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SNOW(雪) と SORA(宙) が出会う場所 —— ⻑野の「天」と「地」のツーリズム 第3章『霧ヶ峰・車山高原360度の地平線が、宙を解放する』

長野の冬は「SNOW × SORA」 冬の長野には、ふたつの資源があります。世界に誇る雪 ―― SNOW。澄み切った夜空に広がる宙 ―― SORA。冷えた空気と山岳地形が生む、深い静けさ。雪原に包まれた夜、見上げる星空は、同じ日本とは思えないほど深く、宇宙に近い。雪があるから、宙は美しい。宙があるから、雪景色は昼と夜で表情を変える。滑る。歩く。泊まる。温まる。そして、夜、宙を見上げる。SNOWを楽しみ、SORAに出会う。それが、長野の冬が生み出す天と地を結ぶ、唯一無二の体験です。

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『霧ヶ峰中央部から見る雪原と冬の星たち』蝶々深山のなだらかな稜線と車山の稜線が交差する。その向こうには北アルプスが連なり、左上には冬でも宿泊可能な山小屋「ころぼっくるひゅって」が見える。雪原の上に広がる冬の星空が美しい。撮影地:車山湿原付近(3月中旬)(©大西浩次)
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第3章 霧ヶ峰・車山高原 360度の地平線が、宙を解放する

霧ヶ峰・車山高原の魅力は、視界を遮るものの少ない、なだらかな高原地形にあります。雪原の向こうまで続く地平線の上に、星空がそのまま広がっていく。
星を「見上げる」というより、宙(SORA)そのものがひらけていくように感じられる場所です。風の流れ、雲の動き、そして星の移ろい――開かれた宙を全身で感じる体験が、ここにはあります。
霧ヶ峰・車山高原は標高およそ1,600〜1,900mに位置し、空気中のちりや水蒸気が少ないため、年間を通して透明度の高い星空が見られます。特に冬は、季節風の影響で空気がいっそう澄み、夜間には厳しく冷え込むことで、一年の中でも際立って冴えた宙(SORA)が広がります。そんな夜に見上げる星空は、まさに格別です。


霧ヶ峰・車山高原の冬の交通

山岳地帯では冬季閉鎖となる道路がほとんどですが、霧ヶ峰・車山高原周辺では、諏訪市街地から白樺湖、車山高原スキー場へ至る県道40号(ビーナスラインの一部)が、冬季も除雪された状態で利用できます。このため、霧ヶ峰・車山高原へは、諏訪側・白樺湖側のいずれからもアクセスが可能です。
一方、八島湿原駐車場から和田峠・美ヶ原方面へ向かう区間は、冬季通行止めとなりますので注意が必要です。

〈冬季訪問時の注意〉
冬の霧ヶ峰・車山高原では、晴天時であっても日陰や朝夕に路面が凍結し、アイスバーンとなることがあります。大雪直後には除雪が間に合わない場合もあります。スタッドレスタイヤなどの滑り止め装置の装着が義務付けられています(注)。気温は日中でも0℃前後、夜間や早朝には−10℃を下回ることも珍しくありません。防寒対策と十分な準備を整え、安全に配慮して訪れましょう。
※冬季の通行可否は、積雪や凍結状況によって変わります。出発前に最新の道路情報を確認することをおすすめします。

(注)長野県道路交通法施行規則 第14条(2)
「積雪または凍結した道路において、滑り止めの措置を講じずに運転することは禁止」されています。
https://www.pref.nagano.lg.jp/suwaken/doro/index.html?utm_source=chatgpt.com

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『冬の大三角と南アルプスの稜線の上のカノープス』撮影地:富士見台駐車場(2月中旬)(©大西浩次)
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霧ヶ峰 富士見台 展望台で見る星空

