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ファミリー層から圧倒的に支持され続けてきた『池の平ホテルグループ』
“ウィズコロナ”時代の“おもてなし”と徹底した感染症対策

取材日:2020/7/6

白樺湖周辺を舞台にホテルや遊園地など総合レジャー施設を運営する『池の平ホテル&リゾーツ』。種類豊富なバイキングや屋内外のレジャーコンテンツがファミリー層から高い支持を得ています。5月下旬に新型コロナウイルス対策のガイドラインを独自に作成。ウィズコロナの時代にあっても“お客さま第一主義”を貫く創業65年を誇る大型観光施設の取り組みとは。

梅雨真っただ中の7月上旬。標高1,450m、肌寒さも感じる中、雨と霧が幻想的な雰囲気を醸し出す白樺湖。長野県北佐久郡立科町の『池の平ホテルグループ』が今回の取材地です。長野県民であれば誰もが一度はテレビCMを見たことがあるのではないでしょうか。ビーナスラインと白樺湖に寄り添うように建つホテルをはじめ、遊園地や美術館、そしてスキー場なども設置された日本を代表する大型複合リゾート地です。

池の平ホテルグループでは新型コロナウイルス対策として、いち早くガイドラインを作成しました。その構成は、宿泊施設、遊園地、日帰り施設(売店やレストラン)の3つの業態に分類、対策の実施内容や運用方法など施設ごとにまとめられています。各担当スタッフはこのガイドラインを基本に対策を進めます。

例えば宿泊施設のガイドラインには、入口・ロビー等やチェックイン時、大浴場、夕食などお客さまが利用する場面やエリアごとに「体温確認をする」「お客さま同士での距離を保つ(最低1メートル)ご案内や掲示をする」「消毒を実施する」など事細かな記載があります。

ガイドラインはホームページでも掲載され、さらには感染対策をまとめた動画も公開中です。事前に施設の感染症対策を分かりやすく周知することと併せ、検温や問診表の記入、マスク着用など利用者への理解醸成を図ることでスムーズなオペレーションにもつながっています。動画については宿泊向けがメインとなっていますが、ガイドラインと同様に遊園地や日帰り施設向けの動画も近日公開予定とのことです。

現在はいわゆる“3つの「密」・(3密)”を防ぐため、ホテルの収容人数を従来の3~4割減で稼働しています。チェックイン時にはまず、自動検温装置による体温チェックがあります。37.5度以上が計測された場合はアラームが鳴る仕組みです。カウンターの前には一定間隔に印がしており、ソーシャルディスタンスが保てるよう工夫されています。繁忙期は、チェックインとチェックアウトの利用者が重なることが多いため、チェックイン・チェックアウトのそれぞれ専用カウンターを設けることで混雑を分散させます。

カウンターには飛沫防止のパネルが設置され、マスクと手袋を着用したスタッフが案内します。健康チェックシートや同意書の記入と、マスク着用や手洗い・うがい、アルコール消毒など利用者側に実施してもらう項目を説明。併せて感染防止対策などをまとめたシートを渡します。

池の平ホテル自慢の種類豊富なバイキング。それを目的に訪れるお客さまも少なくありません。以前は好きなものを好きなだけ自由に取りに行くという形態でしたが、接触機会が多くなってしまうことが問題でした。

料理カウンターの内側にスタッフがスタンバイ。お客さまは料理を選び、スタッフが取り分けてサーブする運用を進めています。容器のふたやトングなどの扱いは、スタッフが行うことで接触機会を減らすことが可能です。夕食会場内での密を防ぐため、テーブルの間隔を広く取り、人数が多い時は別会場も使用します。バイキングの営業時間を延ばすことで、宿泊者の利用時間も分散しています。

池の平ホテル宿泊料飲部門の支配人代理・青木誠治さんは「バイキングを楽しみにして来られるお客さまが非常に多い。お客さまのストレスが少なく安心してバイキングを楽しんでいただくため、スタッフと改善を重ねて現在のかたちになりました。日々、お客さまとスタッフの声を集約して細かい改善を繰り返しています」と話しています。

朝食についても基本はバイキングとなりますが、『朝食テイクアウト』サービスも実施。パンとサラダ、ベーコンなどがセットになった朝食を部屋で食べることができます。「忙しい中でも部屋でゆっくり食べられる」と好評です。晴れた日は、外でレジャーシートを敷いて食べることも可能です。

現在、バイキングや大浴場など密になる可能性が高い施設は宿泊者のみの利用に制限しています。客室含め、館内にはいたるところにアルコール消毒が設置されています。消毒箇所のチェックリストも作成し、スタッフによるこまめな消毒や換気も徹底。エレベーターなどは1グループごとの利用をお願いしています。

遊園地や売店・レストランなど、宿泊者以外の利用がある施設でも、消毒など基本的な対策は徹底されていました。遊園地では、入口で体温チェックや健康チェックなどを経て入園するオペレーションがとられ、入園できる入口も1箇所に限定。現在、接触機会の多くなる一部アクティビティやイベントは中止となっています。レストランでは、割り箸や紙コップを用いて共用する物を減らす工夫も進められています。



