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「人と自然」がテーマの長野県立美術館

2017年10月から休館していた長野県信濃美術館が、2021年4月10日にいよいよ名称もあらたに新築オープン。ガラス張りの建物が目を引く美術館のみどころ、楽しみ方をご案内します。

更新日:2021/11/30

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「霧の彫刻」が象徴する
ランドスケープ・ミュージアム

国宝善光寺の東、長野県立美術館は本館と東山魁夷館からなる県内唯一の県立美術館です。このたび約3年の休館を経て本館を新築、屋上広場も有し、東山魁夷館とは2階の連絡ブリッジでつながるようになりました。名前も「長野県信濃美術館」から一新、「長野県立美術館」へ。ガラス張りの外観が目を引くその建物は、風景から突出することなく、城山公園や善光寺をはじめとした周辺環境によくなじみます。その空間構成のコンセプトは自然と調和した景観を意味する「ランドスケープ・ミュージアム」です。

屋上の「風テラス」からの眺め(2020年11月撮影)

エントランス

水辺テラス

その象徴ともいえるのが、世界で活躍するアーティスト・中谷芙二子さんによる常設展示「霧の彫刻」です。「霧の彫刻」とは、中谷さんが1960年代後半から取り組む作品で、1970年に大阪で開催された日本万国博覧会で初披露されました。噴射された霧は風の動きにともない形を変え、光の加減でもその姿を変容させます。自然と人間とのあり方を問い続けてきた中谷さん、確かに「霧の彫刻」がみせる美しさの一方で、ときに渦巻き押し寄せるようにやってくる霧には、人の力がおよぶことができない圧倒的な自然の力を感じます。新美術館では、連絡ブリッジ下に設けられた水辺テラスから霧が放たれます。

霧の森(1992年、国営昭和記念公園)©︎Shigeo Ogawa

もっとアートを身近に
さまざまな角度でアートを体験

メインとなる展示室1~3とコレクション展示室では、4月の「長野県立美術館 完成記念 未来につなぐ~新美術館でよみがえる世界の至宝 東京藝術大学スーパークローン文化財展」を皮切りに、「長野県立美術館グランドオープン記念 森と水と生きる」展、「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」、「松澤宥生誕100年(仮)」展などの企画展を予定しています。一方で、オープンギャラリーや映像作品が流れる交流スペースのほか、しなのギャラリー、レストラン、ミュージアムショップなどは〝屋根のある公園〟というテーマのもと無料で入場することができます。城山公園を訪れたその足で、気軽に美術館を楽しんでほしいという思いが込められています。

法隆寺釈迦三尊像 (復元CG)。4月からの展示は、新美術館の完成にあたり、美術館という施設の本質に関わる、公開と保存・修復・復元をめぐるさまざまな問題について考える展覧会

郷土作家の作品や信州の風景画を中心とした近現代美術の収集や、コレクション展・企画展を開催するほか、これからさらに力を入れていくのが、「学び」や「交流」といった分野です。美術作品といえば触れることは厳禁、離れて鑑賞するものという固定概念を覆し、作品に直に触れてアートを楽しむことができる「アートラボ」のほか、つくる喜びや楽しさを感じることができるワークショップ「こどもアートラボ」、現代作家による公開制作なども企画されています。さまざまなプログラムを通じてアートを、美術館を、もっと身近に感じることができそうです。

設置された巨石(2021年1月撮影)。工事現場から出てきた巨石を芸術家の冨長敦也さんと磨くワークショップ「Love Stone Project-Nagano」も開催

中学生以下の子どもと親(または家族)を対象に、作品をみて感じたことを話しながら鑑賞を楽しむ「おやこでトーク」のひとこま

開館から半年間は
美術館を知る催しがいっぱい

4月の新築オープンから、県民をはじめ多くのみなさまに新美術館を知っていただく機会として、さまざまな企画が予定されています。建物をより知ることができる「長野県立美術館メイキングドキュメント つながる美術館 宮崎浩とランドスケープ・ミュージアム」や、美術館の制服をデザインした長野県出身でデザイナーとして世界的にも注目を集める黒河内真衣子さんを特集する「10 Mame Kurogouchi」展も、そのひとつ。さらに、「霧の彫刻」のお披露目イベントや、講演会、アーティストによるライブペイントのほか、新美術館の楽しみ方を提案する開館記念イベントも各種予定されています。8月28日(土)のグランドオープンに向けて、美術館を知る良い機会となりそうです。

新美術館イメージ ©️プランツアソシエイツ

館内には、真正面に善光寺を眺めることができる2階レストラン「ミュゼレストラン善(仮)」と、屋上のカフェ「しなのアートカフェ(仮)」があります。運営するのは、家族で楽しめる道の駅として日本一の得票数を集めたこともある群馬県の道の駅「川場田園プラザ」を運営する田園プラザ川場。長野県産の食材をふんだんに用いた料理を提供するほか、長野県産のワインやシードル、日本酒、クラフトビールも取り揃える予定。美術鑑賞のあとは屋上テラスでのんびり一杯。ときにはレストラン目当てに訪れるのもおすすめ。美術館が建つ城山公園は長野市きっての桜の名所、春ともなれば美しいソメイヨシノの並木も楽しめます。四季折々でもよし、散歩のついででもよし、いつ訪れても、そこにはアートと長野県ならではの風景が待っています。

レストランイメージ ©️プランツアソシエイツ

カフェイメージ ©️プランツアソシエイツ

長野県立美術館(旧長野県信濃美術館)
長野市箱清水1-4-4 (城山公園内・善光寺東隣)
Tel.026-232-0052
Fax.026-232-0050
開館時間
美術館 9~17時(入館最終16時30分)
屋上広場 9~18時45分(原則、夜間および休館日は閉鎖)

休館日
毎週水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日~1日3日)

入館料
企画展:展覧会により異なる
コレクション展:本館・東山魁夷館共通
一般700円 (本館コレクション展が開催していない日は500円)
大学生および75歳以上500円(本館コレクション展が開催していない日は300円)
高校生以下(18歳未満)無料

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