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「全国小劇場ネットワーク」代表
野村政之さんが案内する
長野県のローカルな小劇場文化史

長野県には独自の熱量で活動している小劇場が点在します。小劇場というとアンダーグラウンドなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、地域文化を支えるその場所は、土地や人を知るのにうってつけの空間です。

更新日:2021/08/31

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top photo:©︎上土劇場


執筆者|
全国小劇場ネットワーク代表
舞台芸術制作者オープンネットワーク理事
野村政之(のむら・まさし)

【お知らせ】新型コロナウイルス感染拡大防止のため、イベントの変更や制限のある場合がございます。詳しくは各施設や主催のホームページなどをご覧ください。

長野県の小劇場は
地域文化の創造と交流の自由圏

地域の文化活動が盛んな長野県。各市町村の文化祭での演劇公演や、市民・アマチュアの皆さんによる演劇祭が年に1回程度、各地域の公立文化ホールで行われています。またそれとは別に、民間ベースで運営され、県内外の劇場や地域のインディーズ・カルチャーと繋がりをもつ、独自の熱量と魅力をもった活動をしている小劇場があります。地域の古い建物を活用して、ローカルな人々の文化的なつながりの交流拠点ともなっている小劇場を、旅のメニューに入れてみてはいかがでしょうか。

©︎ネオンホール

親しみ深い交流の場

ネオンホール@長野市

ネオンホールは、長野市権堂の少し外れた街かど、レトロ感ある木造家屋の2階にある小劇場。ライブハウスとしても広く知られ、約30年の歴史をもつ老舗スポットです。
毎年3回行われる『ネオンホール短編劇場』では、長野市周辺の劇団やユニットを軸に県内や県外からも上演団体が集います。例年2月上旬の『長野灯明まつり』と併せて開催される『もんぜんまち劇場』では、善光寺門前界隈のお店なども巻き込んでさまざまな場所で上演、朗読、ワークショップを展開しています。

©︎ネオンホール

©︎ネオンホール

ネオンホールの木のドアを開け、階段を上がると、床のきしみや壁の木目から、たくさんの人がここで時を過ごし、心を解き放ってきた味わいを感じられます。なんだか、誰とでも語り合えそうな気持ちになるのです。
日常普段から「戯曲を読む会」など参加できる大人の部活動も行われているので、旅の流れでフラッと入ってみたら、やさしい人たちとの親しみ深い出会いがあるかもしれません。

©︎ネオンホール

旅人と地域のむすび目

犀の角(さいのつの)@上田市

犀の角は、上田市街の中心・海野町商店街に面し、袋町と呼ばれるネオン街とのあいだに2016年にオープンしました。東信地域の意欲的な表現者たちの発表・交流の拠点として愛されていて、例年秋冬の『上田街中演劇祭』では、予測のナナメ上をいくセレクトで県内外から演劇、ダンス、パフォーマンスを紹介しています。最近では、アーティスト・イン・レジデンス(アーティストが長期滞在して地域で作品創作をする)にも取り組み、県外からも注目されるコアなスポットに育ってきました。

「犀の寄席 2018」©︎犀の角

©︎犀の角

ゲストハウス、カフェとしても営業しており、ミニシアターや古書店など地域のカルチャースポットとの連携を通じて、旅人と地域のつなぎ役として上田の魅力を伝えています。
犀の角を根城にして過ごしてみると、近いところに愉しい過ごし方がたくさんあることに気づきます。アートめぐりや温泉めぐり、山やスキーを味わって、夜は袋町の呑み屋めぐりでさらにディープな奥地へ…。ハマること間違いなしです。

©︎犀の角

熱気あふれる交差点

上土劇場(あげつちげきじょう)@松本市

上土劇場は、松本城下の風情ある一角、かつて映画館「ピカデリー」として親しまれた建物を劇場に改装し、20年余りの歴史があります。蔵を改装した「信濃ギャラリー」とあわせて、松本周辺で活動する演劇・ダンスの表現者の基地となっているほか、演劇に興味がある市民の人たちが参加できる演劇塾『ぴかぴか芝居塾』を毎年実施しています。サッカーファンにはFC松本山雅のパブリックビューイング会場として親しまれています。

©︎上土劇場

©︎上土劇場

©︎上土劇場

毎年秋には〝日本最大の地域演劇祭〟を掲げる『まつもと演劇祭』を開催。地域に根を張って活動する全国各地のプロ・アマ劇団が、松本市街のさまざまな場所で同時多発的に上演する、熱気あふれるフェスティバルとなっています。
松本城や本町・中町といった中心市街地・観光スポットから少し奥、上土周辺にはライブハウスや文化的な飲食店(民芸、古書、ジャズ…)などがあり、私にとってはまさに文化都市・松本の懐の深さを感じる、インディーズなエリアです。

©︎上土劇場

旅のアクセントに
劇場で意外な出逢いを!

小劇場というとアンダーグラウンドなイメージをもつ方も多いかと思いますが、ご紹介したように、県内の小劇場は、演劇だけにとどまらず、劇場だけにとどまらず、さまざまなカルチャーと、地域の交流の交差点にもなっています。長野、松本、上田、それぞれの地域への深い愛をもったやさしい人たちが劇場に集っていますので、意外な出会いのきっかけに、旅のアクセントとして加えるのは面白いかもしれません。おすすめです!

【執筆者】
野村政之
Masashi Nomura
全国小劇場ネットワーク代表
舞台芸術制作者オープンネットワーク理事

長野県塩尻市出身、長野市在住。
演劇を中心に文化・芸術の企画プロデュースや創作活動におけるアーティストの相談相手、地域の文化芸術団体への公的支援にかかわる仕事に並行して携わっています。東京で劇場勤務と演劇活動、沖縄で県内文化芸術団体への支援に携わった後、2018年10月より長野県県民文化部文化政策課文化振興コーディネーターに

紹介した小劇場

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