素朴な「戸隠らしさ」が凝縮されたホテル&レストランで、ひとと自然の「間(あわい)」を体感しよう。
山﨑:築約70年の旧中社公会堂は、戸隠神社中社から宝光社のエリアに跨る重要伝統的建造物群保存地区に立つ歴史建築ですが、新たな公会堂の開設に伴い、取り壊される予定でした。参道の「顔」でもあり、住民たちから愛されてきた建物を残そうと、約3年前、地域の有志と株式会社つぎと、長野市によるプロジェクトが始動しました。2022年7月から改修作業が行われ、木造2階建ての公会堂は1階部分がレストラン、2階部分がホテルに生まれ変わりました。
建物の外観・内観ともに、旧公会堂のレトロなデザインや木造建築の美しさが生かされています。内装は、戸隠らしさを損なわないシンプルで素朴な仕様。元々の柱や腰壁、木製建具はそのまま用い、1階のレストランのテーブルとカウンターは、かつて2階のフローリングとして使われていた無垢材からリメイク。
レストランは、ランチ、カフェ、ディナーの営業。「戸隠の風土を味わう」をコンセプトとするフレンチで、国内外で経験を積んだシェフが手がけます。2階のホテルは1日2組限定。木のぬくもりが感じられる客室空間で、心静かに、窓の外に見える戸隠連峰や戸隠神社中社の参道を眺める時間も贅沢です。
ホテル『RITA 戸隠』の名前の由来は、遺産・伝統・継承を意味する「HE”RITA”GE」の真ん中の”RITA”から。レストラン『awai』は、ひとと自然、精神的な世界と物理的な世界の間(あわい)からつけられており、戸隠の人々が受け継いできたこの世界観を体感できる場所を目指しています。
ひとと自然が共存する戸隠の世界観を感じながら、戸隠の旬を生かした食事とともに、日常から離れてゆっくり丁寧に過ごす。世界中のお客様にも豊かな時間を過ごしていただけることでしょう。
『RITA 戸隠/awai』開業の経緯とは?プロジェクトの第2弾も進行中です!
北林:戸隠は観光地である一方で、若者の流出や高齢化、宿坊などの後継者問題、空き家の増加など、課題も残されています。
株式会社awai取締役である武井智史さんが3年ほど前からこの分散型ホテルプロジェクトに関わっているのは、地域貢献にもつながると思ったからとのこと。さまざまな問題を一つ一つクリアし、地域の皆さんを巻き込みながら、今回の開業にこぎつけました。
旧中社公会堂に続く第二弾として、宝光社地区の20年以上も空き家になっていた古民家を、茅葺屋根の客室としてよみがえらせようというプロジェクトが進行中。今年度中の開業を目指しているそうです。 武井さんのご実家は同じ宝光社地区で宿坊を営んでいて、主屋(客殿)が築270年という由緒ある家であるがゆえに、本プロジェクトの始める際、「実家が宿坊なのに、なぜ新たに宿泊施設を?」と周囲の人からは、ちょっとびっくりされたとか。
「リゾートではなく、地域に入りこんで体験をしてみたい。と、お客様に思ってもらえるような、そんな戸隠をめざしています。」と、武井さん。
こちらのプロジェクトも目を離せません。
戸隠時間のおもてなし。~戸隠をもっと知ってほしいから~
藤川:長野駅から車で40分。戸隠神社や鏡池、戸隠そばなど魅力あるコンテンツが多い戸隠ですが、アクセスの良さから”宿泊”を選ばない方も多いのだとか。
「日中のにぎやかな戸隠もいいですが。滞在することで体感できる戸隠を知ってもらいたいとおもっています。早朝の奥社参道も。静かな夜や星空、日々刻々と見え方を変える戸隠山、今ならここでこんなお花がみれますよ。とか、そんな話をしながら、ゲストに戸隠の良いところをお伝え出来たらうれしいですね。それとシェフのスープがとてもおいしいんですよ。ぜひ召し上がってみてほしいですね」と笑顔で話してくれたスタッフの碓井まさ美さん。
戸隠のお水を汲みに行き作っているというシェフのスープ。レストランでの食事を楽しみ、戸隠の住人が教えてくれる、飾らない戸隠の日常に触れる”旅”にでかけてみたいと思うのでした。
INFORMATION
〈ホテル『RITA 戸隠』/レストラン『awai』〉
所在地:長野市戸隠3390(旧中社公会堂)
営業時間(レストラン):ランチ 11時30分~14時/カフェ 14時~16時/ディナー 18時~21時30分(コースのみ、要予約)
TEL 026-219-3444
https://awai-togakushi.com/
Instagram:rita.togakushi_awai
facebook:https://www.facebook.com/RITA.TOGAKUSHI
取材・文:長野県観光機構スタッフ(藤川 晃子、北林 郁子、山﨑 理絵)
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