霧ヶ峰で星空観察を楽しむなら、まず訪れたいのが富士見台展望台です。駐車場に立った瞬間、視界いっぱいに広がるのは、遮るもののない大パノラマ。その上に、星空がそのまま重なります。
南の方向には南アルプスの稜線が連なり、左手(東側)へ視線を移すと、編笠山の裾野の向こうに富士山、その左には八ヶ岳の山並みが広がります。右手(西側)には、御嶽山、乗鞍岳、さらに北アルプスの穂高連峰から槍ヶ岳までを一望できます。この壮大な山のシルエットを縁取るように、夜空に星々が展開します。
夕方から宵の時間にかけて空を見上げると、真南には冬の明るい星たちが現れます。
アルデバラン、カペラ、プロキオン、シリウス、ベテルギウス、リゲル――冬を代表する一等星が、まるで宝石箱をひっくり返したかのように輝きます。条件がよければ、南アルプスの山際にカノープスを見ることもでき、冬の一等星がすべてそろう特別な夜になります。近年は、ここに木星が加わり、さらに華やかな星空が楽しめます。
北の方向には車山の稜線が横たわり、その上には北極星が輝いています。左にはカシオペヤ座の「W」の形、右には北斗七星が柄杓の水をくむ部分(合)を横に向けて昇ってくる様子を見ることができます。

星空には「春・夏・秋・冬の星座」という呼び方がありますが、それぞれの季節の夜に南の空で主役になる星座を指しています。夜の早い時間(19〜21時)に南に見えるのが冬の星座で、東の空には春の星座が昇り始め、西の空には秋の星座が沈んでいきます。深夜になると春の星座が南に移り、さらに明け方には夏の星座や天の川が東の空に姿を現します。
富士見台展望台は三方が大きく開けているため、一晩のうちに四季すべての星座の移ろいを感じることができます。車山山頂はさらに視界が広がりますが、真冬の夜間登山は一般的ではありません。その点、富士見台展望台は、冬でも現実的にアクセスできる、霧ヶ峰屈指の星空観察スポットと言えるでしょう。

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『月明かりに照らされる冬の星空』冬の大三角と、その中を流れる冬の天の川。すばる、アルデバラン、オリオンの三ツ星、シリウスが美しく並ぶ。月明かりで輝く雪原に動物の足跡が。どんな光景を見ているのだろうか。撮影地:霧ヶ峰展望場(2月上旬)(©大西浩次)
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『冬の大三角とカノープス』霧ヶ峰の草原に広がる冬の星空。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンの3つの1等星で作る冬の大三角。その延長線上の南低空に、カノープスも輝いている。撮影地:霧ヶ峰撮影場所(1月下旬)(©大西浩次)
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星空観察スポット(その2)霧ヶ峰展望場

諏訪方面から霧ヶ峰へ登っていくと、まず目に入るのがファミリーゲレンデ霧ヶ峰スキー場です。道なりに進むと、雪に覆われたなだらかな草原が広がり、開放感のある星空を楽しむことができます。この付近が霧ヶ峰展望場(霧ヶ峰インターチェンジ周辺の草原・展望スペース)で、駐車場も整備されています。
駐車場から忘れ路の丘の方向を見ると、西から南にかけて大きく開けたパノラマが広がります。
・スノーシューなどの冬用装備があれば、雪道を歩いて忘れ路の丘(霧ヶ峰グライダー滑走路〜霧鐘塔付近)まで足を延ばすことも可能です。
・もし足跡があれば、スノーシューなしでも歩ける場合もあります。
このエリアは、北アルプス、南アルプス、八ヶ岳、そして霧ヶ峰の山々を一望できる絶好の展望ポイントです。広大な草原の上に星空が広がり、時間帯によっては真南の空に浮かぶカノープスを見ることもできます。
※夜間や積雪期の散策は、天候や視界、積雪状況に十分注意し、無理のない範囲で行いましょう。防寒対策や照明の準備も忘れずに行ってください。

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『草原の上の冬の天の川』明るい冬の星たちとその間を流れる冬の天の川
撮影地:撮影地:霧ヶ峰展望場(1月下旬)(©大西浩次)
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『八ヶ岳の上のからす座』霧ヶ峰展望台付近から南東を見ると、八ヶ岳と富士山が広がる。その上に台形の星の並びでからす座が輝き、左の明るい星はおとめ座の1等星スピカ。東の空には春の星座も昇り始めている。撮影地:霧ヶ峰撮影場所(1月下旬)(©大西浩次)
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星空観察スポット(その3)車山肩

