『街並み』のフォトグラファーと廻るフォトジェニックな湯田中渋温泉郷

レトロな温泉宿や石畳、路地に張り巡らされた温水の管などの情緒ある風景を撮影しよう。

17836_ext_01_0_L

湯田中渋温泉郷は、レトロな温泉宿や石畳、路地に張り巡らされた温水の管など情緒ある風景が観光客によって撮影され、Instagramなどのソーシャルメディアで多くの投稿がシェアされています。今回、この場所を題材に「街並み」のフォトグラファー清水隆史さんに湯田中渋温泉郷を巡りながら撮影スポットを紹介してもらいます。

終点の湯田中駅で降りたら、そこは湯田中渋温泉郷

新幹線長野駅でローカル線長野電鉄長野線に乗りかえ、北信濃と呼びならわされる田園風景を堪能しながら約50分で終点湯田中駅に到着。湯田中渋温泉郷は電車で訪れるとやっぱりひと味違います。古く情緒あふれる駅舎を出たらそこはすでに温泉街。

1955年竣工の、レトロな外観がフォトジェニックな長野電鉄・湯田中駅舎。プラットホームも味わい深い雰囲気で、ここから始まる街並みを期待させてくれる。

九番湯・大湯の足湯「のふとまる」で語らう高校生。外国人にも人気の観光地だが、地元に暮らす人々の息づかいがそこかしこに感じられるのも良い。

浴衣で闊歩するカップルを横目にカメラを構える。温泉街を楽しむ人々の邪魔にならないよう、気遣いを忘れずに。

昼の温泉街で、外湯や旅館の外観、横道でレトロな風景を楽しむ

ひっそりと静かな昼の温泉街。コンクリートの大きなホテルは見当たらず、目の前に続くのは細く曲がりくねった街並みです。足下に感じる石畳の感触は心地よく、両側の旅館・お土産屋さんなどの佇まいもどことなくレトロな味わいでついレンズを向けたくなります。
ここに来たら必ず行ってみたいのは外湯(共同浴場)です。湯田中に9つ、渋に9つの外湯があり、小さいながらもそれぞれ個性的でカメラを向ける十分な価値があります。

四番湯「竹の湯」。渋温泉の魅力の1つとして知られる、源泉が異なる9つの外湯(共同浴場)は、外観もそれぞれ個性的だ。

六番湯「目洗の湯」。散歩しながら、1つ1つをコレクションするように撮影して回るのも楽しい。。

それぞれの温泉に違った効能があるとされている。二番湯「笹の湯」は湿疹に良いとのこと。

情緒あふれる夜の温泉街を歩く

温泉街の曲がりくねった細い石畳は、渋峠を経て上州草津へ続く旧街道の一部です。夜ここを歩くならできれば下駄を買い求め、カランコロンと音を立てながら散策したいもの。
街道から脇に入る道はさらに狭く、人と人がすれ違うのがやっとという小路がめぐっています。そこで思いがけなく昭和を感じさせる喫茶店やラーメン屋さんを見つけたりするのも楽しさの一つです。

浴衣姿で外湯巡りをする人々。いかにも温泉街といった風情が感じられる。

夜の三番湯「錦の湯」。効能は「切り傷、おでき、子宝」。

旅館の通路や温泉水の配管が迷路のように入り組んだ細路地。表通りとは違った面白さがある。

日常とも非日常ともつかない夜の街並みを撮る

温泉街といったら温泉まんじゅう。そこかしこで売っているおまんじゅうをほお張り、左右のお店を覗きながらゆったりと散策しましょう。お土産屋さん、蕎麦屋さん、射的屋さん、雑貨屋さんと、次々現れる日常とも非日常ともつかない被写体にことかきません。

渋温泉で最も人気の撮影ポイント、ライトアップされた木造四階建の「金具屋斉月楼」。幻想的とも言える美しさに息を呑む。

土産物屋や飲食店の中に射的屋を発見、嬉しくなって一枚撮影。

温泉街の舞台裏、細路地の奥に張り巡らされた多数の配管。耳を寄せると温泉水が流れる音がした。

国の登録有形文化財を撮る

木造で、しかもなんと四階建てで、歴史があって、贅をつくした温泉宿にめぐり合うことなどめったにあることではありません。渋温泉のほぼ真ん中、大湯のすぐ近くに建つ金具屋はそんな温泉宿です。 昭和初期にまでさかのぼるこの建物は、スタジオジブリ映画「千と千尋の神隠し」に登場する湯屋のモデルになったともいわれています。できることなら1泊してみたいところですが、温泉街散策のおりにはちょっと立ち止まり見上げてみましょう。だれしもが自然とカメラを向けたくなる素晴らしいスポットです。

昭和25年に作られた「浪漫風呂」。ステンドグラスが美しい。かつては「ローマ風呂」と呼ばれていた。

座敷130畳、舞台30畳の広大な「金具屋大広間」。戦時中は疎開してきた学童の教室にも使われたという。

遊び心が感じられる、水車の部品が埋め込まれた飾り窓。

歴史に彩られた格式高い佇まいを撮る

この大浴場は、浴場そのものが登録有形文化財という。真田氏が治めた松代藩の湯治場として知られる湯田中を代表する純木造伽藍建築の名浴場です。木造とは思えない大きな空間にたっぷりと湯をたたえた湯船がひろがっていて、できるだけ贅沢に時間を使って至福の長湯を堪能したいものです。
ファインダー越しに見えるのは単なる豪華な浴室ではなく、今となっては造ろうと思ってもつくれない、長い時の流れに裏打ちされた名湯の姿でした。

午后の光に満ちあふれる「桃山風呂」。時刻によって表情が大きく変化するので、何度も訪れたくなる。

ロビーラウンジにある、りんごの木を使ったインスタレーション作品。

古民家を模したスペース。随所にフォトジェニックな見所がある。

※一般の方のお風呂の撮影はできません

清水隆史さんの紹介

清水隆史(しみずたかし):フォトグラファー、1969年奈良県生まれ、長野市在住。信州大学教育学部進学を機に奈良から移住。1992年に〈ネオンホール〉、2003年に〈ナノグラフィカ〉をスタートさせ、約30年間にわたり長野のユースカルチャーや地域文化に係わってきた。自ら撮り下ろしている写真集「街並み」(2005年創刊)は、現在45号目を準備中。

「街並み」のフォトグラファー清水隆史さん

2005年に創刊した「街並み」現在45号目を準備中

<旅のご相談は>
山ノ内まちづくり観光局 TEL:0269-33-2138

閲覧に基づくおすすめ記事

MENU