湯田中渋温泉郷は、レトロな温泉宿や石畳、路地に張り巡らされた温水の管など情緒ある風景が観光客によって撮影され、Instagramなどのソーシャルメディアで多くの投稿がシェアされています。今回、この場所を題材に「街並み」のフォトグラファー清水隆史さんに湯田中渋温泉郷を巡りながら撮影スポットを紹介してもらいます。
終点の湯田中駅で降りたら、そこは湯田中渋温泉郷
新幹線長野駅でローカル線長野電鉄長野線に乗りかえ、北信濃と呼びならわされる田園風景を堪能しながら約50分で終点湯田中駅に到着。湯田中渋温泉郷は電車で訪れるとやっぱりひと味違います。古く情緒あふれる駅舎を出たらそこはすでに温泉街。
昼の温泉街で、外湯や旅館の外観、横道でレトロな風景を楽しむ
ひっそりと静かな昼の温泉街。コンクリートの大きなホテルは見当たらず、目の前に続くのは細く曲がりくねった街並みです。足下に感じる石畳の感触は心地よく、両側の旅館・お土産屋さんなどの佇まいもどことなくレトロな味わいでついレンズを向けたくなります。
ここに来たら必ず行ってみたいのは外湯(共同浴場)です。湯田中に9つ、渋に9つの外湯があり、小さいながらもそれぞれ個性的でカメラを向ける十分な価値があります。
情緒あふれる夜の温泉街を歩く
温泉街の曲がりくねった細い石畳は、渋峠を経て上州草津へ続く旧街道の一部です。夜ここを歩くならできれば下駄を買い求め、カランコロンと音を立てながら散策したいもの。
街道から脇に入る道はさらに狭く、人と人がすれ違うのがやっとという小路がめぐっています。そこで思いがけなく昭和を感じさせる喫茶店やラーメン屋さんを見つけたりするのも楽しさの一つです。
日常とも非日常ともつかない夜の街並みを撮る
温泉街といったら温泉まんじゅう。そこかしこで売っているおまんじゅうをほお張り、左右のお店を覗きながらゆったりと散策しましょう。お土産屋さん、蕎麦屋さん、射的屋さん、雑貨屋さんと、次々現れる日常とも非日常ともつかない被写体にことかきません。
国の登録有形文化財を撮る
木造で、しかもなんと四階建てで、歴史があって、贅をつくした温泉宿にめぐり合うことなどめったにあることではありません。渋温泉のほぼ真ん中、大湯のすぐ近くに建つ金具屋はそんな温泉宿です。 昭和初期にまでさかのぼるこの建物は、スタジオジブリ映画「千と千尋の神隠し」に登場する湯屋のモデルになったともいわれています。できることなら1泊してみたいところですが、温泉街散策のおりにはちょっと立ち止まり見上げてみましょう。だれしもが自然とカメラを向けたくなる素晴らしいスポットです。
歴史に彩られた格式高い佇まいを撮る
この大浴場は、浴場そのものが登録有形文化財という。真田氏が治めた松代藩の湯治場として知られる湯田中を代表する純木造伽藍建築の名浴場です。木造とは思えない大きな空間にたっぷりと湯をたたえた湯船がひろがっていて、できるだけ贅沢に時間を使って至福の長湯を堪能したいものです。
ファインダー越しに見えるのは単なる豪華な浴室ではなく、今となっては造ろうと思ってもつくれない、長い時の流れに裏打ちされた名湯の姿でした。
※一般の方のお風呂の撮影はできません
清水隆史さんの紹介
清水隆史(しみずたかし):フォトグラファー、1969年奈良県生まれ、長野市在住。信州大学教育学部進学を機に奈良から移住。1992年に〈ネオンホール〉、2003年に〈ナノグラフィカ〉をスタートさせ、約30年間にわたり長野のユースカルチャーや地域文化に係わってきた。自ら撮り下ろしている写真集「街並み」(2005年創刊)は、現在45号目を準備中。
<旅のご相談は>
山ノ内まちづくり観光局 TEL:0269-33-2138
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