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『CAMP LIFER』という選択肢。「キャンプ」✕「ワーケーション」で新しい働き方を楽しもう!

文・撮影:諌山未来雄

普段と違う環境で仕事をしながら休暇を楽しむ、「ワーケーション」という働き方。今回は南信州のキャンプ団体『南信州キャンプセッション』が始めたワーケーションの取り組み、『CAMP LIFER(キャンプ ライファー)』プランを体験してきました。

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平日のキャンプ場を利用し放題のサブスクリプションサービス
『CAMP LIFER』

長野県は言わずと知れたアウトドア天国。キャンプは全国的にも有名で、毎年多くのキャンパーが長野の自然を楽しんでいます。その中で「南信州をキャンプの聖地に」というスローガンを掲げ、南信州の8つのキャンプ場と企業、団体が連携し発足した団体『南信州キャンプセッション』。8月から平日『CAMP LIFER』がスタートしました。この『CAMP LIFER』は対象キャンプ場の平日営業日のみ、月額4500円で利用し放題というサブスクリプションサービスです。試験導入として50名の枠を設け募集をかけたところ、一週間足らずで完売するという関心度の高いこのサービス。実際にワーケーションを行いながら3つのキャンプ場を利用してみました。

マイナスイオンを感じながらの仕事。普段とは違うアイディアが生まれるかも

豊かな森と川と温泉でリラックス

『四徳温泉キャンプ場』

駒ヶ根インターチェンジから車で約30分。狭い山道を進むと温泉とキャンプが楽しめるフィールドが現れます。『四徳温泉キャンプ場』は森と川に囲まれ、その豊かな自然の中で心と体をリラックスさせることができるキャンプ場です。名前の通り温泉が有名なキャンプ場で、以前はひとつの村だったという広大な敷地面積を持つサイトで、キャンプを楽しんだ後の温泉は多くのキャンパーを魅了しています。

キャンプ場へのアクセスは手作りの看板が教えてくれます。道は狭いのですれ違いに注意

主なワークスペースはセンターハウスの『ゆ家』。「みんなが安心してくつろげる森のお家」をコンセプトとし、シェアオフィスやクラフトビールなどを楽しめるカフェを併設。前日までに予約をすればランチとして特製夏野菜カレーを食べることも可能な、キャンプ場の中心です。開放的なウッドデッキでの仕事は風が気持ち良く、木や土の匂いが非日常の空間を演出してくれます。

センターハウス『ゆ家』受付やカフェ、温泉を併設。地域のクラフトビールやジビエの加工品も楽しめます
スタッフ特製の夏野菜のキーマカレー(1200円)
ウッドデッキで仕事。Wi-Fi感度も良好で、オンライン会議などもスムーズに行うことが可能です

テレビ会議や集中して仕事をしたい場合は、有料の個室ワークスペース『コロコヤ』がお勧め。小さくかわいい小屋の中には電源、電灯を完備し、Wi-Fi感度も抜群。ある程度外の音も遮断してくれるので、集中して仕事に取り組めます。

有料個室ワークスペース『コロコヤ』集中して仕事がしたい時にお勧めです

また、温泉営業日にはキャンプ場最大の特徴である強アルカリ性の湯を楽しむことができ、温泉営業日外でも車で20分ほどの場所には日帰り温泉が多数あり、仕事の疲れを癒やすことができます。

お湯は源泉100%の強アルカリ性。キャンプ場で温泉に入れるのはうれしいですね

テントを張ったのは森の中で野営ができるフォレストサイト『きじゅまるの森』。完全屋外の天然オフィスではまた違ったアイデアが浮かんできそうです。

キャンプ上級者向けのフォレストサイト『きじゅまるの森』キャンプ初心者はオートサイトがお勧め

今どきのキャンプ場では珍しく直火が可能で、より自然を体感することができます。火口となる小枝を拾い、薪を割って火を灯す。そして見上げれば満天の星が現れ、今自分がキャンプ場にいるということを実感させてくれます。携帯機器の普及により、いつでも知りたい情報、どうでもよい情報を取捨選択しなければなりませんが、森では自分の考えとだけ対話する時間です。思考を整理し、明日の仕事につなげる。都心では味わえない贅沢な時間でした。

フォレストサイトは直火可能。薪も場内で購入可能です

自家製酵母パンとテントサウナで心と体を”ととのえる”

