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飯田市の人気ドライブインが団体客の受け入れを再開
感染症対策を地元住民と共に探るシミュレーション
地域一丸となって“ウィズコロナ”に挑みます

取材日:2020/6/2

大型観光バスも受け入れる『ドライブイン酒蔵』。本格的な営業再開を前に、住民を招いて感染症対策を共に確認しました。団体客だけでなく地元にも目を向けたウィズコロナ時代の新しいビジネスモデルとは?

80人のモニターと共に感染防止対策のPRと課題を一緒に探る

気持ちよく晴れ渡った6月初旬、コロナ禍で営業自粛中のドライブインが地域住民を招いて”試験営業”をするという情報を聞き、参加してきました。今回の舞台は『ドライブイン酒蔵』。飯田インターチェンジを降りてすぐ横、観光客にとってもアクセス好条件の立地でした。

試験営業は、緊急事態宣言が解除され本格的な営業再開を前に、地域住民がモニターとして施設の感染症対策を体感して、営業再開への理解と課題を探ることが目的。
モニターは飯田下伊那地域在住の約80人。地域の医療や観光関係者も目立ちました。3グループに分かれ、“観光バスが3台到着した“ことを想定して、レストランで食事などをします。

まず手指の消毒と検温を実施。入口に人が密集しないよう、アナウンスに沿ってグループごとに時間をずらして入館します。レストランではテーブル席の片側のみを使用して1列に着席する方法と、対面でジグザグに着席する方法が試されました。

健康状態と連絡先を記入する質問票も置かれています。医療関係者のアドバイスを受けたチェック項目は「体調に異常はありますか?」「14日以内に海外から帰ってきた人と接触している」など、“はい・いいえ“を簡単に回答できます。

ドリンクバーやスイーツバイキングは一方通行に定められ、「グラスや取り皿の使いまわし禁止」、「バイキング前に再度手指の消毒をする」などのルールも設けられました。

<モニター参加者の感想>
「検温や消毒などこれだけ徹底されていれば安心感はあります。食事は横一列に並ぶより、対面でジグザグの方が会話は楽しめそう。ドリンクバーやデザートバイキングに行く際、マスクをつけている人とつけていない人がいたので少し気になりました」(30代女性)

「施設側のオペレーションとしては満足しています。できることを精一杯しているという誠意も伝わってきました。あとは、観光施設に訪れる観光客一人ひとりの意識が大切ですよね」(40代女性)


当日は働くスタッフもマスクや手袋、さらにフェイスシールドを着用。その日の最高気温は29℃前後で、準備をしていた数人のスタッフは熱中症のような症状を訴えたといいます。

対応したスタッフは「熱がこもるので体感温度はかなり高くて大変でした。ただ、自分の身を守るためにこういった防護用具は必須です。真夏に向けどう対応するか考えなければいけません。営業再開は嬉しい反面、不安もまだあります」と話してくれました。

地元住民にも地域の魅力を知ってもらう取り組みを

観光バスの予約は少しずつ入り始めているそうです。“ウィズコロナ”の状況下で今後の対策やビジネスモデルについて営業部長の伊藤公雄さんにお話しを伺いました。

※撮影のためマスクは外しております

*今回の試験営業はどんな想いで企画しましたか 「近隣住民の心配する声も施設に届いており、現状のまま観光客の受け入れを再開しても、住民の不安は大きくなるばかりです。観光施設は観光客と住民の協力のもとで成り立ちます。団体のお客さまだけでなく、マイカー利用のお客さまや地域住民向けのビジネスモデルを構築して、地元にも積極的に発信していきたいと思っています」

*試験営業を終えてどんな課題が見えましたか 「感染症対策として間隔を開けて配膳したり、適所に人を配置しましたが、準備にかなりの手間がかかりました。レストランの席は間引くと1回の受け入れが従来の3分の1になります。感染症対策によって様々な経費負担が発生しています。増大した経費を価格として全てお客さまに負担いただくのも無理がありますので、この負担を考えて観光を組み立てなければならないと感じました。いかにリピーターを増やし、長くお付き合いできるかがポイントではないでしょうか」

