善光寺詣りの真髄は早朝にあり!
宿坊に泊まってお朝事を体験しよう

善光寺を訪ねるなら、ぜひ体験したいのが宿坊(しゅくぼう)に泊まっての参拝。
独創的な精進料理を味わい、朝は早起きして本堂で行われる「お朝事(あさじ)」へ。
泊まってこそわかる善光寺の魅力があります。

旅館のように快適。善光寺に来たら宿坊に泊まろう

創建1400年を数える善光寺。それと同じ歴史を重ねてきたのが、仲見世通り周辺に建ち並ぶ39軒の宿坊です。善光寺はどの宗派の人も受け入れる無宗派のお寺ですが、護持運営するのは天台宗と浄土宗。宿坊も二つの宗派に分かれていて、名前に「坊」がつく宿坊は浄土宗、「院」がつく宿坊は天台宗の宿坊で、それぞれに仏様を安置する御堂があり、善光寺如来に奉仕する住職がいます。
宿坊は昔から住職の拠点であると同時に、長旅を経て訪れた参拝者の宿泊施設として多くの人を迎え入れてきました。宿坊というと「特別なルールや作法があるのでは?」と思うかもしれませんが、基本は普通の旅館と変わりません。たとえば浄土宗の宿坊のひとつ「兄部坊(このこんぼう)」は、朱塗りの門をくぐると季節の生け花や坪庭が迎える老舗旅館のような佇まい。客室は和室で、エアコンはもちろん浴衣や歯ブラシ、ドライヤーも各室に完備しています。木の温もりあるお風呂も快適で、リラックスして過ごせます。

宿坊「兄部坊(このこんぼう)」の客室。チェックイン後、執事の方が宿坊の歴史やお朝事について分かりやすく解説してくれます

門前ならではの精進料理。旬の素材を彩り豊かに、名物のそばも登場

宿坊で楽しみなのが精進料理。肉や魚を使わず野菜や海草、穀類などを使った料理のことで、善光寺でも宿坊ごと趣向を凝らした精進料理を提供しています。兄部坊の料理は、丁寧にとった椎茸と昆布の出汁が素材を引き立て、彩り豊かで目にもおいしいものばかり。長野の旬の食材をふんだんに使い、調理方法もポタージュ風やかき揚げ、寒天寄せなどバラエティ豊かで、その時季ならではの味わいと色合いを楽しめます。最近ではヴィーガンやベジタリアンの海外旅行者の宿泊も増えているそう。
兄部坊でのメニューのひとつが、セリやカヤの実、柚子など五品の薬味をご飯に乗せ、出し汁をかけていただく「法飯(ほうはん)」。善光寺の正月行事「堂童子(どうどうじ)」を終えた祝宴の最後に出されるものを再現した料理です。出汁の旨味がじんわりとしみわたります。さらに長野県ならではの蕎麦も登場。精進料理ではネギやニンニクなど香りの強いものを使わないため、薬味代わりに添えたクルミの香ばしさが印象的です。

兄部坊の夏の献立の一部。信州丸ナスの味噌田楽、枝豆の清涼汁、夏野菜の寒天寄せに手作り胡麻豆腐と、
旬の素材を使った目にもおいしい料理が登場

善光寺の一日のスタートを切る「お朝事」に参加しよう

宿坊に泊まった翌朝は、早起きして本堂で行われる「お朝事」へ。お朝事への案内も宿坊の大切な役割で、各宿坊専属の案内人が同行してくれます。
お朝事とは、朝の勤行のこと。天台宗と浄土宗それぞれのお導師(善光寺の住職)と各宿坊の住職が毎朝本堂に集まって行うお朝事が365日欠かすことなく続けられてきました。
善光寺の本堂は日の出に合わせて開き、その1時間後にお朝事がはじまります。そのためお朝事の時間は季節ごと分単位で変わり、おおむね夏は5時半、冬は7時ごろ。朝の凛とした空気のなか、案内人の解説を聞きながら早朝の境内を歩いて静けさに包まれた本堂へ。内々陣に僧侶が座り、天台宗、浄土宗の順にそれぞれ30分ほどのお朝事がはじまります。天台宗では民謡や浄瑠璃の源流とも言われる仏教音楽「声明(しょうみょう)」、浄土宗では「南無阿弥陀仏」の念仏が響き渡り、秘仏の御本尊が安置されている雲龍の図柄の戸張が開かれます。
お朝事のあとには、希望者に供養やご祈願の法要が行われます。法要は宿泊する宿坊で前日までに申し込むか、宿泊しない場合もお朝事開始30~10分前に本堂で申し込むことができます。

天台宗のお朝事では、「声明(しょうみょう)」が約20分間続きます。中央が善光寺住職である天台宗のお導師、瀧口宥誠貫主
写真提供:善光寺

善光寺住職の一番近くで参拝できる「お数珠頂戴」

早起きしたからこそ体験できるもうひとつの儀式が、お朝事の前後に参道で行われる「お数珠頂戴」。天台宗と浄土宗それぞれのお導師が本堂へ向かうときとお朝事を終えて戻るときに、参道の左側にひざまずいて手を合わせる参拝者の頭に数珠で触れ、功徳を授けるもの。これにより悪い因縁を断ち切り、幸せを与えるとされています。
普通ならお目にかかれないお導師の一番近くでお参りできる、貴重な機会。こちらも365日毎日行われるので、朝の散歩や通勤通学の途中で参加する人も。参道に多くの人がずらりと並び、手を合わせる姿は朝の善光寺ならではの風景です。
古来、続いてきた伝統ある「朝活」。お朝事とお数珠頂戴を体験し、心も体も晴れやかな一日をスタートさせましょう。

浄土宗のお導師、鷹司誓栄副住職による「お数珠頂戴」。創建以来、浄土宗本山の善光寺大本願の住職は代々女性が務めています
写真提供:善光寺

善光寺周辺の宿坊

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