年、東京都生まれ。編集者/ライター。
早稲田大学第二文学部卒業後、13年間スキー専門誌『Ski』『POWDER SKI』(実業之日本社)などの編集を担当。2013年より同誌の編集長を務める。2015年よりフリーランスとなり、スノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を創刊。2018年より藤沢市鵠沼の自宅を舞台に、歴史的建造物と周辺の緑の保存活動を開始。2020年に湘南から長野県飯山市に移住。スキーのあるライフスタイルを送りつつ、畑での野菜作り、雪国での太陽光発電の挑戦など、自然に寄り添った暮らしを目指す。

 

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