霧ヶ峰ビーナスラインの最高地点にある車山肩には、駐車場が整備されています。
標高は約1,820mで、車山登山や霧ヶ峰ハイキングの拠点としても利用される場所です。
駐車場から見上げると、東から南にかけて車山のなだらかな稜線が広がります。
さらに、ほぼ360度を見渡せる開けた視界が特徴で、遮るもののない空に星々が広がります。

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『車山肩から見上げる冬の星たち』車山肩駐車場から望む星空。北東にはレストラン「チャプリン」と「ころぼっくるひゅって」、東から南には車山のなだらかな稜線が広がる。東側の明かりは、スキー場の人工降雪機によるもの。撮影地:車山肩(1月中旬)(©大西浩次)
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『車山肩から見上げる冬の星たち』車山肩駐車場から望む冬の星空。おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲルの6つの一等星で作る六角形は「冬のダイヤモンド」と呼ばれる。また、ベテルギウス、プロキオン、シリウスの三角形は「冬の大三角」。広い空の下、これらの星々と、天を横断する冬の淡い天の川を一度に楽しめる。撮影地:車山肩(1月中旬)(©大西浩次)
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『車山肩付近から見上げる夜明けの星たち』車山肩から登山道を少し登ると、車山の斜面は広い雪原として眼前に広がる。2月から3月の夜明け前、東の空には夏の天の川が昇りはじめる。夜明け前に現地へ到着すれば、薄明の空に浮かぶ夏の天の川を眺めながらスノーシューで車山山頂を目指し、山頂でご来光を迎える——そんな冬ならではの体験も可能だ。 撮影地:車山肩(3月中旬)(©大西浩次)
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『車山肩付近から見上げる夜明けの星たち』夜明け前、車山の稜線に夏の天の川が昇ってくる。初夏を代表する「さそり座」が立ち上がり、天の川が最も濃く見える「いて座」も姿を現す。冬の夜明けの薄明の中に浮かぶ夏の天の川は、夏の夜に見るそれとは違い、凛とした美しさを感じさせる。撮影地:車山肩(3月中旬)(©大西浩次)
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『冬の大三角と南アルプスの稜線のカノープス』富士見台駐車場から南アルプス方面を望む。おおいぬ座のシリウスの前脚と後脚を結び、その延長線上にカノープスが見える(仙丈岳の左、山頂を通過中は隠れる)。南アルプスの山並みは、鳳凰三山(地蔵岳 2764m、観音岳 2840m、薬師岳 2780m)、甲斐駒ヶ岳 2967m、北岳 3193m、間ノ岳 3189m、仙丈岳 3033mと続き、冬の星空とともに壮大な景観が楽しめる。撮影地:富士見台駐車場(2月上旬)(©大西浩次)
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冬の星空案内(霧ヶ峰・車山高原編)

冬の夜空は、明るい星々でいっぱいです。冬の星座には7つの一等星があり、今年はさらに木星も加わります。澄み切った高原の夜空は、まるで宝石箱を開いたかのような輝きを見せてくれます。そして、冬の南の空に8個目の一等星「カノープス」を探す楽しみもあります。
りゅうこつ座α星のカノープスは、青白く輝く質量の大きな恒星です。その明るさはマイナス0.7等で、シリウスに次いで全天で二番目に明るい恒星として知られています。
もっとも、カノープスは南天の星であるため、日本では福島県南部より南の地域でしか見ることができません。南中しても高度は低く、東京ではわずか2度弱、京都でも3度ほどしかありません。そのため大気の影響を強く受け、実際には赤みを帯びた星として見えることが多いのです。
古代中国では、この星を「南極老人星」と呼び、見ることができれば寿命が延びると信じられてきました。
りゅうこつ座の「竜骨(りゅうこつ)」とは、船の船首から船尾へと通る骨組みを意味する言葉です。かつてこの一帯には、ギリシア神話に登場する巨大な帆船を表した星座「アルゴ座」が描かれていました。しかし、そのあまりの大きさから、後に船体は「帆(ほ)」「艫(とも)」「竜骨(りゅうこつ)」に分けられ、それぞれが独立した星座となりました。
カノープスの名は、トロイア戦争においてスパルタ王の船を導いた水先案内人の名に由来しています。つまり、カノープスはアルゴ船の船首に輝く星なのです。この星は、現代においても「水先案内人」としての役割を果たしています。惑星探査機は、宇宙空間で太陽や恒星の位置を基準に姿勢を制御しますが、その基準星の一つとしてカノープスが使われています。南天に位置し、太陽から十分に離れ、しかも非常に明るいためです。
日本の小惑星探査機「はやぶさ」もまた、カノープスを道標として、長い旅路の果てに地球へと帰還しました。カノープスは、今もなお宇宙への大航海時代を支える指標の星なのです。