『せいなの森キャンプ場』

“日本一星空がきれいに見える場所”に認定された阿智村にある『せいなの森キャンプ場』。
阿智村はその壮大な星空を活かしたヘブンスそのはらの『星空ナイトツアー』などが有名であり、毎年多くの観光客が訪れます。キャンプ場からも満天の星を見ることができ、CAMPUSサイトは最高のロケーション。
広場にポツンと立つ一本の木と星空のコラボは、ジュエリーのCMや、人気アニメのエンディング映像にも使用されており、有名星空カメラマンのお気に入りの場所にもなっています。ファミリーからソロキャンパーまで、多くの人に愛されているキャンプ場です。

左側に見える1本だけ生えた木が通称『ハーロックの木』。木と星空のコントラストは最高の一言

『CAMP LIFER』プランの利用サイトは、キャンプ場から車で2分、8月にリニューアルオープンした『里山CAMPUS(キャンパス)』内にあります。
『里山CAMPUS』には、ワークスペースとしても利用できるWi-Fiと電源を完備したカフェや、おしゃれなキャンプ用品、地元野菜や加工品の販売、そしてキャンプ場のオーナーの自家製天然酵母のパン工房『耕紡工房』が併設されています。
カフェスペースでは、村の銘水である『一番清水』を使用したコーヒーを自分で淹れることができます。お昼になれば、食欲をそそられるパンの焼ける香ばしい香りが店内を包みます。「新じゃがのフォカッチャ」「枝豆チェダー」など、季節によって変わるオリジナル商品が並びます。どのパンもボリューム満点で、仕事で疲れた頭と体に心地よい栄養を届けてくれます。

『里山CAMPUS』内ではアウトドアに関わるギアや地域の特産品、天然酵母パンを販売しています
カフェスペースの様子。1日500円で電源も貸してくれます
自家製の天然酵母パン。一つ一つが食べごたえがあり、お腹いっぱいに
自家製の天然酵母パン。1つ1つが食べごたえがあり、お腹いっぱいに

気分転換したい場合はテントサウナに挑戦してみましょう。『せいなの森キャンプ場』を流れる川の上に設置されたテントサウナでは、ドラム缶風呂や天然の川での水風呂など、キャンプ場ならではのワイルドなサウナを体験することができます。本場フィンランド式のサウナで体を温め、天然の水風呂にダイブする。血液が体を駆け巡るあの快感はまさに”ととのう”瞬間です。1日1組限定の予約制ですが、煮詰まったアイディアを整理する絶好の機会なので、ぜひ利用してみてください。

川の上に建つテントサウナ。温まった後は、ドラム缶風呂や天然の水風呂で冷やすもよし、外気浴で、森を吹き抜ける風に身を委ねるもよし。楽しみ方は無限大

湖畔で静けさとウィンドチャイムの音に癒やされる

『おおぐて湖キャンプ場』

伊那谷の山の中にぽっかりと現れる『おおぐて湖キャンプ場』。湖畔というキャンパーにはたまらない絶好のロケーションが広がるこのキャンプ場ではいつでも釣りを楽しむことができ、地元だけではなく遠方からも多くの釣り好きが集まる場所です。

おおぐて湖。風が少ない日には湖面に景色が鏡のように見えることも

岬の先端に設置されている打楽器「ウィンドチャイム」は世界最大級の大きさ。風によって不定期に流れる音色が湖畔全体に響き、静けさの中に幻想的な雰囲気を与えてくれます。

世界最大のウィンドチャイム。風が吹くと幻想的な音を奏でる。小型なものは売店で購入可能

キャンプ場を運営している旅館『しらさぎ荘』では予約制でランチを頼むことも可能です。蕎麦と手作りの五平餅はボリューム満点で、キャンプ場とは思えない食クオリティの高さです。

要予約で食べられる湖畔蕎麦昼食(1000円)

宿泊したテントサイトは満天の星を存分に楽しめる「星見テラスキャンプサイト」。追加料金を支払うことで宿泊可能なこのサイトは、電源やWi-Fi、焚き火スペースを完備。高台にあるこの場所は風が心地よく流れ、夕方にはイルミネーション、夜は満天の星空を体験することができます。他にも森の中にある「林間サイト」や湖近くの「湖畔サイト」を利用することも可能ですが、施設のWi-Fiが利用できるのは星見テラスのみなので注意が必要です。

