なぜ?JR社員がファンになるほど
情熱を注ぐ急行「飯田線秘境駅号」の魅力

伊那路エリア 飯田市

チケット即完売のJR東海の急行「飯田線秘境駅号」。
秘境駅ファンではなかったJR企画担当者・大谷直也さんをも虜にし、情熱を注がせた理由とは?
本音で語るその魅力を紹介!

人里離れた山間にぽつりと建つ駅舎、沿線に広がる絶景...。豊橋駅から飯田駅を巡り、「こんなところに人の暮らしをつなぐ電車が走っていたの!?」と線路が導く日本の奥地へのタイムスリップ感に驚きの声を集めているJR東海の急行「飯田線秘境駅号」。チケットは即日完売、2019年には「COOL JAPAN AWARD 2019」を受賞。さらなる注目を集めている今、その魅力を紐解くべく企画担当者・JR東海の大谷直也さんへ単独インタビューを敢行しました。

秘境駅号の企画を担当するJR東海の大谷直也さん

かつて、ダム名所を巡るツアーを旅行会社と協力して企画した大谷さんが、次なる日本の魅力発見の手がかりとした飯田線秘境駅号の舞台裏にあったのは、ダイヤ調整や地元住民からの協力という軌跡を経て築かれた〝地域とJRの飯田線への熱意〟でした。

 

「この地ならではの美しさに気づかされ、
JR社員と地元の人が飯田線のファンになったんです」

新緑の輝きに包まれた天竜川を渡る飯田線秘境駅号
秋には美しい紅葉の彩りを浮かべます

「飯田線秘境駅号」は、愛知県豊橋市と長野県飯田市を結ぶJR東海飯田線の観光列車です。沿線には難読駅名が多く、秘境駅ランキング(※1)に入る秘境駅が10駅もあります。なかでも、「小和田駅(こわだ えき)」や「田本駅(たもと えき)」「金野駅(きんの えき)」など上位に名を連ねる駅もあり、今や鉄道ファンのみならず、日本の知られざる絶景に惹かれた子ども連れや旅行好きの夫婦などからの予約を集めています。スタートしたのは2010年。今に至る約10年を振り返り、大谷さんは語ります。

穏やかな笑顔で乗客を迎えるJR社員
 

大谷さん:「2010年以前から、秘境駅が密集している沿線として密かな注目を集めるようになっていた飯田線でしたが、当時は普通列車で効率よく周遊できるダイヤがなく、〝どうしたら多くのお客様に飯田線へご乗車いただけるか〟と悩んでおりました。この課題を解決しようと、ダイヤを組み替えたツアープランを計画することに。ダイヤを組み替えるのはそう簡単ではありませんでしたが、いざツアーをリリースすると、〝かつての人の暮らしを想像させるノスタルジー感〟と言いますか、〝秘境駅の背景にあった山間の生活や何気ない自然の美しさ〟が、私たちJR社員だけでなく、地元の方々の琴線に触れました。
そして、その美しさを享受してきた地元の方々は、そのすばらしさがお客様に伝わることで、よりいっそう歓待に力が入り、おもてなしをさらに楽しんでくださるようになりました」

 

※1 「秘境駅ランキング」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/hikyoueki/
鉄道愛好家の牛山隆信氏が自身のホームページで紹介しているランキング

 

小和田駅(こわだ えき)

車で通れる道がないにも関わらず、木造の駅舎の周辺に古いカブやミゼット、廃屋が残された雰囲気とその到達度の難しさから秘境駅ランキング3位に選ばれています

中井侍駅(なかいさむらい えき)

車窓から見下ろす茶畑と民家の風景が人気。幻の銘茶の生産地を一望しながら、観光列車の風情を満喫できます

金野駅(きんの えき)

車で行くことが極めて困難な駅で、その到達難易度から秘境駅ランキング7位にランクイン。駅名から金運効果がある?と一部のファンの人気を呼んでいます。なぜか誰も使っていない駐輪場があります

 

かつての人の暮らしや自然美を再発見させる飯田線秘境駅号。大谷さんは、JR社員のユーモアも楽しみのひとつと話します。

 

大谷さん:「2019年秋の飯田線秘境号では、ある車内アナウンスがSNSで話題になりました。会社で決めたわけではないですよ(笑)。社員の秘境駅号に対する自発的な愛ですね」

