エリアガイド木曽町

木曽町

中山道69次のひとつ、「福島宿」があった木曽町。
「御嶽山」の裾野には「開田高原」があり、
かつては働き手として重宝されてきた「木曽馬」が今も飼育されています。
深い山々に残る歴史や文化を巡りましょう。

そぞろ歩いて楽しむ宿場の歴史

2016年、長野県で初めて日本遺産に登録されたのが、塩尻市、木祖村、木曽町王滝村、上松町、大桑村、南木曽町を総称した木曽地域です。御嶽山系と木曽山脈に挟まれた木曽谷にあるこの地域では、深い山々を縫うように道が続いています。江戸と京都を結ぶ中山道 69 次の中でも木曽11宿は難所として有名でした。多くの観光客でにぎわう塩尻市の奈良井宿や南木曽町の妻籠宿では、江戸時代の宿場町が良好に保存されており、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような風情が色濃く残っています。
ほかにも木曽町の福島宿には日本四大関所の一つ「福島関所」が設けられた宿場で、現在は資料館を併設した「福島関所跡」、江戸時代を通して長く木曽を治めた山村家の「山村代官屋敷」、旧中山道の家並みが残る「上の段」などで宿場の歴史にふれることができます。谷底の町とも形容される町並みを眺めながら、そぞろ歩きをしてみましょう。

千本格子やなまこ壁の土蔵などの建物が残る「上の段」

山岳信仰で知られる御嶽山

長野県と岐阜県にまたがる御嶽山は、火山としては富士山に次いで日本第二位の高さを誇り、裾野の広い均整のとれた姿が印象的です。登山には「御岳ロープウェイ」の利用が便利で、頂上駅から1時間ほど歩くと紅葉スポットの八合目に到着。そこから約2時間の登山で 3,067m の頂上に立つことができます。御嶽山の広大な山頂部分には一の池から五の池までの火口跡があり、一泊すれば「お鉢巡り」を楽しむこともできます。また信仰の山としても名高い御嶽山の麓には、平安の昔から今日まで多くの修験者や信者たちが踏みしめてきた「御嶽古道」があります。古道に沿って二万基ともいわれる霊神碑群や、修行に使われた清滝、新滝、百間滝などの荘厳な滝、神社などの史跡が点在しています。歴史に想いを馳せながら歩くのも楽しいでしょう。

「御嶽山」は木曽町の人々にとってシンボル的な存在です

海外旅行客を中心に注目を集め始めている「御嶽古道」

「木曽馬の里」で味わう開田高原の自然

御嶽山麓の標高 1,100m から 1,300m に広がる爽やかな開田高原。機械がなかった時代、人々は働き手として日本古来種の木曽馬を飼育し、馬とともに暮らしてきました。一時は数千頭もいた木曽馬は機械化とともに減少し、現在では開田高原にある「木曽馬の里」で37頭が大切に飼育されています。ここでは木曽馬の体験乗馬を開催。木曽馬は小型で性格もおとなしいことから乗馬しやすく、引き馬の場合は小さな子どもでも体験が可能。ほかにもオシャレな馬車で周遊する体験も人気です。「木曽馬の里」の場内には約1ヘクタールの蕎麦畑があり、「一本木亭」ではそば打ち体験ができるほか、名人が打った生そばを味わったり、売店でおみやげを買うこともできます。木曽馬に御嶽山、霧の下で育った「霧下そば」など、魅力たっぷりの高原でのんびり過ごしてはいかが。

「木曽馬の里」から見える御嶽山。夏には蕎麦の花が一面に咲き誇ります

夏場は放牧されている木曽馬。自由に触れることもできます

木曽谷の風土が生んだ名産

海から遠い山国の木曽では、かつて塩はとても貴重でした。そこで塩を一切使わない乳酸発酵食品「すんき」が作られるようになりました。サッパリとした酸味が特徴で、味噌汁の具にしたり、かけそばの上にすんきを載せた「すんきそば」にしたりと、さまざまな料理に合わせることができます。
また木曽の森林は、江戸時代には尾張藩直轄の領地として木曽五木(ヒノキ、サワラ、アスナロ、ネズコ、コウヤマキ)の伐採が禁止され、現在も国有林として厳しく管理されています。木曽五木の中でも特に木曽ヒノキは、厳しい自然環境で生育するため木目が緻密で美しく、ヒノキ本来のまっすぐに伸びる性質や優れた耐久性から、高級建材として重宝されています。
「信州木曽ふるさと体験館」では、木曽町の名産にふれてもらおうと「ひのきの箸づくり」や季節限定で「すんき漬け講習会」を開催。講師を務める地元住民の方々とのふれあいを通じて、木曽地域を深く知る体験をしてみませんか。

木曽を代表する味のひとつ「すんきそば」は、出汁のうまさとすんきの酸味が絶妙なバランスです