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大名行列と大獅子がまちをねり歩く!
七年に1度の「飯田お練りまつり」

「飯⽥お練りまつり」は飯田・下伊那地域最大のおまつりで、370余年の歴史をもちます。大宮諏訪神社では七年に1度、式年祭が行われますが、これに合わせて行われるのが「お練りまつり」です。「大名行列」や「東野大獅子」をはじめ、飯田周辺の伝統芸能を受け継ぐ団体が一堂に介し、3日にわたって飯田の中心市街地をねり歩きます。

更新日:2022/07/01

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長さ25メートルにもおよぶ東野大獅子と、それを紅白の手綱で操る宇天王 ©️飯田商工会議所

子どもたちによる舞。ハレの日のため、それぞれの団体が練習を積み重ねてくる ©️飯田商工会議所

大宮諏訪神社式年祭とお練りまつり

​​飯田城主の家臣で儒学者だった和田宗允の記録によれば、1652(慶安5)年には大宮諏訪神社で前身となるおまつりが開催され、出しものなどが披露されたようです。

その後、一時中断したこともありましたが、1715(正徳5)年に「未満水(ひつじのまんすい)」と呼ばれる水害が町を襲った際、人々は大宮諏訪神社の境内に避難して守られ、その加護に感謝してまつりが再開されました。

飯田周辺には地方それぞれの獅子舞が数多く伝承されている。そのひとつが客席に飛び込んだ! ©️飯田商工会議所

1734(享保19)年からは諏訪の御柱祭に合わせ、数えで七年に1度、干支が寅と申の年に行われるようになりました。町ごとに祭屋台を曳いてねり歩き、出しものを披露して、大変にぎわったといいます。

飯田の町は過去に何度も大火に見舞われてきましたが、町並みが失われ、屋台や祭具が焼失するたびに再興し、時代の局面を乗り越えて「飯田お練りまつり」は370余年の歴史を紡いできたのです。

まつりの見どころ1、本町三町目「大名行列」

大名行列で役者それぞれが手にする道具は、江戸時代の終わりに藩が手放すものを買い入れた ©️飯田商工会議所

1866(慶応2)年の火災で本町三丁目は屋台を焼失してしまいます。それまで出しものとしていた屋台を使っての「奴踊り」に代わったのが「大名行列」です。薄井竜之という人が尽力して大政奉還から廃藩置県までの短い間に小浜・仙台・姫路の3藩から行列道具を買い入れ、1872(明治5)年からはじまり、今に続いています。

行列は「化粧傘」を先頭に、文書を入れた箱を担ぐ「先箱」、子どもが扮する「台傘」、「黒車熊(くろしゃぐま)・天狗車熊・白車熊・富士形・大車熊(おおしゃぐま)・蓬莱大鳥毛(ほうらいおおとりげ)」などの槍、草履・傘が続き、ほかにも鷹匠、徒士(かちさむらい)などなど、総勢120人が連なります。その様は、まさに百万石の格式です。

草履・傘による所望所作。役者が高く投げ上げた草履をキャッチするたび、見物客から拍手が湧き起きる ©️飯田商工会議所

行列は「エーハーリーワサートーナー」など独特の掛け声に合わせてゆっくり歩を進め、途中で天狗車熊・白車熊・富士形が槍を投げては受ける「道中受け渡し」があります。また「道中行列所作」と、商店の店先などで所望に応じる「所望所作」が披露されます。

それぞれの役に扮する「役者」は小学生から60歳以下を対象に「本町三丁目大名行列保存会」が募りますが、少子高齢化に伴って本町以外の人の力も借りて、役者それぞれが担う所作などを守り伝えています。

まつりの見どころ2、東野地区「東野大獅子」

大獅子の身体には頭を交代で操る人とお囃子を合わせて100人ほどが入る ©️飯田商工会議所

飯田周辺には「屋台獅子」と呼ばれる独特の獅子舞が継承されています。獅子頭につながる胴体は木材や竹で組まれた屋台で、幌幕(ほろまく)がかけられたその中で笛や太鼓がお囃子(おはやし)を鳴らします。小さいもので10数人、大きいもので40人から50人ほどが乗り込みます。

ひときわ大きいのが「東野大獅子」で、頭から尾まで長さ25m、背の高さは3m以上あります。大宮諏訪神社のお膝元である東野地区では、本町三丁目の大名行列に対抗して、明治の終わりに大獅子を出しものに取り入れたといいます。

まつりの前日、飯田市・宮の上の太子堂で行われる「大門口の舞」で、宇天王が大獅子を目覚めさせる ©️飯田商工会議所

東野大獅子はまつりの前日、6年ぶりに目を覚まします。起こすのは宇天王。この場面は「大門口の舞」と呼ばれ、このあと目覚めた大獅子は地元の町内をまわります。まつりの3日間は「道中起し」や「旧所望まだかの舞」が披露され、最後は「寝かしの舞」で鎮められます。

お練りまつりでは飯田周辺から40以上の団体が集まって、そのほとんどが獅子舞を披露します。まつりの最後を締めるのは、やはり東野大獅子です。大宮諏訪神社に戻った大獅子は、100人以上の舞手が獅子頭を交代しながら数時間にわたって舞い続けます。最後に大獅子はあくびをして再び7年の眠りに就くのです。

まつりの最後は大宮諏訪神社境内で東野大獅子が奉納の舞を納める ©️飯田商工会議所

開催情報

開催場所|長野県飯田市中心市街地
開催日|2022年3月25日(金)~27日(日)(26日・27日は午前9時から午後6時まで市内各所で交通規制の予定)
※3日間の催し物は公式サイトを参照
URL|https://oneri.iidacci.org/

コロナ禍での開催について、飯田商工会議所・飯田市・大宮諏訪神社・各種団体で組織する「飯田お練りまつり奉賛会」が定めた「まつりガイドライン」では、感染警戒レベル1~5なら基本的な感染対策を講じて実施。レベル6の場合は中止としています。

<著者プロフィール>
文:塚田 結子
長野県長野市出身、在住。九州芸術工科大学 画像設計学科を卒業後、信楽や東京で建材デザインや幼児向け雑誌の制作に携わる。2003年帰郷し、地元情報誌の編集職に就く。2011年から「編集室いとぐち」に合流。長野の文化や歴史、工芸や暮らしにまつわる企画・編集・執筆をしつつ、テーブルまわりのスタイリングも行う。

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