〈カノープスの探し方〉
・冬の大三角が南中する頃、真南の低い空に現れます。
・見つけ方の目安は次の通りです。
1.おおいぬ座の前脚と後脚を結んだ線を、さらに南へ延ばします。
2.冬の大三角の上辺中央からシリウスに引いた線を、そのまま地平線まで延ばします。

〈カノープスの南中時刻〉
・2月10日 20時50分
・2月20日 20時10分
・3月 1日 19時35分
・3月10日 19時00分
・3月20日 18時20分(夕暮れの残照の中)


スノーシュー星空ハイキング 八島湿原で楽しむ冬の星空

霧ヶ峰高原のほぼ中央に広がる八島湿原(やしましつげん)は、ゆるやかな盆地状の地形をもつ国指定の天然記念物です。高層湿原(泥炭湿原)として知られ、周囲をなだらかな山々に囲まれた、霧ヶ峰を代表する自然景観のひとつです。

アクセスは、駐車場からビーナスラインの下を通るトンネルを抜け、稜線に出た後、木の階段を下ると湿原に到着します。整備された木道が湿原を一周するように続き、雪のない季節にはハイキング客で賑わいます。
冬の八島湿原も比較的安全に散策できますが、積雪期の木道は滑りやすくなるため、十分な注意が必要です。散策の際には、次の点を心がけましょう。

・スノーシューや滑り止めのある靴を用意する
・足元の状況を確認しながら、無理のないペースで歩く
・防寒対策と照明(ヘッドライトなど)を忘れずに準備する

雪に覆われた湿原の上に広がる星空は、霧ヶ峰ならではの静けさと開放感に満ちています。白い雪原と澄んだ冬の星々が織りなす幻想的な風景を、ゆっくりと味わうことができる場所です。

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『八島湿原の木道の向こうに架かる「冬のダイヤモンド」』ゆるやかな盆地を巡る木道の向こうに、冬のダイヤモンドが輝いている。冬の八島湿原らしい静かな星空の風景。撮影地:八島湿原(2月上旬)(©大西浩次)
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『八島湿原の木道の向こうに架かる「冬のダイヤモンド」』ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、おうし座のアルデバランが並びます。これらを曲線で結ぶと、輪のような星の並びとなります。西欧では「冬の六角形」と呼ばれますが、日本では「冬のダイヤモンド」と呼ばれています。澄んだ冬の夜空では、星々が宝石のように輝き、「ダイヤモンド」の名がふさわしい光景です。撮影地:八島湿原(2月上旬)(©大西浩次)
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オプション1 雪の車山への星空ハイキング

霧ヶ峰・車山高原の冬の星空を満喫する方法の一つが、車山への星空ハイキング(登山)です。山頂に立てば、遮るもののない大パノラマが広がり、星空と大地が直接つながるような特別な感覚を味わえます。昼間の雪景色から夜の星空まで、季節と時間によって変わる景色も魅力のひとつです。ただし、冬季の登山は誰にでもおすすめできるものではありません。霧ヶ峰の冬は、気温が急激に下がったり、湿った風が入ったりすると濃い霧が発生することがあります。短時間で視界が変わることも珍しくなく、油断は禁物です。
安全に楽しむためには、次の準備が必要です。