池の平ホテルグループの感染症対策(宿泊を例として)

取材当日、悪天候の平日という条件でも宿泊チェックインするお客さまが次々に訪れていました。感染症対策への思いと今後の展望について、池の平ホテルグループ『池の平白樺高原ホテル』の支配人であり、グループ全体の感染症対策の指揮を執る藤澤輝幸さんにお話しを伺いました。

ガイドラインはどのようにまとめられたのですか
まずは、部門ごとの各マネージャーがベースを作成していきました。ベースを踏まえた上で、国や県から出ている指針等に照らし合わせながら修正や追加を重ねました。日本語だけでなく、英語と中国語表記も公開しています。感染症対策はすぐに売上や利益につながるものではありません。ただし、お客さまとスタッフに安全・安心を提供するためには必要不可欠なことだと位置づけています。


ガイドラインには具体的な感染症対策だけでなく、”おもてなし”についての明記がされていますね
対策をしていく上でどうしてもお客さまとの距離が離れ、さらにマスク等で表情も見えにくくなってしまいます。お客さまに安心して過ごしていただくのはもちろんですが、癒しの場でもあり続けたいと考えています。制限がある中でも最大限のおもてなしと、マスクの下でも満面の笑顔でお迎えすることを宣言しています。


ホテルの予約をはじめ、施設全体の利用状況を教えてください
コロナ禍前は宿泊の約3割が団体のお客さまでしたが、夏までは皆無に近い状態です。旅行会社等と連携しながら秋の繁忙に向けてどのようにPRしていくかが課題です。個人につきましては、6月は長野県内のお客さまがほとんどでした。県内のさまざまなクーポン・キャンペーン施策もあり、これまでのファミリー層だけでなく、シニア層など新しい客層も増えてきています。


(写真提供:池の平ホテル&リゾーツ)

働くスタッフの意識変化はありましたか
感染症対策を徹底しても不特定多数の人と関わることは間違いありません。当然、不安を訴えるスタッフもいました。スタッフ一人一人と面談する機会を設け、個人の意見を吸い上げていくと同時に対策にも反映させていきました。この先ずっとコロナウイルスと共存し続けなければなりません。そんな中、観光業に身を置く私たちに何ができるのか、お客さまにどんな価値を提供できるのか、考える機会にもなっています。


現在の課題についてお話しください
感染症対策の部分ではまだまだ試行錯誤です。例えば大浴場など、脱衣籠を減らすなどの工夫をしていますが、どうしても混雑してしまうケースがあります。アプリで混雑状況を把握できるツール等の導入も検討していかなければなりません。
一部の宿泊施設では布団敷きのサービスも中止していますが、お客さまにセルフで行っていただく場面も増えています。施設側として可能な対策はすべて実施するのはもちろんですが、お客さまのご理解やご協力も引き続きお願いしたいと思っています。


今後の展望をお聞かせください
今来ていただけるお客さまをどれだけ大切にできるか。こういった状況下でも安心して楽しんでいただける空間づくりで、リピーターになっていただけるお客さま・ファンを増やしていきたいです。観光は人々の癒しや笑顔を生む重要な産業だと考えています。これからも工夫を重ねながら徹底した感染症対策とお客さまの“おもてなし”とを両立していきたいです。


池の平ホテル&リゾーツは、白樺湖周辺に立地するホテルや遊園地、美術館などを総じて『白樺リゾート』と打ち出しPR。“泊まる・食べる・見る・遊ぶ“全てを満喫できるリゾート地としてファミリー層から絶大な支持を得てきました。

(写真提供:池の平ホテル&リゾーツ)

遊園地『池の平ファミリーランド』では、メリーゴーランドやジェットコースターなど豊富なアトラクションの他、乗馬やフクロウと触れ合えるアクティビティも人気です。ふわふわの泡の中で水着で遊べる『泡ちゃぷウォーターパーク』は夏季限定のコンテンツです。

『ヒーリングっど♥プリキュアドリームルーム』©ABC-A・東映アニメーション(写真提供:池の平ホテル&リゾーツ)

『池の平ホテル』内には室内温水プールやボウリング場、カラオケなども完備され、雨の日でも楽しめるコンテンツも豊富です。特に人気なのが部屋全体をキャラクター一色にした部屋に泊まれるプランです。『ヒーリングっど♥プリキュアドリームルーム』(©ABC-A・東映アニメーション)はその一つ。宿泊すると限定のキャラクターグッズも手に入ります。

白樺湖湖畔の散策や美術館など子供だけでなく大人も十分楽しめます。豊富なコンテンツの提供でファミリー層から圧倒的な支持を得て3世代で利用する家族も多いそう。時流に合わせた経営戦略と変わらない“おもてなし”を徹底して、これからもファンを増やし続けます。


白樺リゾート 池の平ホテル
住所:長野県北佐久郡立科町芦田八ケ野1596
電話番号:0266-68-2100
https://hotel.ikenotaira-resort.co.jp/


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