エリアガイド松本城下町

松本城下町

国宝・松本城の周辺は城下町として発展し、街のいたるところに名残を感じます。
市内各地にある清らかな湧水、かつてはお殿様も利用した温泉など、
さまざまな歴史と文化を育むこの地を楽しんで。

日本最古!五重六階の天守がある「松本城」

長野県の中央部に広がる松本エリアは、古くは信濃国府が置かれて松本城のもとで城下町として発展していきました。「松本城」は、戦国時代に建てられた深志城がはじまりです。現在する五重六階の天守では日本最古で、全国的に見ても天守の建物を残す城は全国でわずか12だけ。そのうち五重の天守を実際に見ることができるのは、松本城と姫路城の2城です。
お城と聞いて思い浮かべるのは、山や丘の上に建てられた山城や平山城です。時代とともに防衛の役割のほか領国統治のために設けられるようになり、城下町を合わせた平城が築かれていくようになりました。松本城も平城にあたりますが、平地にありながらいかにして防衛力を高めてきたのか。その名残が随所に残されています。
たとえば城の入口に設けられた太鼓門や黒門は二重になっていますが、まっすぐに進めずクランクして先が見通せないようになっています。これは「食い違い」と言って、敵がスムーズに侵入してこれないよう工夫されています。建物の内部に目を向けると大天守には火縄銃が出せる格子のある武者窓や傾斜61℃もの階段、避難所などの役割を持つ隠し部屋など、随所に軍事的な工夫が光ります。また天守閣6階から見える松本市街地や遠くに見える北アルプスの眺望も抜群です。

松本城の天守群は、大天守、乾小天守(いぬいこてんしゅ)、渡櫓(わたりやぐら)、辰巳附櫓(たつみつけやぐら)、月見櫓から形成されています

新旧が交わる街を散策しよう

松本城から歩いて約5分ほどの女鳥羽川沿いに、一本の縄をまっすぐに伸ばしたような「縄手通り」があります。かつては川沿いにカジカガエルがたくさん生息していたことからカエルをシンボルにし、カエル大明神を奉っています。雑貨屋や古道具屋、食べ歩きできる軽飲食店などが長屋のように並んでいます。ほかにも天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神、天照大神の神様が祀られている「四柱神社」は、すべての願いごとが叶うといわれています。なまこ壁の土蔵が多く残っている商店街「中町通り」は、松本民芸家具店やセレクトショップ、地元の人にも人気がある飲食店などがあります。松本城観光のついでに、ちょっとレトロな通りもぜひ散策を。
ほかにも松本市出身のアーティスト・草間彌生さんの作品を主軸とした「松本市美術館」(2021年4月1日から1年間休館)や、擬洋風建築として国宝に指定された「旧開智学校」校舎(ただし2021年6月から約3年休館)など、見どころは満載です。

「中町通り」にある白と黒の土蔵造りの建物が美しい街並みを生み出しています

観光客でにぎわう「縄手通り」には、さまざまな店が軒を連ねています

湧き出す名水と温泉を楽しむ

松本市街地を散策すると、いたるところで湧水を見かけます。美ヶ原をはじめとする周辺の山からの伏流水が湧き出す「まつもと城下町湧水群」は、環境省の「平成の名水百選」に指定されています。主には、松本城の東から南にかけて井戸や水路を見ることができます。そのひとつで市の特別史跡に指定されている「源智の井戸」は、城下町が形成される前から飲用水として使用されていた歴史があります。毎分約200リットルの湧出量を誇り、地元住民や飲食店はもちろん遠方からも水を汲みに訪れます。
松本城から車で約10分ほど北方に向かった先には、開湯から1300年の歴史を持つ「浅間温泉」があります。江戸時代には初代松本藩主の御殿湯が置かれて「松本の奥座敷」と呼ばれるようになり、明治時代には与謝野晶子や竹久夢二も通った名湯として知られています。最近では名だたるホテル業界が進出し、さまざまなスタイルの宿泊施設が増えて再び注目を集めています。

松本市民の暮らしを潤してきた湧水のひとつ「源智の井戸」

旅の思い出が、もっと濃くなる体験を

松本エリアのグルメでまず思い浮かべるのは、「山賊焼」です。大ぶりの鶏肉をニンニクや醤油などを混ぜ合わせたタレに漬け込み、片栗粉をまぶして揚げたものです。醤油や塩麹など店ごとにタレの配合は異なるので、味のバリエーションもさまざま。表面はサクっと、中は味が染み込んだジューシーな肉を味わうことができます。

迫力ある大きさに驚く「山賊焼」。付け合わせのキャベツと好相性です

「松本一本ねぎ」は、江戸時代の頃から栽培されてきた伝統野菜です。白い部分が太く、昔からの栽培技術である植え替えをすることで、傘の手元のように曲がっているのが特徴です。他のネギ比べると、やわらかく甘みもあり、メイン料理にも使われるほど。
国内外問わずたくさんの観光客が訪れる松本エリアを、もっと知ってもらおうと「体験」を軸にしたデイツアー「MATSUMOTO Experience」があり、所要時間1時間から気軽に楽しめる体験に参加できます。
そこかしこに息づく歴史や文化を感じながら観光を楽しんで、旅の思い出をつくりましょう。

老舗の味噌蔵見学、そば打ちや和太鼓体験などのツアーがある「MATSUMOTO Experience」