・雪山での行動経験があること
・GPSや地図・コンパスなど現在地を把握できる手段の携行
・天候の変化を意識した無理のない計画
・夜間行動に備えた防寒・照明の準備

十分な準備があれば、冬の車山への星空ハイキング(登山)は、広大な雪原と満天の星空を同時に楽しめる、格別の体験となります。

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『車山の登山道から見上げた冬の大三角と冬の天の川』車山登山道から見上げる冬の夜空。オリオン座やおおいぬ座の一等星で作る冬の大三角を背景に、淡い冬の天の川が流れるように広がっている。雪が積もった季節も、歩きやすい道からこの光景を楽しめる。撮影地:車山登山道(1月中旬)(©大西浩次)
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『北斗七星と北極星』冬の宵、北の空に北斗七星が柄杓を立てて昇る。その柄杓の先端2つの星を5倍延長すると、北極星(2等星)が見つかる。撮影地:車山登山道(1月中旬)(©大西浩次)
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『北斗七星と北極星』冬の宵、北の空に北斗七星が輝き、北極星の位置を示している。北斗七星はおおぐま座の尾にあたり、北極星はこぐま座の尾の部分にある。また、この間の細い星の列はりゅう座の尾にあたる。地球の歳差運動により、北極星の位置は時代とともに変化してきた。現在の北極星ポラリスのほか、古代にはこぐま座β星コカブや紀元前2700年頃のトゥバン(りゅう座α星)が北の指標として使われていた。撮影地:車山登山道(1月中旬)(©大西浩次)
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『北斗七星と車山気象レーダー観測所』見通しの良い車山山頂には、気象庁の車山気象レーダー観測所がある。富士山レーダーに代わり、日本の気象観測の要となる施設だ。その横には、夜空に大きく広がる北斗七星が輝いていた。撮影地:車山(1月中旬)(©大西浩次)
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『霧の上の冬の星空』霧ヶ峰は霧が出やすい地形だ。快晴の空も、あっという間に霧で覆われることがある。下山中、わずかに薄くなった霧の向こうに、一瞬だけ冬の星空が顔をのぞかせた。撮影地:車山(1月中旬)(©大西浩次)
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オプション2 雪の蝶々深山への星空ハイキング

霧ヶ峰高原の中央部に位置する蝶々深山(標高1,836m)は、霧ヶ峰火山群の溶岩台地の一部が侵食されてできた、穏やかで霧ヶ峰らしい山です。夏はハイキングの人気スポットですが、冬はスノーシューハイクを楽しめる場所になります。
雪に覆われた広々とした台地からは、霧ヶ峰の周囲360度を見渡す大パノラマが広がり、雪景色と星空を同時に楽しむこともできます。ただし、冬季は車山と同様、濃い霧が発生することがあります。天候の変化を常に意識し、無理のない行動を心がけましょう。

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『八ヶ岳~車山の上に広がる春の星座』蝶々深山に向かい、車山湿原付近を歩くと、八ヶ岳連峰の険しい稜線と、手前のなだらかな車山の稜線が同時に見える。車山山頂の気象レーダーも視界に入る。その上空には、からす座とおとめ座、そしておとめ座の1等星スピカが輝いている。撮影地:車山湿原付近(3月中旬)(©大西浩次)
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『蝶々深山の雪原に沈むオリオン座』蝶々深山の山頂付近の雪原に、オリオン座(中央)が沈みかけ、右にはアルデバラン、左にはシリウスが輝く。雪原に残る足跡は、きつねのものだろうか。撮影地:蝶々深山山頂付近(3月中旬)(©大西浩次)
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補足:日本の高山を望む展望台

霧ヶ峰高原は、山の展望台としても知られています。
特に、標高ランキング上位の山々が見られるのが魅力です。

・富士山(3,776 m)…日本一
・北岳(3,193 m)…日本二位
・間ノ岳(3,190 m)…日本三位
・奥穂高岳(3,190m)…日本三位(間ノ岳と同率)
・槍ヶ岳(3,180m)…日本五位
・悪沢岳(東岳)(3,141m/南アルプス)…日本六位(車山山頂付近にて)
・赤石岳(3,120m/南アルプス)…日本七位(車山山頂付近にて稜線が見える)
・涸沢岳(3,110 m/北アルプス)…日本八位
・北穂高岳(3,106 m/北アルプス)…日本九位
・大喰岳(3,101 m/北アルプス)…槍・穂高連峰の一峰
・前穂高岳(3,090 m/北アルプス)…日本十位