「車内Wi-Fiはございません。それどころか、この先電波が入らなくなります。本日は情報社会から離れたストレスフリーな一日をお過ごしください」という車内アナウンスが、2019年秋にSNSで話題に

飯田線秘境駅号には、こうしたJR社員の真心だけでなく、平岡駅や飯田駅で開かれる地元自治体の物産市やパフォーマンスによる歓迎も個性豊かに光ります。

飯田線秘境駅号のなかで一番長く停車する平岡駅では、物産品の販売や和太鼓の演奏など、
地元の人が一体となった歓迎が待っています
 

また、乗客のなかから抽選で選ばれた子どもが体験できる「一日子ども駅長体験」があるほか、乗客へのノベルティグッズプレゼントなどがあるのも、飯田線秘境駅号の人気の理由です。

 

一日子ども駅長体験

車内抽選で選ばれた子どもが、35年もの間、無人駅だった「小和田駅」で駅長体験をできます

ノベルティグッズ

大谷さんらJR社員が考案。限定8種類の小和田駅記念入場証や秘境駅が立体的に飛び出る乗車証明書などユニークなグッズがプレゼントされます

原寸大ヘッドマーク

「ある鉄道グッズ店へ通い、グッズのアイデアを溜めてきました(笑)」と大谷さんは話します

 

大谷さん:「かつて人の営みがあったエリアを観光列車で巡るというひとつのきっかけから、地元の人たちにも、私たちJR社員にも、飯田線に対する愛着が深まりました。観光列車はただの移動でも、鉄道ファンだけのものでもありませんでした。忙しない日々のなかでは味わいきれない大切な人との思い出をゆるやかな旅のなかでつくれること、地域の人たちのあたたかさに触れられることが、何よりの魅力かもしれませんね」

 

「幻の銘茶や郷土料理、地元で人気の焼肉店など。 飯田線秘境駅号で絶品グルメに出会う楽しみを!」

絶景を巡る秘境駅号でグルメを楽しむ旅を

秘境の地を巡る約4時間の旅路。旅の醍醐味といえる「グルメ・おみやげ」のバラエティも人気の秘密。豊橋駅から飯田駅までの14駅の道中で、どんなグルメを楽しめるのか、大谷さんに訊ねました。

 

大谷さん:「おすすめはたくさんありますが、一番グルメを楽しめるのは、地元自治体主催の物産市が開かれる平岡駅ですね。小和田駅から平岡駅の途中、中井侍駅のあたりで車窓一面にきれいな茶畑を望めるのですが、平岡駅ではこの中井侍の〝幻の銘茶〟が好評です。生産者の名前が書かれたパッケージデザインがユニークで、味も生産者によってそれぞれ違うんです! 毎回完売するほどの人気ぶりに私たちも驚いています。
平岡駅ではそのほかにも、アマゴの塩焼きや五平餅といった郷土料理、ジビエやシードルなどに至福を満たすことができます。コンビニのない地域ですが、ここで下車して日帰り温泉を満喫するお客様もいるんですよ」

停車時間30分ほどの平岡駅で人気の特産品
中井侍のお茶

平岡駅で購入したグルメは、もちろん車内への持ち込みも可。郷土料理と秘境の絶景を堪能する鉄道旅を楽しみながら、あとに続く絶景のフォトスポット為栗駅や田本駅では写真を撮り、開運の駅として人気がある金野駅や千代駅では祈念をする乗客もいるそう。そして、終着の飯田駅には、何やら大谷さんおすすめの焼肉店があるのだとか。

 

大谷さん:「私も地元の人から教えてもらったのですが、飯田市は人口に対する焼肉店の数が日本一で、古くからジビエやマトンの焼肉が親しまれているそうなんです。なかでも、ホルモン焼肉の店『徳山』は、知る人ぞ知る地元の人気店で、とてもおいしいんですよ」

 

そんなグルメを求めて、飯田駅で下車した人は、スターヴィレッジ阿智村で星空観賞を楽しむもよし、大鹿村の山塩やしし鍋を堪能するもよし、松川町でお気に入りのシードルを探すもよし、元善光寺や川本喜八郎人形美術館を巡るなど、さまざまなツアープランも楽しんでみては。

