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地域連携DMO南信州観光公社 主催 新型コロナウイルス対策の緊急セミナー

取材日:2020/6/18-6/19

18日は医療現場に長年従事する専門家から観光施設に必要な感染症対策の具体的提言やセミナーの舞台となったホテル側の事例発表がありました。19日にはポストコロナ時代の国内旅行全体のマーケット予測や経営戦略への提言があり、2日間に渡って行われたセミナーへの参加で、今後の観光産業の姿やより具体的な施策を学ぶことができました。

=飯田保健福祉事務所長 松岡裕之氏=

~松岡裕之(まつおか・ひろゆき)氏~
新潟大学医学部を卒業。内科医師として勤務後にマラリアのJICA専門家としてインドネシア共和国へ赴任。英国インペリアルカレッジに留学し、マラリアワクチンの研究に携わる。帰国後は医動物学分野で三重大学、自治医科大学に所属。現在は長野県健康福祉部 飯田保健福祉事務所所長を務める。

新型コロナウイルスは空気伝播するが、咽頭などの粘膜で増殖し感染するケースも多いです。汚染された手で食事をとる、目をこするなどの行為は感染リスクが高まります。つまり、感染対策として、特に手に触れる部分の消毒などを徹底していくことが重要となります。
ドアノブなどはもちろんですが、例えばバイキング式のレストランならトングなども見逃せません。観光施設は不特定多数の人が訪れる場所です。手に触れることが多い箇所を自分の施設に照らし合わせて対策を講じていくことが必要です。

緊急事態宣言は解除され、都道府県をまたいだ往来が可能となりました。心配なのは「第二波はいつ来るのか」ということではないでしょうか。
コロナウイルスは、冬風邪ウイルス(=インフルエンザウイルス)と似ています。気温が下がり、乾燥する11~12月頃から第二波の可能性が高いとみています。
現在冬のブラジルでは、気温の低下と共に感染者が増加しました。明確な因果関係は証明されていないが、気温は感染の大きなファクターと言えるでしょう。感染が落ち着くと多くの人は油断してしまいます。継続的に対策を徹底していくことが大切です。

気温が高い夏でも油断は禁物で、いわゆる3密状態であれば伝播していく可能性があります。対策としては、一般的な『3密を防ぐ』『手洗い・うがい』『換気』『マスクの着用』『ソーシャルディスタンスを保つ』これに尽きるでしょう。一人一人が基本的な対策を励行することが感染予防には重要です。
これから本格的に暑くなる季節を迎えますが、農業従事者など、外で作業する方のマスク着用は熱中症リスクがあります。気温や室温が高い場所ではマスクではなく、フェースシールドが有効です。フェースシールド着用時は顎まで覆われるため、マスクは必要ありません。

また、感染症への対応として迅速さが鍵となります。早く感染者を見つけること、早く検査すること、迅速な治療。これらを徹底することが必要不可欠です。検査関連として、抗原検査キットが開発され先日承認されました。キットによりこれまで判別に数時間かかっていたものが30分程度で判明します。
感染症と共存していく状況の中、ドラッグストアなどで簡単に安価な検査キットが購入できる時代も訪れるのではないでしょうか。
“敵を知り己を知れば~”という言葉がありますが、正しい情報を得て正しい知識を身に着けて私たち一人一人がコロナウィルスと付き合っていくことが不可欠です。

=シルクホテル ゲストリレーションマネージャー 島崎展彰氏=

~島崎展彰(しまざき・のぶあき)氏~
1999年にシルクホテルに入社し、宴会・婚礼部門等を経て宿泊マネージャーを歴任。現在は、接客全体を束ねるゲストリレーションマネージャーを務める。全館での新型コロナウイルス対策を立案し、統括指揮を執る。

当ホテルは主に宿泊、婚礼、レストラン、会議などでご利用いただいています。緊急事態宣言の発令に伴い休業せざるを得ない状況でしたが、感染症対策を講じて営業再開しました。

シルクホテルで実施している主な感染症対策


*島崎氏の講演内容を基に作成

施設内の消毒強化では、エレベーターのボタンやカードキーなど消毒箇所のリストを作成しました。消毒が完了したらチェックする仕組みで実施もれを防いでいます。
ホテルのスタッフは皆マスクや手袋を着用して接客させていただいておりますが、これから暑い季節を迎えるにあたり、熱中症対策も併せて検討中です。

当ホテルはビュッフェ形式の食事を提供しています。入店時にはお客さまの連絡先を頂戴し、ソーシャルディスタンスを保った席にご案内しています。
料理を取りに行く際はマスクの着用をお願いし、基本的にトングは使用しないよう小皿に盛り付けて提供しています。飛沫防止のシート設置や料理の間隔を空ける対応もしています。