*スタッフの意識としてはいかがでしょうか 「お客さまだけでなく働く私たちもリスクがあり、不安を吐露するスタッフもいます。レジ前のビニールカーテンの設置やマスクの着用など可能な対策は全て行っていきます。暑さで体調不調を訴えるスタッフもいましたが、お客さまの安全とスタッフの安全を両立できる対策を考えていきたいです」

*コロナ禍で営業自粛中の際はどのように施設を運営していたのでしょうか 「地元の皆さまに支えられました。併設しているベーカリーや売店などに来店されるお客さまも多く、駐車場でイチゴなどの青果物やお弁当を販売したところとても好評でした」

*冒頭に仰っていた“地元住民向けのビジネスモデル”に繋がるところがありますね 「観光客向けのイチゴ狩りが全て中止となってしまったため、そのイチゴを販売しました。完熟したイチゴを朝収穫してすぐに販売したおかげか “おいしい”と喜ばれましたよ。土産物も賞味期限があるので住民向けに販売しましたが、”こんなものもあるんだ“と想定以上に売れました。自分の住む地域のことをよく知らない人もまだたくさんいらっしゃいます」

*今後はどのような展開をお考えですか 「試験営業の経験や課題を活かして、対策は引き続き徹底していきます。併せて地元にもっと利用してもらえる施設づくりをしたいです。地産の野菜を使ったランチの提供なども企画中で、ドリンクバーもあるのでゆっくり食べてのんびりしてもらいたいです」

*ウィズコロナ時代の観光について思うことはありますか? 「安さだけを売りにしたツアーは成り立たなくなってくるのではないでしょうか。受け入れ側は高品質・高付加価値なサービス提供がますます重要です。同時に地域の事業者や農家との連携もより大切になってくると思います。地域一丸で魅力を発信し、何度も訪れていただけるファンづくりが必要だと感じています」

レストランの豊富なメニュー展開と売店の品ぞろえで人気のドライブイン

『ドライブイン酒蔵』はレストランでのメニューの豊富さと売店で販売される酒類の多さが特に人気です。

メニューをよく見ると“肉料理”が目立ちます。理由は、長野県が『海なし県』ということと、南信州は肉食文化が根付いているから。『南信州名物 食べ比べ牛・豚・馬肉しゃぶしゃぶ御膳(馬刺し付)』(2200円・通年注文可能)、『7・8月限定 豚肉食べ放題スタミナたっぷり焼きしゃぶ御膳』(1400円)など。牛、豚、鶏、馬と様々な肉メニューが楽しめます。食材にもこだわり、野菜やキノコ類などは近隣農家から仕入れています。ブランド豚を使った郷土料理も考案中です。※価格は全て税抜き

(写真提供:ドライブイン酒蔵)

『酒蔵』のネーミング通り、売店では県内の様々な酒類を常時約200種類ラインナップ。“お酒好き”ならワクワクすること間違いなしです。コロナ禍で中止していますが、土産品の試食や試飲も“売り”の一つ。様々な味を試してもらいながら、観光客と交流する場でもあります。

(写真提供:ドライブイン酒蔵)

伊藤さんは「“次はあれを食べよう”とか“あのお酒を試してみよう”とか何度でも訪れたくなる仕掛けが大切です。試飲や試食は、安全に再開する方法を考えていきたい」と語っています。

個性とユニークさもある営業戦略で人気の『ドライブイン酒蔵』。ウィズコロナ時代、新しいビジネスモデルを模索しながら、地域と連携したリピーターづくり、ファンづくりを加速させていきます。


ドライブイン酒蔵
住所:長野県飯田市北方813-1
電話番号:0265-25-8865
営業時間:9:00~17:00
https://drivein-sakagura.com/

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