
TOP PHOTO:乗鞍岳の麓、森に囲まれ小さな池が点在する乗鞍高原「一の瀬草原」 ©Takuro Yamamoto / @mt.takuro
記載の情報は記事構成時点(2025年7月)のものとなります。最新の情報は現地観光協会等にご確認ください。
乗鞍高原とは

北アルプス「乗鞍岳」の東山麓に広がる『乗鞍高原(のりくらこうげん)』は、「中部山岳国立公園」内に位置する標高1200〜1800mの山岳リゾートです。高山植物が咲き誇る春から夏、色鮮やかな紅葉に染まる秋、パウダースノーに包まれる冬。四季折々の美しい自然のもと、多彩なアウトドア体験を満喫できます。
エリア内には白樺林や湿原、滝や池などの景勝地が点在し、3種類の源泉を引く温泉郷も魅力の一つ。おしゃれなカフェや地元食材を使ったレストラン、旅館・ペンション・ホテルなどの宿泊施設も充実しています。
観光の拠点となるのは、観光案内所や食事処が併設する「松本市乗鞍観光センター」。“日本一高所のバス停”「畳平(たたみだいら)」へ向かうシャトルバスの発着所でもあり、周辺には無料駐車場が整備されています。
本記事では、乗鞍岳の登山情報をはじめ、初心者や中級者も楽しめる高原内のトレッキングコースを紹介。乗鞍高原を歩いて巡る、その魅力をご案内します。
乗鞍岳

北アルプスの南端、長野県と岐阜県の県境にそびえる『乗鞍岳』。標高3026mの主峰「剣ヶ峰」をはじめ、23の峰・7つの湖・8つの平原からなり、「日本百名山」の一つに数えられています。山容が馬の鞍(くら)に似ていることから、「乗鞍」の名が付いたといわれています。
3000m級の山でありながら、標高2702m地点の「畳平」までバスでアクセス可能なため、登山初心者でも挑戦しやすいのが大きな魅力。コースバリエーションが豊富で、体力や技量に合わせて山歩きを満喫できます。
乗鞍岳登山のベストシーズンは高山植物が花開く7月中旬〜8月中旬と、紅葉が見頃を迎える9月下旬〜10月上旬。10月中旬には初冠雪が観測されることもあるため、お出かけ前に天候をチェックし、服装や装備を整えましょう。
アクセス(畳平まで)
乗鞍高原と乗鞍岳を結ぶ山岳道路「乗鞍エコーライン」は通年でマイカー規制が実施されています。そのため、長野県側から「畳平」へは、「松本市乗鞍観光センター」周辺の駐車場を利用し、シャトルバスに乗り換えてアクセスを(所要時間は約1時間)。終点の「畳平バスターミナル」には、展望レストランや売店、トイレがそろい、登山前後の休憩や準備を整えるのに便利です。
シャトルバスの運行期間は例年7月1日〜10月31日。乗車にはバス会社の公式サイトなどから事前予約が必要です。連休などの繁忙期は特に混雑が予想されるため、早めの予約を。また、乗鞍岳方面の駐車場の様子はライブカメラで確認できます。
→シャトルバスの詳細や予約はこちら
→乗鞍岳方面への駐車場ライブカメラはこちら
乗鞍岳のスポット
畳平周辺(お花畑・鶴ヶ池)

乗鞍岳の玄関口である『畳平』周辺は、雄大な自然を気軽に体感できるエリア。バスターミナルの南側には、1周約30〜40分の木道が設けられた「お花畑」が広がり、例年7月中旬から8月中旬にかけて、高山植物が最盛期を迎えます。
さらに、バスターミナルの目の前に佇む火山湖「鶴ヶ池」も見どころの一つ。青く澄んだ湖面と周囲を彩る高山植物とのコントラストが見られ、フォトスポットとしても人気です。池のほとりへは立ち入りできませんが、周辺の道路を歩きながら景色を堪能できます(1周約30分)。

【INFORMATION】
【スポット名】畳平周辺(お花畑・鶴ヶ池)
【畳平からの総歩行時間目安】お花畑まで徒歩約5分(1周約40分)、鶴ヶ池まで徒歩約5分(1周約30分)
【詳細・問い合わせ】https://norikura.gr.jp/2021/07/18-kouzanshokubutsu/
富士見岳

乗鞍岳を構成する23峰の一つ『富士見岳』(標高2817m)は、その名の通り、晴れた日には富士山まで望める絶景スポット。登山初心者でも挑戦しやすい人気の山です。
畳平から続く登山道は2通りあります。一つは鶴ヶ池を半周し、長野・岐阜県境の標識付近から登るルート。もう一つは、お花畑を経て剣ヶ峰方面へ向かう登山道の途中にある分岐から登頂するコースで、いずれも25分ほどで登頂できます。
山頂からは、南に剣ヶ峰、北に穂高連峰や槍ヶ岳を一望する大パノラマが広がり、西側には夏でも雪が残る「不消ヶ池(きえずがいけ)」の姿も見えます。道中は砂利や小石が多く滑りやすいため、トレッキングシューズや登山靴を着用しましょう。

【INFORMATION】
【スポット名】富士見岳
【畳平からの総歩行時間目安】山頂まで約25分
【詳細・問い合わせ】https://norikura.gr.jp/2021/11/tozanguide/#anchor-fujimidake
剣ヶ峰