レストランも含め、会議や宴会利用時の席数は通常の50%にしています。食事の際、距離を離すだけでは会話が聞こえにくくなり、結局近づいて話す、大声で話すことになってしまいます。アクリル板の設置とうまく組み合わせて、離れすぎず感染対策ができるように運用しています。

新型コロナウイルスとは長期に渡る共存が必要と感じています。可能な対策は全て講じ、サービス内容やクオリティー、価格だけでなく、お客さまに安心して過ごしていただける環境づくりを今後も継続して取り組んでいきたいと考えています。

=体験教育企画代表取締役 藤澤安良氏=

~藤澤安良(ふじさわ・やすよし)氏~
教育旅行をはじめとする観光の商品企画を体験型にするべく、受け入れ側へのノウハウ提供と普及を目指す。自治体はじめ、観光関連産業からの要請により、体験プログラムの企画商品化、プロモーション、人材育成、講演・セミナーを全国で実施している。

感染症対策を講じる上でお客さまとの接触はこれまでより確実に減ります。例えば、部屋まで荷物を運ぶサービス、車を駐車場まで代行して移動させるサービスなど、今後はさまざまな場面においてお客さま自身にお願いせざるを得ない状況です。感染症対策によるサービス低下について、お客さまにしっかり理解して協力してもらい、新しい観光の姿を一緒に築き上げていく意識が大切です。

ホームページ上で施設の感染症対策を掲載するのは有効です。予約時に具体的な対策を知ることができますし、対策によってお客さまに不便をかける旨を告知することで現地でのトラブルも防ぐことができます。
コロナ禍でテレワークやリモートが一気に普及しました。観光においても予約をはじめ、インターネットを利用した旅行がますます拡大します。旅の提案を含め、商品や情報を全てネット掲載することは不可欠となるでしょう。

=JTB総合研究所主席研究員 山下真輝氏=

~山下真輝(やました・まさき)氏~
観光庁、経済産業省、文科省などの中央省庁における観光立国に関するさまざまな政策に関わる。全国各地から講演会やパネルディスカッションの出演依頼も多数あり、観光地域づくりや6次産業化に関する講演活動、観光人材育成講座の講師や観光分野の各種委員を多数務めている。

旅行時期が後ろ倒しになっている傾向があり、国内旅行については9月のシルバーウィーク辺りから大きく動き出すとみています。
国内の人口減少が続く中、旅行者数を大幅に増やすことは難しく、1人当たりの消費額を増やすためにどういった商品を提供していくかが肝となります。

長期滞在でエリア全体の良いところを知ってもらう取り組みが必要でしょう。そこで不可欠なのが魅力的な滞在コンテンツの造成です。成熟社会の中で消費者は“心の豊かさ”につながるものを好む傾向にあります。つまり商品のスペックよりライフスタイルの提案を求めています。旅行スタイルの変化もみられ、特に若い人は旅先での体験を重視する傾向が顕著です。

例えば、鳥取県の鳥取砂丘では広大なロケーションを活かしてパラセーリング体験を提供していますが、若者に人気のようです。
既存の観光資源をいかに新しい体験の場にできるかがカギになります。一つの地域・事業者ではなく、広域連携による観光客の受け入れ体制構築でエリア全体での経済効果につなげていくことが重要です。

セミナー当日は、シルクホテルで感染症対策を講じたバイキング形式の昼食にも参加しました。
多くの参加者がレストランに殺到するのを未然に防ぐため、12時10分~、12時40分~の2グループに分けられています。セミナーの受付時に受け取った昼食券には、自分に振り分けられた時間が記載されているので忘れる心配もありません。

レストラン入口では、手袋・マスクやフェースシールドを着用したスタッフがソーシャルディスタンスに配慮した席に案内。テーブルの上にはお皿が何枚か置いてあります。こちらのお皿を持って、料理を取りに行くシステムです。料理を取りに行く際は、マスクを着用する説明も受けました。至るところにアルコール消毒液も設置され、換気のためのサーキュレーターも回っていました。

料理と料理の間隔は割と広めにとられています。これまでよりスペースが必要になるため、提供台は従来の1.5倍ほどの大きさのものを新たに用意したそうです。
飛沫防止のビニールもしっかり設置されています。各料理は一口ほどの量が小皿に盛られ、小皿ごとピックアップ。料理をトングでとる方式より、小皿に盛られているほうが可愛いですし見た目も良い気がします。

利用者側として特に不便には感じず、満足した昼食がとれました。感染症対策の工夫次第ではバイキング・ビュッフェも安心して楽しめることが実感できました。

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