星見テラスキャンプサイトでは電源、Wi-Fi、焚き火エリアを完備。
(写真にあるタープ、ハンモックの設置はありません)

休憩時間には湖畔の周りを散歩して頭をリセット。随所にハンモックが吊るされており、湖畔の涼やかな風に極限までリラックスさせてもらいました。

所々に設置されたハンモック。ゆったりするには最適

キャンプカルチャーを地域の活性につなげたい

「南信州は長野県の中でもキャンプ場の人気が高く、自然のポテンシャルも高いです。南信州をキャンプカルチャーの受け皿として広げられれば最高ですね」

こう話すのは、しらさぎ荘で生まれ育ち、上京後、東日本大震災を機にUターンして旅館を継いだ代表の佐々木春仁さん。南信州の同世代のキャンプ場経営者と「何か面白いことをやりたい」という想いから、『南信州キャンプセッション』を立ち上げた代表の1人です。

佐々木春仁さん。しらさぎ荘で育ち、現在もしらさぎ荘、そして南信州の活性化に奔走している

「単体のキャンプ場としてだけでなく、地域として連携して何かやったほうが可能性があるんじゃないかと思い『南信州キャンプセッション』という団体を立ち上げ、『CAMP LIFER』サービスを始めています。週末やハイシーズンは予約が埋まりますが、平日は新型コロナウイルスの影響で空きが目立ちました。ただ平日でも自然は変わることはありませんし、お客さんの数が少ないからこそゆっくり落ち着いた時間が過ごせる。そんなメリットを知ってもらい、ワーケーションという働き方にも有効活用してもらえれば色んな可能性が見いだせると考えたんです。」

「おおぐて湖キャンプ場はキャンプしながらバス釣りしたい人にはうってつけですし、四徳温泉キャンプ場なら温泉、せいなの森キャンプ場なら天然酵母のパンやテントサウナなど、どのキャンプ場も面白い特色があります。場所にとらわれないワーケーションが可能な人には、ぜひ色んなキャンプ場をまわり、南信州の良さを知ってもらいたいですね」

『CAMP LIFER』のサービスを利用する人はリモートワークが可能なサラリーマン、ライターやフリーランス、純粋にキャンプを楽しみたい生粋のキャンパーなど多種多様。そんな人たちが自分の強みを活かす場とし、自然の中で働くことは可能性の一つなのかもしれません。

外で仕事をするという非日常の体験が、新しいアイディアを与えてくれる

「『南信州キャンプセッション』は『Leave No Trace』という国際団体に加入しているので、アウトドア活動において環境負荷をかけない取り組みを伝えていきたいですね。また、ここで培ってきたキャンプカルチャーをどんどん広げていき、地域のことを知ってもらったり、キャンプ場に来たことによって地域の観光資源を回ってみたりと、南信州全体が活性化する動きにつながればうれしいですね」


キャンプ場を経営してできたつながりから、今後の展望まで、多くのことを佐々木さんは教えてくれました。

オフィスや自宅でいつもの環境、いつものメンバーで仕事をする。それは当たり前のことだと思っていました。しかし、キャンプを楽しみつつ仕事をする、というスタイルは新鮮でした。夜はキャンプ場の消灯時間に合わせるため早く寝床に着き、朝は夜明けとともに起きる。外で食べるご飯はいつもより少し特別な味がして、土と木の匂いのする天然のオフィスはいつもとは違う角度の発想を与えてくれます。キャンプ場で出会う人たちも普段とは違うバックボーンを持ち、会話の節々で新しい知識を教えていただきました。いつもとは違うからこそ、新しい発見がある。今回のワーケーションで学んだ、一番の収穫です。


『CAMP LIFER』の”LIFER”は「仕事に一生をかける人」という意味があります。人は大なり小なり自然と関わり生きています。この機会に自然を日常に取り入れてみませんか。壮大で優しい自然の恵みが、人生を豊かにしてくれます。

おおぐて湖キャンプ場受付の張り紙。感染対策はしっかり行いましょう

ウィズコロナ時代、受け入れ側は三密対策、消毒の徹底など、キャンプを楽しむ上で必要な体制を整えています。そのため、私たち利用者は、事前の情報収集やしっかりとした感染症対策と意識を持つことが重要です。お互いに気をつけ合い、気持ちのよいキャンプ×ワーケーションを楽しみましょう。

南信州CAMP session(南信州キャンプセッション)
 

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