標高3026mを誇る乗鞍岳の最高峰『剣ヶ峰』。3000m級の高山ながら畳平バスターミナルから約1時間30分で登頂できるアクセスの良さが魅力です。例年7月末ごろまでは登山道に残雪があるため、登山初心者は雪解け後の夏山シーズンに訪れるのがベター。
畳平からは鶴ヶ池のほとりを歩き、草原を抜けて「肩ノ小屋」に向かいます。小屋の裏手の庭は、休憩ポイントとして最適。そこから先はハイマツ帯を進み、岩場の登山道へ。途中の「蚕玉岳(こだまだけ)」からは、コバルトブルーに輝く火山湖の「権現池」を一望できます。
山頂から望む360度の大パノラマは一見の価値あり。晴れた日には、槍ヶ岳や穂高連峰、南アルプス・中央アルプス、そして富士山までを見渡す絶景が広がります。

【INFORMATION】
【スポット名】剣ヶ峰
【畳平からの総歩行時間目安】山頂まで約1時間30分
【詳細・問い合わせ】https://norikura.gr.jp/2021/11/tozanguide/#anchor-kengamine
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トレッキングコース
のりくらトレイル

乗鞍高原の人気スポットを巡る『のりくらトレイル』。木々のトンネルをくぐる心地よい小径が続くルート。清流が流れ落ちる「善五郎の滝」、静寂に包まれた「牛留池」や「あざみ池」、滝見橋として知られる「オルガン橋」を経由し、水辺の風景や森林浴を満喫します。
「松本市乗鞍観光センター」前を起点としたコースは全長約6.5km。春から秋にかけては野鳥や高原植物の観察にも最適です。冬にはスノーシューを履いて雪上散策を楽しむことができます。

【INFORMATION】
【スポット名】のりくらトレイル
【スタート地点】松本市乗鞍観光センター前(GoogleMaps)
【総歩行時間目安】約3時間
【詳細・問い合わせ】https://trail.norikura.gr.jp/jwn/course/norikura-trail/
一の瀬草原トレイル

『一の瀬草原トレイル』は、湿地や池が点在する「一の瀬園地」を周回する約8kmのコース。高低差が少なく道も整備されているため、体力に自信のない方やファミリーにもおすすめです。
スタートは「松本市乗鞍観光センター前」または「一の瀬草原駐車場」から。春に水芭蕉が咲き誇る「女小屋の森(わらび平)」や、水芭蕉と乗鞍岳の競演が撮影スポットとしても人気の「どじょう池」、乗鞍岳の姿が静かな水面に映る「まいめの池」など、見どころ豊かな水辺を巡ります。

【INFORMATION】
【スポット名】一の瀬草原トレイル
【スタート地点】松本市乗鞍観光センター前(GoogleMaps)もしくは一の瀬草原駐車場(GoogleMaps)
【総歩行時間目安】松本市乗鞍観光センター前起点:約3時間/一の瀬草原駐車場起点:約2時間
【詳細・問い合わせ】https://trail.norikura.gr.jp/jwn/course/ichinose-meadow-trail/
三本滝コース

『三本滝コース』は「三本滝駐車場」から針葉樹に囲まれた涼やかな「かもしかの径(みち)」をたどる全長約1.7kmの往復ルート。木漏れ日が差し込む森の中、小鳥のさえずりを聴きながら歩く、癒やしのひとときが過ごせます。
目的地の「三本滝」は「日本の滝百選」にも選ばれている名瀑。水源の異なる3本の滝が一カ所に集まり、それぞれ趣の異なる水流の美しさを堪能できます。かつて修験者が修行していたと伝わる神聖な場所でもあります。

【INFORMATION】
【スポット名】三本滝コース
【スタート地点】三本滝駐車場(GoogleMaps)
【総歩行時間目安】約1時間15分
【詳細・問い合わせ】https://norikura.gr.jp/2023/11/35-okami-sansakuguide/#sanbondaki
番所大滝千間淵周遊コース

落差約40mの「番所大滝」と穏やかな流れが広がる「千間淵(せんげんぶち)」を巡る全長約1.2kmの『番所大滝千間淵周遊コース』。「番所大滝駐車場」から石段を10分ほど下ると展望台に着き、眼下に番所大滝を見ることができます。
豪快な滝を堪能した後は、小大野川沿いの遊歩道へ。せせらぎに耳を傾けながら歩みを進めると、小さな滝や静かな淵が次々と姿を見せます。終盤に立ち寄る「千間淵」は、ドーム状の淵と滝が織りなす神秘的な景観が魅力。所要時間は約1時間、ダイナミックと静寂、対照的な“水の表情”が楽しめるコースです。

【INFORMATION】
【スポット名】番所大滝千間淵周遊コース
【スタート地点】番所大滝駐車場(GoogleMaps)
【総歩行時間目安】約1時間
【詳細・問い合わせ】https://norikura.gr.jp/2023/11/35-okami-sansakuguide/#ootaki
登山・トレッキングの注意点
※自分の技術や体力にあったルート選びをし、登山・トレッキングに適した服装と装備で余裕を持った行動をお願いします。
※持ち物に不備がないか、スマホの充電は十分か、現地の天候や予想温度はどれくらいか。しっかりと確認してください。
※登山・トレッキング中は汗をかくため、こまめに休憩と水分補給を心掛けてください。短い距離を歩くだけでも飲み物と行動食は必要です。塩分も一緒に摂れるスポーツドリンクもおすすめです。
※記載した歩行時間目安は無積雪・天気良好時の場合です。
文:松尾 奈々子
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