夜の星空観察が終わり、夜明けが始まると、霧ヶ峰からはこれらの山々の姿が美しく浮かび上がります。
例えば、富士見台駐車場から望遠鏡(焦点距離500mm)で撮影すると、夜明けに輝く富士山と北岳の姿を収めることができます。星空だけでなく、夜明けの高山風景も霧ヶ峰高原の大きな魅力です。

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『日の出直後の富士山(3,776 m)』撮影地:富士見台駐車場(©大西浩次)
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『日の出直後の左の甲斐駒ヶ岳(2967m)と、右の北岳(3193m) 』撮影地:富士見台駐車場(©大西浩次)
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『月明かりの中の北アルプス、奥穂高岳(3190m)、涸沢岳(3,110 m)、北穂高岳(3,106 m)、前穂高岳(3,090 m)、槍ヶ岳(3180m)の山並み 』撮影地:富士見台駐車場©大西浩次
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トイレと防寒のチェック

冬の星空観察では、寒さへの備えが欠かせません。
なかでも事前に確認しておきたいのが、夜間に利用できるトイレの有無です。
冬季は凍結防止のため、多くの公衆トイレが閉鎖されます。霧ヶ峰・車山高原周辺では、諏訪側入口にある「ファミリーゲレンデ霧ヶ峰スキー場」駐車場の公衆トイレが、夜間も利用できる数少ない場所となっています。
星見に出かける際は、現地に着く前にスキー場のトイレや宿泊施設などで、あらかじめ済ませてから出発することをおすすめします。

〈トイレ位置〉
ファミリーゲレンデ霧ヶ峰スキー場 駐車場
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終わりに:アストロツーリズムの視点で見る「星空を見ること」の意味

霧ヶ峰・車山高原の星空は、展望台やテーマパークのような人工の施設ではなく、もともとこの土地に備わった“みんなの財産”です。高原の澄んだ空気、街灯の少ない山あい、雪原や湿原に開けた地形など、地域特有の条件がその場所ならではの星空をつくり出しています。星空観光は、こうした自然環境そのものの価値を体験として可視化し、大規模開発に頼らず、環境を守りながら楽しめる観光のかたちです。
アストロツーリズムの魅力は、「見る場所」と「見る時間」が明確に限られている点にあります。例えば、富士見台や車山肩、蝶々深山、八島湿原の展望地では、夜、季節、天候、星の方角が重なったときにだけ成立する特別な体験があります。「今、この場所でしか得られない時間」を感じることで、旅の記憶に深く刻まれ、再訪や滞在時間の延長にもつながります。
また、星空は年齢や言語、文化を問わず誰もが楽しめる普遍性の高いコンテンツです。専門知識がなくても美しさを感じることができ、星座神話や天文学、写真、音楽、温泉、食などと組み合わせることで、多様な物語や体験を生み出すことができます。冬の長い夜や澄んだ空気は、昼間中心の観光に夜の魅力を加え、閑散期の観光にも新たな価値をもたらします。
一方で、冬の星空体験には安全管理や光害対策、観測環境の保全、解説人材の育成が欠かせません。雪道や霧の発生、冷え込みなどの自然条件を理解し、装備と計画を整えることも重要です。こうした取り組みは、観光地全体の質を高め、地域の景観や環境意識を育むことにもつながります。
霧ヶ峰・車山高原での星空観察は、訪れる人にとっては特別な体験であり、地域に暮らす人にとっては自らの土地の価値を再確認する機会でもあります。アストロツーリズムの意義は、地域固有の自然環境を価値として伝え、持続可能な観光と環境保全を両立させながら、人と場所との関係を深める体験を生み出すことにあります。


構成・取材・撮影・文:大西浩次

<著者プロフィール>
大西 浩次(Kouji Ohnishi)
星空と風景を一緒に写す星景写真の第一人者。国立長野高専教授。長野市在住で、「長野県は宇宙県」連絡協議会会長として、多くの仲間と一緒に長野県の天文文化を創る活動を行っている。研究分野は、天文学と市民科学(シチズンサイエンス)である。

 

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