「なんと言っても、やはり、
飯田線秘境駅号の絶景を
ぜひともその目で見てほしいです!」

山間に咲く桜と秘境駅号

JR社員の遊び心あふれるアナウンス、地元の人のあたたかなもてなし、至福のひとときを満たすローカルグルメやおみやげを堪能できる飯田線秘境駅号。そしてなんと言ってもやはり、自然の美しさを私たちに伝える絶景は見逃せないと、大谷さんは語ります。

大谷さん:「私自身、こんなに美しい日本の風景があったのか、と驚かされました。ひとりでも多くの人に見てもらいたいですね! そして、秘境駅を巡る観光列車をきっかけに、地域の活気づくりにも貢献できているとしたら、こんなにうれしいことはありません」

 

ということで、今回は特別に大谷さんにすべての駅の絶景ポイントについてもインタビューしました。そのなかから選りすぐりのポイントを紹介!

 

まずひとつ目は、田本駅を紹介。

大谷さん:「秘境駅ランキング6位にラインクインする田本駅のおすすめポイントは、弧を描くホームの形状。ここで線路を築いた人たちがいるのかぁ、と人工物の美しさを感じさせられます。それだけでなく、田本駅はトンネルとトンネルの間にある珍しい駅で、真っ暗なトンネルを抜けたところに突如としてコンクリートの壁が現れるそのダイナミックさには、ここは本当に駅なのか? と心躍らされます!」

大谷さん曰く「田本駅は、絵に描いたような秘境駅」
 

続いては伊那小沢駅をおすすめ。

大谷さん:「伊那小沢駅もまた趣のある駅でして。秘境駅ランキングは75位なんですけど、順位以上に隠れた人気秘境駅なんです。ここでは、近くに天竜川があり、山と川のコントラストが楽しめます。春は桜もすごくきれいです」

 

さらに大谷さんのいち押しポイントがあります。それはずばり、ホームから離れた山間にぽつりとある電話ボックス。

 

大谷さん:「これがもう最高でして! 今でも実際に電話をかけることができるんですよ。貨幣を入れるところがなく、テレフォンカードしか使えないんですけど(笑)。お客様に声をかけると1人くらいは持っている方がいらっしゃって、実際に電話をかけて思い出をつくる人もいます」

 

秘境の地で、古い映画のワンシーンさながら、電話ボックスから電話をかけるなんて、一生の思い出になりそう。

伊那小沢駅で、ノスタルジーを感じさせる電話ボックスから電話をかけてみませんか?
 

そして最後は、絶景の為栗駅。

大谷さん:「そして、個人的に一番フォトジェニックなスポットとして絶賛しているのが為栗駅です。ホームから望めるのが、谷を流れる天竜川と吊り橋。春には桜、秋には紅葉と四季折々の彩りを浮かべ、その秘境感は息を呑む美しさですね。スマートフォンの待ち受け画面にしたいほど!」

大谷さんの秘境駅号いち押し絶景スポットは、
為栗駅から見る天竜川と吊り橋
   

秘境駅ファンではなかった大谷さんをも魅了した飯田線秘境駅号。まだ見ぬ日本の絶景を巡り、長野県の魅力を身近に感じるひとときを、ぜひ一度体験してみませんか。

更新日:2020/03/03

ツアーガイドおススメポイント

絶景、グルメ、地元の方々の物産市や特産品をあますことなく満喫するひとときを。車掌の車内アナウンスや地元の人の笑顔に、あたたかな旅の思い出をお楽しみください!

JR東海 大谷直也さん

ツアー参加者の感想

美しい絶景は、言葉を失うほどでした。フォトジェニックなスポットを写真に撮ったり、グルメを楽しんだりも、もちろん最高でしたが、なにより電車のなかでゆっくりと家族と話す時間が、都会の喧騒をはなれて森の別荘で家族と過ごすような贅沢なひとときになりました。

飯田線秘境駅号

開催時期 次回実施は未定です。
予約 【春の臨時急行「10周年秘境駅号」の運休について】新型コロナ感染拡大防止のため、3/27-29、4/3-5に運行予定であった急行「10周年飯田線秘境駅号」を、全日程で上り・下りとも運転を中止します。大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒、ご理解のほどをよろしくお願い致します。詳しくは、列車の旅の情報サイト「Shupo」(東海旅客鉄道株式会社)をご覧ください。https://shupo.jr-central.co.jp/

 

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